33僕は動、私は実
昏花はどこにいるんだろうと走り回りながらアンスローを無限拳銃で撃っていく。
父さんがクレヴィー社にいる理由は、昏来と昏未を救出するためにいる。だが星河会長が父さんに会わせない理由は、前世の僕でなんとなく理解はできた。
前世の僕の記憶では昏来と昏未は今の二人のように家族と離れ、そして憎悪感があることだ。兄弟と離れて過ごし罪悪感を持たせ敵視させるため。なぜそのことを星河会長は知っていたのか知らないけど、昏来と昏未を救出する方法を探さなくちゃならない。
走って行くと昏花と菊太を見つけたが、昏未の姿がなかった。
「あれ?昏未は?」
「よくわかんないけど、昏来がこっちに来て昏未と逃げたんだよね。そうだ、昏斗大丈夫なの?」
「父さんに助けてもらったよ。蝕夜は?」
「んー様子を見に行ったんだけど、いなかったの。もしかしたらネオリオ街へ向かったんじゃないかな」
蝕夜と星河会長がいなくなったってことはネオリオ街へと向かったか、それとも別荘に行ったかのどちらかだ。どちらにせよまずはネオリオ人を助けに向かわなくちゃ。
桜庭課長たちが動き出しているのであれば、指示をもらった方がいいかな。そう思い僕はスマートウォッチの画面を開き桜庭課長に連絡を取ってみる。
しかしなかなか繋がらず今頃、ネオリオ人を助けているのだろう。やっぱりネオリオ街に向かうかとペンを取り出してバイクにする。
「菊太、走れる?」
「おう。自分で走った方が速いしな」
「じゃあ菊太は先に向かって。僕と昏花は別荘にちょっと行ってくるから」
「わかった。気をつけろよ」
菊太は犬に戻りネオリオ街に向かってもらって、僕たちは別荘へと向かった。別荘にある装置が壊されていないか確認が取りたい。星音は僕に見せていない顔がある。
それがなんなのかを知りたい。ディアヴォロスを食していることで、悪魔化になっていないか心配だ。
別荘に到着し展望台へ行ってみると誰もいなかった。偽物の装置はうん、壊されていない。だとすると星音は白ってことでいいのか。金星アプロディロの装置を壊した犯人は別にいる。
「昏斗、この前のこと……」
「影神から聞いてた。星音がやったんじゃないかっていう。だけどこの通り、装置は壊されていないから犯人は別にいる。犯人が星音のマスコットを置いた。鑑識にも回したんだよね?」
「うん。星音ちゃんの指紋しかなかった。星音ちゃんを悪者にしようとした人って誰なのかな」
星音を嫌う誰かの犯行かそれとも僕を嫌う誰かの犯行なのかもしれない。まだこの謎は解けないけど、いずれ正体が現れるはずだ。今はネオリオ街へ行ってネオリオ人の救出だけを考えよう。
展望台から離れ別荘へ向かっていると、誰かが逃げて行くような人影を見つけ僕と昏花はその人物を追いかけた。
まさか犯人とばったり出会すとかじゃないよねと追いかけて行くも行き止まりで誰もいない。見間違えとかではなさそうなんだけどな。
「昏斗、これ見て」
昏花が何かを見つけたらしく見せてもらうと、そこに落ちていたのはモノクロの仮面だった。これって確かとスマートウォッチの画面を開き検索する。
モノクロの仮面はやはりセリニ・ネアのマークにそっくりだ。もしかしてセリニ・ネアの仕業なのか。ただセリニ・ネアはディアヴォロスを食さないと聞く。これは念のためこちらで保管させてもらおう。
「僕らもネオリオ街へ急ごう」
「そうだね。お姉ちゃんたちはどうするの?」
「大丈夫でしょ。鈴哉さんもついてるから中には入らない」
本当はゆっくり話していたいけどその余裕はないからバイクに乗ってネオリオ街へと向かった。
