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プラネットコード(改訂版)  作者: 福乃 吹風
55/78

50.5蝕は遺、星は絶

 アリスが管理していた火星アリーレスへと行き、アリスの家を訪ねると召使いはもういないようで茜一人だけが住んでいるようだ。アリスの死後、茜はアリスが愛した火星アリーレスにいると言い出し、本来ならば茜は捕食人間でもあるから、セリニ・ネアに転職しても構わないと言った。

 だが茜はここにとどまると言った言葉がまだ抜け出せないでいる。本当は違う意味を示しいたのではないかと訪れたらアリス館と変わっていたのだ。

 

 館内に入ってみるとアリスの写真が飾られており、懐かしいなと見ながら進んでいくとやつがれの名を呼ぶ茜がいる。その姿は少し痩せており、ちゃんとご飯を食べていないように見えた。


「茜、何度も言うが大丈夫か?」

「まだ心の準備ができていないのです。あたくしが老婆になるまでいるお方だと思ってたので」

「そうか。辛いだろうが、これが現実だ。やつがれもまだ心の傷やらと言うものは癒えてない。長い年月、共に過ごしていたのはアリスだったからな。いざいなくなると寂しい気持ちが強くなるばかり。それでも前に進まなければならんぞ、茜」

「はい。そうでした。アリスの遺品整理してたときに、妙な日記帳を見つけたんです。こちらに」


 アリスは日記をつけるようなタイプではなかったはずだがと、案内してもらい日記帳を見せてもらう。


 俺様が今ここで記すことは俺様たちと正反対の人種についてのことだ。これは俺様が見てきた光景、そして昏の星である昏斗が教えてくれた情報をもとにここに記す。


 俺様が見てきた光景は天使のような輪っかをつけた人たちがちらほらと見かけることが多かった。だが悪魔には見せないようになのか、あまり長時間観察は不可能と断定する。

 そこで親しい昏斗に相談を持ちかけたところ、なんと本当に天使がいると教えてもらったことに興奮した。だが天使は悪魔が大嫌いだから仲良くなるのは不可能かもしれないと昏斗が言っていた通り、ネオリオ人に化けている天使にビンタされた記憶は苦い思い出とも言えるだろう。

 しばらくして天王星ラウモイズで大きな戦いがあったとウラノスに聞いた時は本当に心配であった。昏斗の妻であるリィヤが一度、大鳳天満に奪われてしまったからだ。俺様も加担したかったが火星アリーレスから出られないから無事を祈った。


 そして何日が経ったある日、昏斗は赤子を連れて俺様のところに来てくれたのだ。名は昏真と言い七人の子供を作ってもらうと言った。最初は意味わからなかったが、琥珀や真珠の占い通りに動いていることが判明する。

 そこで昏斗が亡くなり前世の記憶を持つ昏の星を待つ間、俺様はあることをしていた。亡き昏斗が残した遺言通りに昏斗が愛する人にまじないをかけ、時がくれば発動する仕組みとなっている。

 だが俺様は悪魔でもあるから、天使にばれる可能性も高い。もしまじないが解けてしまったら、完全にアウトだ。ばれないことを願うしかない。


 最後に。昏斗が言っていた言葉だ。

 次の昏の星は大鳳天満に勝利できないが、昏の星の未来は希望していた通りの未来へといくだろう。きっと乗り越えてくれると信じて。



 ふむ、前世の昏斗がそう言うならば今の昏斗はどんなに力を得ようとも負けるがそこに希望した未来が待っているということか。どういう未来なのかは聞いてはいないがこれは昏斗に渡すべき日記だろう。


「茜、これはいただくぞ」

「お役に立てるかわかりませんが、アリス様が残した日記帳。あたくしも心が安定したら蝕夜様たちのところへと向かいます」

「うむ。心得た。ではこれはまだ持っているが良い。昏花もお主に会いたがってたぞ」

「昏花がそんなことを?なら落ち込んでいる場合じゃなさそうね。蝕夜様、私も準備が出来次第、天王星ラウモイズへと行き、八雲と合流します」

「そうか。では頼むぞ」

「はい。蝕夜様もお気をつけて」


 アリスの日記帳をもらい、やつがれは昏花の元へ帰ったのだ。



 どうして、どうして私はこんなに力がなかったの!悔しいよと雨に打たれながら、私は何度も地面に拳をつける。


 普通に私たちは巡回をしている時に、美汐ちゃんが何かを察しして行ってみたら、そこにディアヴォロスが殺害されている現場を目の当たりにした。それにエンジースがいて莉耶ちゃんを逃したかったけど、恐怖心の波に乗ってしまったかのように三人ともびくとも動かなかった。

 最初は美汐ちゃんがやられ、今度は私。味わったこともない痛みが走って体が動かなかった。そして莉耶ちゃんだけは傷をつけず捻れた花が出てきて、莉耶ちゃんを捕まえている姿。

 止めてと叫んでいる莉耶ちゃんを守れず、最後に見た光景は莉耶ちゃんの唇を奪っているエンジースだった。そこからは痛みで気を失ってしまって、気がついた時には莉耶ちゃんもエンジースの姿もなかった。


 これを昏斗に言ってしまったら絶対に怒られちゃうし、莉耶ちゃんを守るって約束したのにどうしよう。帰れないと土を握っていたら、雨が止んで上をみると心さんが傘をさしてくれてた。


「心さんっ私っ」

「自分を責めるな。俺たちもすぐに駆けつけていたら、大鳳天満を払えたかもしれない」

「あれが大鳳天満……」


 心さんは感じてこっちに向かってくれてたんだとわかり、汚れた手でも心さんの力を借りて立ち上がる。


「美汐ちゃん……」

「ごめんっごめんっ心。昏斗っ」


 手の甲で拭く美汐ちゃんも私と同じ気持ちなんだと悟り、心さんが私に傘を渡して美汐ちゃんを抱き寄せる心さん。


「美汐はよくやった。美汐も星音も敗北したこの瞬間を忘れるな。同じことが起きないようにどうすればいいのか次に繋げていけばいい。莉耶は必ず取り戻す。今はお前たちができる限りのことをしていけばいい」


 心さんの言葉に沁みて今はできなくても積み重ねていけば必ず莉耶ちゃんを救い出せる。そのためにも、もっと力をつけなくちゃ。


「心さん、私、もっと強くなりたい」

「あたしもっ」

「わかった。なら知り合いのところに行く前に、風邪ひくからシャワー浴びてからにしろ。それからだ」


 心さんも濡れてるじゃんと私たちは少し笑みがでて、一度セリニ・ネアに帰還することにした。 

次話は5月19日水曜日12時に予定。

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