40僕は醒、私は返
バイクに乗って神パーティーの会場となる場所へ向かい、莉耶がエンジースに捕まってしまったらアウトだ。一刻も早く止めに行かないと。
見えて来たが門の入り口に大きな布が敷かれてある。バイクを止め確認してみると、ディアヴォロスの遺体だった。何が起きたと門番はいないかチェックして潜入し、神パーティーもに出席する。
ディアヴォロスがやって来たことと同じに見えるとテーブルには豪華な料理が置かれてありそれを食べている人たち。捕食人間かと鈴哉さんやふじさんに莉耶を捜すもどこにもいない。
違う場所に呼び出されたとかじゃないよねと捜していたら、スーツを引っ張られ後ろを見るとなぜかそこに新城心がいた。
「なんで?」
問いかけてみると僕に見せてくれたのは招待状で、内容を確認するとこう記されている。
新城心殿、お主は全てを知ってしまった一人だ。ここで死んでもらおうか。逃げ場などない。エンジースがお主を天罰を下すのだからな。
「挑発に乗ったってことですか?」
「いや。様子見でこっちに来た。だが招待状の通り、エンジースの目的を知っている。天罰っていうものが何なのか探りに来た。それより、昏斗」
「何ですか?」
「エンジースの目的を知ったことで、セリニ・ネアの新たな目的を教えてやる。エンジースより先に莉耶を奪うことにした。阻止したいなら、俺たちの仲間に加わらないか?そのほうが莉耶を安全に守ることができる」
新城心の言葉は正しいのかも知れないけど、僕はまだプラネットコード社の謎を解き明かしてはいない。プラネットコード社を退職したことで、何のメリットがあるんだ。
「まあそんな簡単に行くわけねえことはわかってる。またこういう形で出会すことになったら、今度こそ答えを教えろ」
「……わかった。情報、ありがとう」
話していたら始まるようで会場が暗くなりスポットライトの方に目を向けた。そこには天使の輪をつけている人物がいる。僕たちを襲った人物ではなさそうだな。
「ご来場の皆様、お集まりいただき誠にありがとうございます。まずはスタッフから細やかなプレゼントを受け取ってください」
僕と心は近くにいたスタッフから受け取りそれがなんと拳銃だった。
「このエリアには悪魔が住み着いています。あなたたちが天使となり天罰を与えるのです。そうすればあなた方の望みを叶えさせてあげましょう。時間制限は日が出るまで。存分にお楽しみくださいませ」
来場した人たちが拳銃を持って外に飛び出し、心も行ってしまったが僕は司会者に無限拳銃を構える。すると嘲笑いながら胸に手を当て僕に言う。
「あなたが紛れていることはわかっていたさ、真神昏斗。エンジースの長に傷をつけた前世のあなたは敵わなかったさ。ですがあなたは前世のあなたではない。リィヤ様は返していただきますよ」
「へえ。そう言ってるけどさ、僕の仲間に気づいていないあなたはどうかと思いますよ」
桜庭課長が司会者の背中に無限拳銃を突きつけ海さんと甘ちゃんが左右に現れ無限拳銃を構えている。
「君を捕まえて君たちの目的を全て吐いてもらう」
「逃げても無駄だ。プラネットコード社が包囲している」
「あたしたちにとって莉耶ちゃんは必要な人なの。だから絶対に奪わせたりしない!」
海さんと甘ちゃんに僕が近づこうとした時のことだった。司会者が大爆笑をして桜庭課長が何かを感じ取ったのか僕らのところにくる。
「残念にすぎないさ。そうだろう、藤、鈴」
影からでて来たのは司会者と同じ格好をしているふじさんと鈴哉さんで頭の上には天使の輪っかがついていた。疑いたくもない二人がやはり裏切り者。
あの時、新城心が言っていた言葉、昏斗の仲間に裏切り者がいるかもな。
莉耶は桜庭課長かもしくは海さんが裏切り者かも知れないと認識してたけど、甘ちゃんが大好きな人はもう二人いることを教えてくれた。それが鈴哉さんとふじさんであること。
莉耶に本当のことを伝えたら僕は鈴哉さんとふじさんに殺されていたかも知れなかったから黙っていた。
「嘘っ嘘だよね……?何とか言ってよ!鈴兄ちゃん!」
甘ちゃんが言っているも鈴哉さんは何も言わずにいて甘ちゃんに無限拳銃を構えるから桜庭課長が甘ちゃんの盾になる。
「やはり二人が内通者だったんですね。ディアヴォロスが行き場を無くしたことで、動きやすくなったからエンジースが動き出した」
「ディアヴォロス帝王、蝕夜に夫を殺され黙って見ていられなかった。だから捕食人間が経営をしていたプラネットコード社につきこの日をずっと待っていた」
「父さんを殺した蝕夜様のところにつき、弱点を見つけるため神パーティーに出席し喰雅様のもとでお酒に自白剤を入れ情報をもらっていた」