バイクを走らせていると水星ヘルスミエで起きた現象のようにディアヴォロスがネオリオ人を襲っている。見逃せないとバイクから降りて無限拳銃で撃ちまくった。
昏花は僕が撃ちまくった人たちに正気を戻してもらう。ディアヴォロスは悪魔でもあるから暴走しやすい。ネオリオ人に早く逃げてくださいと言いながら僕と昏花で次々とディアヴォロスを倒していたら何かがこっちに吹き飛んできた。
吹き飛んできたのは地神陸だ。
「もう昏有さん、痛いっすよ。あっ昏斗くんじゃないっすか。えっとそこにいる美女は妹ちゃんの昏花ちゃんすね。よろしくっす。それより参ったな、この状況。今まではネオリオ人がこの世界の規律を守ってきたけど、一大事っす」
「地神さん、事情はわかってますか?」
「聞いてるっすよ。クレヴィー社会長が悪魔になりかけて暴走しているって。昔は協力し合った仲だったんすけどね。なぜそうなってしまったのかも未だにわからないんすよ。とにかく昏斗くんと昏花ちゃんは逃げ遅れちゃった人たちの救出をよろしく。俺は昏有さんのところに戻るから。じゃあね」
ペンを起動させスケボーに変身しそれに乗って地神陸は行ってしまわれ、言われるがままに逃げ遅れてしまった人たちの救出をすることに。
エンヴィリオの力を借りながらネオリオ人を救出していると、近くから爆発音が鳴り響く。何か胸騒ぎがすると僕たちはその方角へ向かった。
目に映ったのは星河会長の哀れな姿で背中には悪魔の羽根がついていて、自我を失っているように見える。ばちが当たったんだと、一本のバラを取り出し四滴血を流し槍へと変換した。昏花はそのまま短剣で挑むつもりらしい。
いざっと僕と昏花が動き出すと、星河会長は狂ったようによだれを垂らして攻撃し始めてくる。僕は星河家について調べていた。なぜ敵となってしまったのかを。
それは僕たちが生まれる前のこと……。
兄さんと姉さんもいなかった時期にクレヴィー社はプラネットコード社を裏切ってディアヴォロスに加担した。その現況となったのが元澪乃会長、澪乃桃李の一言が原因だったことが判明。
その一言とはディアヴォロスを完全に消滅させれば全てのプラネットが悪魔から解放される未来を求めていた。
無論、その言葉は正しい言葉でもあるが、星河家はその逆を求めている。星河家は悪魔という存在を恐れず互いに助け合える未来を願っていた。
しかしそれは蝕夜の思い過ごしで、星河家と共に歩んでいたからこそ言える言葉。星河家は元々蝕夜、つまり月日家を乗っ取り、ディアヴォロスの支配下となる目的で蝕夜と手を組んでいたことになる。
蝕夜はそれがわかっていながらも、ゲス=星河会長を受け入れ共に過ごしていた訳は絶望に落とさないためだ。
前世の僕の記憶を見る限り星河家と月日家は互いに認め合っている存在。だから失いたくはない思いが含まれているような気がする。
姉さんを閉じ込め昏来と昏未に父さんを奪ったのは許せないけど、なぜか蝕夜が悲しむ顔なんて見たくはない。だから僕は星河会長を止めるんだ。
遠距離では無限拳銃で撃ち、近距離になったら槍を振るう。美汐が言っていた被害が大きくなるという意味。本当に地下にいる捕食人間を処分するつもりなのか。
星河会長に攻撃を当てていると僕の名を呼ぶ莉耶の声が聞こえて、まずいと莉耶を庇った。右肩に噛み付く星河会長だが僕の血を飲んだらどうなるかわかっているよね。
星河会長は何かを察ししたのか離れるも、頭を抱えて叫び出し気絶してしまった。
「莉耶、大丈夫?」
「あれなんなの?」
