24僕は追、私は恋
僕と星音が鉱山エリアにあるショップで品物を見ていたら、聞いたことがある声でそちらに目をやると甘ちゃんと昏希がいたのだ。僕は思わず品物を落とそうになりキャッチする。なぜよりによってこんな場所に出会すことになるんだと。吐息が出ながら品物を置いているとちょんちょんと突かれた。
星音が何か見つけたのかなと横を振り向くと、仮面を被った水神潤でお腹を一発殴る。
「いたたたた、何すんの」
「無性に殴りたくなったので殴りました。僕は偵察に来たわけじゃない」
「そう言って実際は金神さんのことが気に食わないからって某に当たらないでもらいたいよ」
「妹さんのところに戻ってあげたらどうですか?凄く心配してましたよ」
あはははと誤魔化す水神潤で売っているぬいぐるみを一つ手に取り、小声でなぜここにいるのかを教えてくれた。
「ここに来たのは金神蓮を探せってお前の兄ちゃんに言われてんの。これは金神のおっちゃんには内緒な」
「どうして?」
「今までは愛蘭ちゃんがずっとプラネットコード社にいたから、見逃してたらしいけど、こっちに来たことで金神のおっちゃんが仕事を放ったらかして暴走しまくり。だから金神のおっちゃんには消えてもらう方向性で考えてるわけよ」
兄さんが甘ちゃんのことを考えてくれていたとは知らず、ここは任せていてもいいってことでいいのだろうか。まだ腑に落ちない部分はあるけど様子を見るしかなさそうだ。
まずいから退散するねとぬいぐるみを持ったまま昏希と甘ちゃんのところへと行き、ちょうど星音が見て見てと僕に見せて来たのは宝石をモンスターにしたぬいぐるみだった。
「星音ってこういうの好きなの?」
「え?ちっ違う。昏斗が喜びそうだったから」
そうは言ってもこういうマスコット的な物が好きなんだと、顔を見ればわかり星音の好きなものを発見した。僕はそのぬいぐるみがあったコーナーへ行き、マスコットを一緒に選んでいると流彗くんたちが入って来た。
流も欲しいと言い出しじゃあお揃いにしようかと選んでいたら、星音が時間らしく一度僕たちから退散する。八雲くんもこれが好きなのか真剣に選んでおり、蝕夜は昏花のためにとアクセサリーコーナーで何かを選んでいるようだ。昏花は何これと目を輝かせながら大きなぬいぐるみに飛びついている。
記念に買ってあげようかなと流彗くんが選んだマスコットと、八雲くんが選んだマスコットを受け取りお会計を済ませ、昏花が抱きついているぬいぐるみも会計を済ませた。
どうぞと流彗くんと八雲くんに渡すと嬉しそうに感謝をもらい、昏花にそれ買ったからと伝えたらありがとうとぬいぐるみにもっと抱きつき僕にしか見せない笑顔を出す。
それによって蝕夜は鼻血を一気に出し倒れてしまって、医務室へと運ばれてしまった。何をしてるんだかと心配になった僕たちは鈴哉さんに一本連絡を取ってもらう昏花。
「医務室に行ってくれるらしいから、私たちはそのまま遊んでて構わないって言ってくれたけど、どうする?」
「星音のショーもあるから莉耶たちの席取っておこうか。えっとショーをやる場所は宝石エリアにあるみたい」
凄い人で座れそうにないかと周辺を見ていたら八雲くんが前の方へと行ってしまい、なぜかそこだけ空いていたのだ。座っていいのかなと思えば、サングラスを外しいらっしゃいと顔を見せてくれたのは茜さん。
「あなたたちが遊んでいる間に席を確保していましたの。アプロディティスが観てほしいって言うものだからあたくしもご一緒に観るわ」
そうですかと座ってショーの時間まで談笑していると、莉耶と鈴哉さんも到着し蝕夜はと聞いたところ大丈夫だから行って来て構わないと言われたそうだ。まあいいかと二人も座ると開演時間らしくショーが始まった。
内容はまず双子が優雅に暮らしていたが、ある日突然と引き離されるシーン。そこからは引き離された双子の人生が描かれている。そして娘役として登場したのが星音だった。父親に受けている行為は間違いなく甘ちゃんそのものだとわかる。
子供達はなんだこのショーとつまらなさそうに見ているも、八雲くんだけはなぜか真剣に見ていた。