普段のふじさんと鈴哉さんではないけれど、これが本心ならば今までのは全て嘘だったと言える。姉さんと流彗くんはどうするんだよ。
「藤、鈴、ここで足止めを頼むさ。私は可憐なリィヤ様をお迎えに行かなければ」
「お任せくださいませ、柊様」
「御意」
鈴哉さんとふじさんが攻撃し始めその隙に柊という男が莉耶がいるらしい場所へ向かってしまった。
「菊太!柊って奴を追って!」
「行かせない!」
「おっと、鈴哉。鈴哉の相手は俺だ!飼育員!莉耶を頼む!」
ありがとうございますと言いながら菊太の鼻頼りに莉耶を捜しに外へ出る。
外ではディアヴォロスが拘束され何発も撃たれている場面を見るも今はそれどころじゃない。菊太はワンッと匂いが近いのかその先へ行ってみる。
そこにいたのは昏花が何人もの相手をしながら、倒している姿が見えた。だが莉耶の姿がどこにもない。
「菊太、ここであってるんだよね?」
「間違いはない。ん?これは……。こっちだ」
菊太が先頭に走りその後を追いかけて行くと、柊がいて柊の前には莉耶がいた。
「莉耶!」
「昏斗!」
僕が莉耶のところに行こうとしたら空から誰かが降って来て誰かと思えば地下で出会った子。
「ナルシスト柊、何をやっているんですか?さっさとリィヤ様を保護してあげてください。これ以上穢されたら、椿の天罰を受ける羽目になりますよ」
「わかっているさ、桜。さあリィヤ様、逃げても無駄ださ。この美しい私が捕まえて差し上げましょう」
桜という子とやり合っている間に莉耶が奪われてしまう。そんなことはさせないと桜の攻撃を交わし莉耶に手を伸ばそうとしたら腕に天使の羽根が複数刺さった。
「お願い!やめてこんなの!」
「では私たちと行きましょうか」
柊が手を差し伸べその手を取らないでくれと走ろうとしたが今度は足に羽根が突き刺さり転ぶ。こうなったらあの力を解放して天使を追い払うしかない。
しかし莉耶はもう誰も傷つけたくはないという目をして柊の手を取ってしまったのだ。
「麗しいプリンセス、リィヤ様を保護しましたよ、椿。すぐそちらにお連れ致します」
行くな、莉耶と願うも桜の足が僕の背中を潰し、いなくなるのをただ見ているしかないのか。ううん、違う。集中するんだ。僕は昏斗と呼んで昏の星だ。ここで負けるわけにはいかない。
「昏の星が光出している……。柊!早くリィヤ様を!」
「させない!」
桜がどいてくれたことで天使の羽根全てがとれ、僕は真っ先に柊に目掛けて攻撃を与え莉耶を奪い返す。
「昏斗、その姿……」
「まさかここで覚醒とはラッキーだったよ。莉耶は必ず僕が守る」
星の王子というべきなのかはわからないが、僕の姿は星をイメージした衣服だ。さて僕が覚醒したことで計算が狂ったんじゃない。
どうすると二人の様子を伺っていると心がこっちに来たことで二人は消えていった。
「ちっ逃したか。まさかここで覚醒した昏斗に会えるだなんてな。覚醒していなかったら奪われてた」
「心、助けてほしい。ディアヴォロスが」
「ディアヴォロスは大丈夫。親玉が暴れまくってるからな。俺は撤退するが次回会った時は莉耶を狙いに行く。じゃあな」
てっきり莉耶を奪う気で来たのかと思えば僕らを助けに来てくれたんだと知る。いつの間にかいつもの僕に戻っていて桜庭課長たちが戦っている場に行ってみるとすでにふじさんと鈴哉さんの姿はなかった。
「お兄ちゃんとお母さんは?」
まだ知らない様子の莉耶にどう伝えるかだなと思いつつも、まずはディアヴォロスの救助が必要なため助けに向かう。助けに行ってみるも、もう人の姿がなくぐったりと倒れてしまっているディアヴォロスたちだけが残っていた。
ディアヴォロスだからそう簡単に死に逝くようなものじゃないけど、この弾丸は特殊なようで回復が遅れている。
治療してあげていると昏花が走って来て、莉耶がいることにホッとした笑みを浮かべた。
「莉耶ちゃん、無事だったんだね。よかった」
「ごめん、昏花ちゃん……」
「いいのいいの。でも焦ったよ。莉耶ちゃんと口論してたらエンジースに囲まれちゃったから逃がせられるか不安だった。昏斗、状況は?」
「捕まっていたディアヴォロスが負傷でうちの第七捜査課は軽傷で済んだ。だけどディアヴォロスの回復が遅れているのはこの弾丸が関係していると思う。昏花、頼める?」
「うん。蝕夜の大切な仲間だもん。助けるよ。それより、蝕夜見かけなかった?いつもならすぐ私のところに来てくれるんだけど」
言われてみれば蝕夜が僕たちの前に現れなかったのは何でだろうと考えていたら、おいっと海さんの声が聞こえてそちらに目をやる。海さんに担がれていたのはなんと蝕夜で相当な傷を負っているようだった。