「悪魔になりかけている星河会長。ネオリオ人を食すこと事態間違っている。もちろん、捕食人間もだ」
倒れてしまった星河会長の近くに寄ろうとしたら、またまた邪魔をしてくれる昏来と昏未。さてとお仕置きの時間と行こうか。
「喰さんは誰にも渡さない!」
「喰ちゃん、しっかりして!」
「昏花、頼める?」
「もちろん」
昏来と昏未から星河会長を奪い、返してと無鉄砲に動く昏未だが昏花の一撃でやられる。やっぱり僕の妹だと昏花はエンヴィリオに星河会長を託し、僕の隣に立つ。
「私は昏未を」
「じゃあ僕は昏来だね」
そう言いながら僕は再び昏来に攻撃を当てていく。さっきとは別人のように昏来は僕の攻撃を受け始めていた。どうした昏来。さっきの勢いはどうしたと槍を振り回し昏来に当てて行くも、昏来は僕に攻撃をしようともしない。
やはりそう言うことだったんだな。主人が倒れるとどうしていいのかわからず力を失う。前世の僕が調べていたことを思い出した。
次第には目を赤くし涙を堪え始めていて、辛いと僕に言い出す昏来。僕は武器を捨て大丈夫と優しくハグすると辛かったと叫び出す。昏来につられて泣き始める昏未はもう嫌だよと武器を捨て昏花が慰める。
星河会長から受けていた教育はどういったものだったんだろうと昏来を慰めていたら、星河会長を託していたエンヴィリオの様子がおかしい。
僕は昏花を呼び、昏花が気づいてくれてエンヴィリオを解除し星河会長が落ちる。
「澪乃なんかいなくなればいい……」
「星河会長?」
星河会長が叫び出し完全に悪魔化となって昏来と昏未を奪おうとし、槍で一度塞ぐも別のところからやられてしまって昏来と昏未が奪われてしまった。
しまったと槍を投げ刺さっているもそのままどこかへと連れて行き始める。行かせるかとバイクに乗り昏花が後ろに乗ったのを確認し星河会長が向かった方角に出発した。
襲ってくるディアヴォロスは昏花が無限拳銃で撃ってくれる。急げと速度を上げて行くと後ろに乗っている昏花が指を指して教えてくれた。
「あそこ、神パーティーの会場だよ!」
パーティー会場に何があるんだと入り口に到着してみると、プラネットコード社の人たちが倒れている。安否確認をして大丈夫だと確信し、その先へと急ぐ。
なんだろう、この胸騒ぎはと走っていたらあちこちにアンスローが多くいて、プラネットコード社員がアンスローを倒していた。
「昏斗、昏花!」
「莉耶、桜庭課長たちは?」
「違うところで戦ってる。それより大変なことが起きたの。澪乃会長が……」
胸騒ぎってこのことだったのかと莉耶に案内してもらって行ってみたら、澪乃会長が無限拳銃を持ちその向こう側にはアンスローに似ている人物がいた。
「桃花会長……」
「信じたくはありませんでしたが、これが現実。父も母も死んだと聞かされていましたが、父と母は星河喰雅によって実験体にされた。許さない、何があっても星河喰雅を絶対に許さない!」
桃花会長はアンスローとなったご両親を排除しようとして、僕は思わずエンヴィリオを出現させ桃花会長のご両親を守る。どうしてという顔立ちで、昏花お願いと昏花にやってもらう。
「桃花会長、お忘れですか?僕ら真神家は人に戻せる力がある。ご両親も治せることを」
あっと無限拳銃を構えるのをやめた桃花会長で、莉耶が大丈夫と寄り添ってもらっていたら昏花がおかしいと言い出す。
「昏斗……この二人何かがおかしい」
「おかしいって何が?」
僕が近づこうとしたら父親の方が動き出して、立ち上がり桃花会長を襲い掛かろうとして止めに入る。昏花は確かにバラの剣で刺した。それなのに戻らないのはなぜだと思考を膨らませていたら蝕夜が現れる。
