53僕は戻、莉は郷
話し合った結果、一度他のプラネットの様子が無事か確認するため、平和を取り戻したプラネットを行ったり来たりして、早もう四年の年月が経っていた。
それはというと話し合っていた日に地神千歳がまた僕に押し付けてきた新聞紙をみんなで読んだ。そしたら莉耶が天満の子を授かったという知らせの新聞を読み、どうすることもできないことが判明した。
無論、僕はもう二人を引き離す余裕がなく、それは愛娘ができてしまったからだ。今は菊太と庭で遊んでいて僕は桜庭課長たちをかき集め会議を開いていた。
「この四年で確かめた結果、ほとんどが嘘の情報だと判明。エンジースが神パーティーのようにディアヴォロスを呼ぶ事例が平和を取り戻したプラネットで発生。それ以外の二つのプラネットは何も起きていないと報告が上がっています」
「止める方法は見つけたのかよ」
「一応策は考えていますが、元プラネットコード社の支部長たちそして兄が経営しているネオリオ社と手を組み一斉攻撃を仕掛けるんです。もちろんディアヴォロスにも参加は認めますが、兄はディアヴォロスを嫌っているので待機を願いたい」
「ふむ。対象はディアヴォロスだからな。強制はさせないがほとんどのディアヴォロスは参加するはずだぞ。奪われた命の仇を取るためにな」
「はい。そこも含めて一度、僕は兄がいる地球オルモフィーケに戻ろうかと思います。兄が賛同してくれれば心強いですから」
桜庭課長たちも同意見らしく、会議が終わってそれぞれのプラネットに帰還し僕も行きますか。庭にいる菊太と愛娘を呼ぶ。
「菊太、莉愛出かけるよ」
パッと莉愛が嬉しそうにどこ行くのと僕の手を引っ張る。
「伯父さんのところに行くよ」
やったと莉愛は自分の部屋へと行き準備し始めて、菊太が人間の姿になる。
「本当に顔立ちが昏斗に似てきたな」
「僕も驚いたよ。まあよく言うじゃん。娘は父親に似て、息子は母親に似るって。それより菊太、緊張してる?」
「してねえよ」
「だけどベナに会えるのが嬉しいんでしょ」
「ちげえよ、ばか」
そう言って犬に戻り莉愛のところへと行ってしまう菊太で、星音がこれでいいかなとバラを積んでくれた。
「ありがとう、星音。大きい荷物持つよ」
「ありがとう、昏斗。……莉耶ちゃんが奪われてもう四年が経っちゃうだなんてね。元気かな……」
「どうだろう。でも子供も莉愛と同い年だし、いい母親をやってるんじゃないかな」
「そうだといいな。そう言えば昏花ちゃんの子、双子なんでしょ?手伝いに行かなくていいのかな」
「それなら大丈夫だよ。流彗くんと戻って来た鈴哉さんと姉さんにふじさんがいるんだ。きっと大丈夫だよ」
そう、あの記事を読んでいる時、姉さんと鈴哉さんにふじさんが流彗くんを連れて警察署に訪れ真実を聞かされたこと。
鈴哉さんとふじさんは大鳳天満の力で昏未の同様にネジバナが絡まっていた。従わなければ莉耶と鈴哉さんの父親のようになると言われ従うしかなかったそう。
流彗くんを奪った後はことが順調に進んだことで、ネジバナは解除されるも流彗くんが解放されなかったのはもう一つの目的があったからそうだ。
それは莉耶と僕の間に生まれた子を奪うためでもあったから、流彗くんを解放しなかった。莉耶が子供ができたかもということで医者を呼びついに実行されてしまったこと。
僕は楽しみにしてた。莉耶からのサプライズなんだとわかった時、その日をずっと待ってたがもう手遅れだと知り、いつの間にか僕は星音の間に子を作ってしまったからもういい。
準備できたと元気な声で降りてくる莉愛で、その後ろを歩く菊太。さあ行きますかと手を繋ぎ地球オルモフィーケへと出発した。