「昏花」
「うん」
海さんが蝕夜を降ろし昏花は蝕夜の近くにより両手を地面につけて願いを告ぐ。
「真の神に昏の花にて、地の力より癒し渡れよ!」
昏花の願いによって地面が緑色に光り出しリコーフォスの花が咲き、リコーフォースが傷を癒していく。
「あれがリコーフォスの花?」
「そう。ただあれは幻影のようなものだよ。使えるのはただ一人、昏花のみだ。僕のように力を使いすぎると倒れてしまうからあまり使わせてはいなかった」
それにしても僕の体も癒してくれるから本当は一緒にいたい気持ちがまだ残ってしまうも、そろそろ妹離れしないと蝕夜が怒りそうだからね。
莉耶がいなくなる前、蝕夜に連絡しておいてよかったよ。昏花の可愛い写真と引き換えに、莉耶が逃走したら助けてほしいってね。ただやっぱり難しかったようだけど、こうして覚醒できたから昏花の可愛い写真はあげよう。
治療が完了し傷も癒えたことで、目を覚ます蝕夜は何が起きたのかさっぱりでいるようだ。昏花がゆっくり起こしてあげていて、他のディアヴォロスたちもあれという顔立ちで立ち上がる。
「僕は一体……」
「忘れちゃったの?ディアヴォロスが捕まってたから助けに行ったんでしょ?」
「そうであった。皆は無事か?」
大丈夫ですと元気を表すディアヴォロスたちで、よかったと安心している蝕夜。そしたら大丈夫かと走ってくるアリスちゃんと茜さんが到着する。
「俺様何もできなかった」
「いい。少し体を休めたいからアリス、後は任せた。昏花、行くぞ」
「はい。じゃあまた後で連絡するね」
「ありがとう」
昏花は蝕夜を支えて帰られ、アリスは後始末をしに行ってしまわれ、僕たちはプラネットコード社にはまず帰れないだろうとあるところに尋ねに行った。
⁑
蝕夜を支えながら冥王星プルイーナスに帰還し、プルトナスに手伝ってもらって蝕夜の寝室へと入り寝かせた。蝕夜は子供のように寝てしまって、相当力を出したことがわかる。
「昏花様、先程はありがとうございました」
「いいよ。蝕夜の仲間が傷付けられているところは見たくなかったし、エンジースの目的が思い出せそうなの。八雲くんが言ってたように、ディアヴォロスの味方になった理由がわかるかもしれない」
「拙僧も早く駆けつけていれば蝕夜様をお助けできたのに、今日に限って蓮と会う約束をしてしまったもので」
「たまには息抜きが必要だよ。まあ私もすぐに蝕夜を追いかけなかったせいで、蝕夜がこんなに傷ついちゃった。今度からは気をつけるし、また蝕夜やディアヴォロスにプルトナスを癒すから任せて」
プルトナスに告げているとプルトナスは頬を染めながら、お茶淹れて来ますねと退散してしまった。
私は蝕夜の手を握りディアヴォロスをこんなに大事にしていることが知れたことで、私もディアヴォロスを大切にできたならいいな。だけどディアヴォロスは所詮、悪魔。
きっとお兄ちゃんやお姉ちゃん、昏来と昏未に昏希は絶対に反対する。でも昏斗は私の道を応援してくれるからいいか。
プルトナスが淹れてくれた紅茶を飲みながら、蝕夜が起きるまで読書をしていると私の名を呼ぶ声が聞こえ蝕夜の方をみる。蝕夜が目を覚まして私は読んでいた本を閉じそばに寄った。
「もう大丈夫?」
「うむ。楽になれた。昏花、頼みたいことがある。ネオリオ社へと行き、火神炎悟という男にこれを渡しに行ってくれぬか?」
渡されたのは一通の手紙と正方形の箱。
「わかった。渡しに行くね。他に何かある?」
「それだけでよいが、できれば今日の夕飯、昏花の手作りカレーが食べたい」
私、ずっと引きこもってたから全然料理できないと言いたいけど言えず、ここはプルトナスに教えてもらうしかないといつもの笑みで行って来ますと告げて火星アリーレスへと向かった。
ペンダントに蝕夜の力があるからどこでも行けるようになって目の前にはネオリオ社がある。なんかドキドキするなとネオリオ社に入りロビーで火神炎悟さんを呼んでもらう。
どんな人かなと待っていたら、ほむを呼んだの誰やと受付の人に聞いている人がいてあの人かと声をかけた。
「火神さん?」
「ん?おっえぇぇぇぇ!嘘やん!まさか昏花ちゃんに会うやんて、昏有はんに怒られそうや。んでどないしたん?」
「あの、これを渡してくださいって頼まれて」
蝕夜から預かった物を渡すと参ったなと頭を掻く火神さんで、どうしたんだろうか。
「堪忍、これは受け取れないんや」
「どうして?」
「ちぃと事情があってな。ほな、気いつけて帰れや」
そう言ってさっさと上に上がってしまう火神さんで、どうしてなんだろうと返されてしまった物を受け取り帰って蝕夜に確認することにした。