「やっと会えたね。澪乃桃李の娘、澪乃桃花。僕はゲスがやっている行為は見過ごせない。だが桃李は僕たちを排除しようとした。それを止めてくれたのは紛れもない、ゲスだ。今、このようになっているのは懐かしい匂いが目の前に存在しているからだ。このままだったら義弟昏斗が食われるから、今すぐ逃げるといい。桃花がいなくなれば桃李は落ち着きを見せる」
言っている意味がわからないと桃李元会長を止めていると、ふじさんがやって来て行きましょうと言うも桃花会長は逃げようとしない。
「……あなたがディアヴォロスの帝王、月日蝕夜さんですか。私が思っている人ではない。あなたは偽者。あなたは一体何者なんですか?」
桃花会長、何を言っているんだ。正真正銘、ディアヴォロスの帝王である月日蝕夜。蝕夜は何も喋らず、桃花会長を見ていて桃花会長も逃げるつもりはなさそうだった。
⁑
まただ。昏来と昏未も偽者悪魔と言ってた。プラネットコード社会長である澪乃会長がそう仰るってことはここにいる蝕夜は一体何者なの。
沈黙の中、周りから聞こえる銃声の音だけが聞こえ、早く昏来と昏未を助けに行かなくちゃいけないんだけどな。そう思っていると蝕夜はふっと笑って桃花会長に言い放つ。
「僕は正真正銘、月日蝕夜である。さっさと逃げるがよいと言っているだろ?それとも父親に食されたいのか?」
「構わない」
「なら好きにすればよい。昏花、行くぞ」
ちょっとと腕を掴まれて場所が切り替わってしまった。昏斗とバディ組ませてくれたの蝕夜じゃんとプーッと頬を膨らませるも蝕夜は振り向かず立ち止まったまま。
何立ち止まってるのと蝕夜の顔を覗いたら、心に閉まっていたであろう悲しみが込み上げているかのようだった。
「蝕夜、そんな顔したら私困っちゃう。いつもの蝕夜に戻ってよ」
蝕夜の手を握るもいつもの蝕夜には戻らなくて、偽者って言われたことが相当ショックだったのかな。
「昏花、僕は正真正銘……偽者である。気づかれるのが怖かったのだ」
「本物の蝕夜はどこに?」
「僕の体内にいる……。僕は月日蝕夜を食したネオリオ人。破神星。数年前、ネオリオ社のアステル幹部にいた」
信じられない真実になぜ一番知りたがりそうな昏斗に伝えなかったのか。想像しても昏斗はきっと蝕夜を受け入れてくれるはずだ。
「桃花にも見抜かれた今、僕はここにいる資格などない」
「違う。蝕夜は蝕夜だよ。過去に何があったのかは知らないけど、今までやり過ごせていたなら最後まで月日蝕夜として動けばいい。みんなになんて言われようとも私は応援するよ」
蝕夜は今でも泣きそうな顔になりながらぎゅっと私を抱きしめありがとうと感謝を述べる蝕夜。そうか。前世の私はこの人を知っている。破神星、その名に懐かしいような感覚を味わい、私たちは巡り会う運命だったんだ。
昏斗や他の兄弟たちには知らない記憶が今、蘇ろうとしている。順調に進めば前世の私がどうやって動いていたのかわかりそうな気がした。
「蝕夜、私はずっとそばにいる。だから怖がらないで」
「昏花、少し楽になれた。本当に感謝する」
「ならよかった。それでどうやって星河会長を止めるの?」
「それならすでに準備は済ませている。ただ桃花を避難させてからではないと始められない。昏斗がつけている僕の目で見れるがまだそこにいるようだ」
「昏斗に連絡してみるのはどうかな?」
さっき変な形で冥王星プルイーナスに帰って来ちゃったけど、昏斗に事情を話せば動いてくれそう。
蝕夜は少し迷っているも、連絡をとってみるようで、私は鈴哉さんに連絡をとってみることにした。