本当は電車で行きたかったが、いちいち違うプラネットから乗り換えなくてはならないため、ちょっと不便と思い蝕夜がくれたペンダントでワープする。
前に来た時は更地になっていたり瓦礫が多少残っていたが、スッキリして新しい建物がたくさんできていた。後で寄ってみようと星音と話していてネオリオ社へと到着する。
相変わらずだなとこんにちはとネオリオ社員に挨拶しながら、ロビーに入るとやけに騒がしいな。どうしたものかと莉愛は僕の裾を引っ張っている。
「あのすみません。昏有の弟なんですが、兄はいますか?」
「昏斗様ですね。少しお待ちください」
受付の人に確認してもらっている間に、何かあったのだろうと様子を伺っていたら地神千歳が降りてきた。
「久しぶりっす。元気そうっすね。おっ莉愛ちゃん、見ないうちに大きくなったすね。俺のこと覚えてるっすか?」
「ちーさん?」
「そうっす。案内するっすね」
莉愛を撫でて昏有兄さんがいる総司令官室へと案内してもらって、到着するとやけにうるさいと扉を開けてみたら四神の神たちが何か言い争っているのを無言で聞いている昏有兄さん。
小声でどうしたのと地神千歳に聞いたところ、琥珀さんと真珠さんが以前占った結果通り、地神千歳を入れて五神の神が柊と桜に勝てなかったらしい。
そしたら兄さんが大きく手を叩いて僕らがいることを伝えた。
「お前らもういい加減にしろ。一回負けたぐらいでわーわー騒ぐな。どうした、昏斗」
「兄さん、少し話があって来た」
「わかった。炎悟、莉愛を下に」
「わかったで。行こうか、莉愛ちゃん」
莉愛を下に降ろしてもらい、いなくなったことで僕らはソファーに腰を降ろし話し合う。
「兄さんも薄々気づいてるだろうけど、バラの流星群は無意味なんかじゃなかった。この四年間でディアヴォロスは捕食人間を食していない。それなのにエンジースがディアヴォロスを招待して、排除している。僕も何度か現場に向かったけどいつも手遅れで守れなかった」
「昏斗たちがその件を追っている間に、こいつらが柊と桜に挑む計画を練って昨日、敗北したらしい」
「つむじと炎悟で羽根の攻撃は防げてたけど、ネメスたちがやばかった」
「あのねばねば思い出すだけでゾッとする!」
「桜って子は一回入ったらアウトだったっすよ。それにディアヴォロスが入ったサラが現れて思うように撃てなかったす」
「柊、ナルシスト。無理」
一人知らない人物登場とか思っているあなた。僕はこの四年間で何度かお会いしてたけど、あまり喋ったケースがなかった。三人と比べて物静かな女性は、空神飛羽。年齢は確か三十前半で、こういう集まりがない日は大体、天王星ラウモイズにあるネオリオ社にいるらしい。ただエンジースが絡んでいる件になると空神飛羽さんは動くんだとか。
そんなことを前に地神千歳が教えてくれたことだ。
「まあ手を貸しても構わない。その代わりっちゃなんだが、母さんが昏斗の子が見たいって言い出してな。会ってはくれないか?」
「もう大丈夫なの?」
「あぁ。もう普通に接触できるようになった。後は桃花ちゃんのご両親が戻れるかが鍵となる」
桃花会長は十四歳でありながらも立派に成長し新しく会社を作り会長を務めている。まあ名は新プラネットコード社となった。そのおかげでディアヴォロスが就職しやすい環境を作り上げている。
いつかご両親と一緒にやれたらいいなという願いも込めて、立派に成長している。
甘ちゃんは桜庭課長に恋人がいることが判明した頃から、甘ちゃんは桜庭課長から離れ昏希と行動することを望み、セリニ・ネアからネオリオ社へ転職された。
最初は桜庭課長が嫌がってたが、桜庭課長の彼女さんである岩倉友羽さんに怒られてしまったのだ。そうだった。彼女さんではなくもう奥さんだったね。
二年前、ご結婚され今は土星スノロクに家を持ちながら、セリニ・ネアに勤務されている桜庭課長で、奥さんは今まで通り土星スノロクの警察官として働いている。
海さんは相変わらずで桜庭課長の下で働きながら、ぐうすかと寝ているイメージが強いかも。
「なら会わせてもらおうかな。電話では話せてたけど、直接は久々だから」
「じゃあ今から行くか」
「いいの」
「あぁ。お前ら、反省会しっかりしてないと、どうなるかわかってるよな」
なぜか四人は小さくはいと言って昏有兄さん怒ると怖いもんねと莉愛と遊んでくれてた火神炎悟さんとバトンタッチして一緒に連れて行く。
莉愛は昏有兄さんに肩車してもらい上機嫌だとネオリオ社からやや離れた場所に家があった。ここに母さんがいるんだと莉愛を降ろし、鍵を取り出して開け中へとお邪魔する。
「母さん、昏斗たちが来てくれたよ」
昏有兄さんの声でリビングから顔を出す母さん。僕は無意識に母さんに飛びついた。ずっと、ずっと会いたかったと抱き締めていると、母さんも優しく包んでこんなに大きくなってたのねとよく顔見せてと離れる。
「昏斗、紹介してくれるかしら」
「母さん、何度も話してるでしょ」
「いいから」
もうとリビングに入りソファーに座って自己紹介をした。
「僕の妻である星音で元女優をしてた。それで僕の愛娘である莉愛だよ。莉愛、お婆ちゃんに挨拶を」
最近人見知りが多いし緊張してるかなと最初は星音に隠れてしまうも、星音が優しく押してくれて勇気を出す。
「初めまして、真神莉愛です。よろしくお願い致します」
「上手に自己紹介できるのね。初めまして、莉愛のお婆ちゃんである、昏音。よろしくね」
こくんと頷く莉愛は照れながら今度は僕にしがみつき、しっかりと頭を撫でながら話す。
「母さん、具合はどう?」
「もう平気よ。喰雅からもお詫びの品を持って謝って来たわ。今はネオリオ人として動いていると聞いたけれど本当なのかしら?」
「そうなんだ。てっきり新しい社でやり直すのかと思えば、桃花会長のご両親を酷い目に合わせた償いとして桃花会長のサポート兼秘書をやってるよ。まあふじさんが戻って来てくれたおかげで監視役もついたし今後は悪さはしないでしょ」
「そう、それならいいの。それより最近外に出られるようになって、外出している時、妙な噂を聞くの」
噂と僕と星音は顔を見せ合い、噂を聞いてみることにした。
⁑
私が捕まってからもう四年が経ち、昏斗の子供だった子が四歳となった。今は天満と一緒に勉強をしていて、あれが昏斗だったらなと思ってしまうことがある。私はずっと待ってたけど、昏斗や桜庭課長たちは一度も助けには来なかった。
あのような記事を見たら誰だって諦めちゃうものなのかな。でも式を挙げた時、昏未ちゃんに婚約指輪を渡した時点で昏斗はやって来ないってわかってた。それでも少し期待していた私が馬鹿だったのかもしれない。
「お母様」
「ん?どうしたの、七星」
「お父様が地球オルモフィーケに行ってみようって仰ってくれたの。お母様も行こう」
この四年はずっと天王星ラウモイズから出ていなかったけれど、七星がそう言うなら出てもいいのかな。天満の顔を見る限り見張りはつきそうな感じだ。それでも興味を抱くことには連れて行くよう言われているし、いい機会かもしれない。
「たまには家族旅行、行こっか」
伝えるとやったと大はしゃぎして荷物をまとめてくるようだ。私は天満のところへ行き、どういうことなのか聞く。
「七星には他のプラネットを教えるつもりはなかったんじゃなかったの?」
「全て俺のものにするため、教えてやった。いい機会じゃないか。七星も大きくなったし、家族旅行は莉耶もしたいだろ?もしかしたらあいつに会えるチャンスかもな」
私はもう昏斗を諦めたの知ってるくせにと私も荷物を取りに、自室へと行き荷物をまとめた。エンジースが使用している電車は乗り換えすることもせずに済むからいいけど寄り道もしたかったな。
荷物をまとめ三人で飛びながら駅へと向かい電車に乗って、地球オルモフィーケへと出発した。七星は顔を窓にくっつけるかのように、星が大好きになり珍しい星を見つけると教えてくれる。まるで昏斗が喋っているようで、少し虚しさを感じてた。
天満は席を外しきっと椿たちが座っているところで、打ち合わせでもしているんだろう。私は気づいてた。例え家族旅行だとしてもあの三人は影で私を見張っていること。
「お母様、お父様は?」
「お手洗いじゃないかな」
「そうなんだ。ねえお母様、いつもどこを見てるの?話しかける前に、遠くの方をずっと眺めてるから気になっちゃった」
「忘れたくても忘れない人がいるの。でも会いたくても、会えない関係性になっちゃってね」
私が喋っていると私に抱きつく七星で、昏斗にそっくりみたいと頭を撫でる。そしたらこんなことを言い出した。
「亡くなっちゃったの?」
「ううん。まだ生きてるよ。どこかのプラネットで幸せに暮らしてるんじゃないかな」
「お母様は幸せ?」
「幸せだよ。だってこんなに可愛い息子を持てたのだから」
頬を触れてそっかと七星は微笑み、私と七星は星空を見て行った。
到着して久々の地球オルモフィーケは建物がもうこんなに建っていたとは知らず、できたらしいお店にも寄ってみたいなと七星と手を繋いで歩く。
いろんな店が増えて行くこの地球オルモフィーケで、昔は戦争のような場所だったのにと景色を眺めていたら向こうから親子連れが来る。それが昏斗と星音ちゃんに娘さんが歩いていたとしても素通りした。
私たちは違う人種、関わってはいけない領域が存在するも、すれ違う時の楽しそうな会話で足を止めてしまう。
「お父さん、今日、星いくつ観れるかな」
「雲一つないから今日は星がたくさん観れるよ。夜になったら展望台で星観よっか」
「うん!お母さんも一緒に観察しよう」
「そうだね、莉愛。そうだ、昏斗。寄りたいお店があるの。行ってもいい?」
いいよという昏斗の声に私は思わずあの親子を見てしまった。私にはもう届かない人と見ていたら行くぞと天満に引っ張られ歩き出す。
新しくできたお店をいくつか行き、夕暮れになって七星は笑みを出しながらぐっすり天満の背中で眠ってしまった。可愛いと一枚写真を撮る。
「昏の星も知らない振りをしていたな。完全に俺の勝ちだ。喜びが隠せないぐらい祝福を挙げたいぐらいだよ」
「まだ私が昏斗を思ってるって思ってるの?もういい加減、私を信じてよ。さっきは会話が聞こえちゃって少し寂しい気持ちはあったけど、これできっぱり諦められることができたんだから」
「そう拗ねるな。柊」
「呼んだかい、美しい私を呼んだのは」
「七星を頼む。俺と莉耶はこれからデートをする」
「わかったさ、天満」
柊に七星を預けて天満とエンジースが経営しているホテルのレストランへと入った。綺麗な夜景と景色を眺めならが夕飯を食べる。テーブルマナーはきっちりお母さんに叩き込まれていたからよかった。
「莉耶、ソースがついている」
「どこ?」
ここだとついているところをとってなめる天満で恥ずかしいとナプキンで拭く。
「久しぶりに帰ってどうだ?」
「嬉しいよ。だけど何をする気なの?ディアヴォロスを処分し続けて、七星には悪魔は敵だと敵視させてる。今度はディアヴォロスの他にネオリオ人や人間を従わせるつもりなの?」
「俺の思うがままに動いてもらう。そのためにもう準備はすでに整ってる」
なぜ今となって私の故郷に連れて来たのか、想像がつかないけど、とても恐ろしいことが起きようとしているんじゃないかって思い始めた。