これはさすがにやばいんじゃと観ていると責任者は誰だと叫び出したのは、紛れもなく金神銀次でステージへと上がり演出者に講義をし始める。これは評判に悪いなと観ているも昏希や水神潤が止めないのはさっき教えてくれたことだろう。
そしたら責任者が現れたかと思えば、アプロディティスと昏花がボソッと言ったことで、あれがアプロディティスなんだと理解する。
「責任者はこの妾。ショーに不安でもあるのか?観客が観ているというのに図々しい男。それともお主が日常的にやっているというからこのシューを止めたのか?」
「貴様、何様のつもりだ!こんなの子供が観るショーじゃないと言っているんだ!」
「ほう、子供が観るものではないと。確かにそうだがここにいる観客はお前を誘き出すためのエキストラでもあると言ったらどうする?」
金神の様子がおかしくなり馬鹿なと席に座っている甘ちゃんたちを連れて、出ようとするもモンディガがガードして止めに入った。
「昏希、水神、殺せ!」
二人に指示をする金神で動こうとした時に甘ちゃんがやめてとモンディガの盾となる。
「愛蘭、そこをどけ」
「嫌だ。こんなの間違ってる!ディアヴォロスだって生きてるんだよ。捕食人間を食すディアヴォロスは憎くても、ディアヴォロスだって何かを食べていかないと生きていけない。それなのにお父さんはディアヴォロスを平気で食していること事態間違ってる!」
「私に逆らうとどうなるかわかっているよな?昏希くん、愛蘭をどかせ。私がこいつらを排除する」
甘ちゃんは今でも泣きそうな目をして、昏希が動き出し嫌だとモンディガから離れてしまった。こっちも動いた方が良さそうかと、席に立つと観客全員が無限拳銃を構えた。これはどういうことだろうか。
アプロディティスはステージから降りて金神銀次に近づき、金のディアヴォロスであるフリソスを数体出した。
「観客の皆はお主に家族を奪われたエクリプス人や。罪を償わないお主を抹殺しなければならへん。妾の妹にしている罪、妾たちを邪魔者扱いし売った罪。そして一番憎き罪、妾の愛しい弟を殺害した罪。何があっても許さへん!」
エクリプス人たちが一斉に金神に飛びかかったタイミングで、悲劇が起きエクリプス人たちが一斉にやられる。まだ慣れていない流彗くんは、見ないように自分で手を当てていた。
予想以上にアプロディティスの読みをいち早く逆手に取ったのは昏希のようで、薔薇の二刀流が赤く染まっている。
「くだらないショーを観せられ、とても不愉快である。復讐のためであろうとも、余は受け入れられないし、金神はそういう人物であっても兄上が認めている男」
昏希はアプロディティスに言い放つと今度は僕に向かって言葉を言った。
「昏斗兄上、失礼であるが、ディアヴォロスと手を組んでいるのならば、愛蘭を預けられないと、昏有兄上から直々の言葉ゆえ。もう二度と愛蘭との接触を不可能とさせてもらう」
昏希は甘ちゃんの手を取ってというか思いっきり引っ張って、すーさんと手を伸ばして助けを求めている甘ちゃんがいなくなってしまう。行こうと思っても待ったーと水神潤がその先に行かせないように立つ。金神銀次は僕に甘ちゃんの退職届を渡して昏希と甘ちゃんを追いかけて行った。
「某を倒していこうだなんて思わないほうがいいよ。今、水の精霊がこの広場を固めている。動こうとしたら軽い怪我では済まないよ」
「さっきの話は嘘だったんですか?」
「んーそれは昏斗が決めていいよ。某は言われた通りに伝えただけだからさ。まあだけどディアヴォロスと手を組むのはオススメしない。もう答えはわかっているならネオリオ社と手を組んだほうが、いつでも愛蘭ちゃんには会わせられるよ。おっと準備ができたらしいから、某は退散するとしよう」
地面からいきなり水が現れ水神潤を包み消えて行ったことで近くにいたエクリプス人の安否確認をとる。脈はまだあるしわざと急所を外した。それに血の匂いが薄めたケチャップのような匂いがする。
それにしてもあれは初めて見る薔薇の剣だ。僕の場合、剣、大剣、弓、槍、斧。昏花の場合、短剣、剣、弓、ナイフ、薙刀。姉のは覚えてないけど武器は様々だった。けれど前世の記憶では二刀流を持つ兄弟はいなかったはずで、自ら磨いたものだろうか。
隠れていたらしい桜庭課長たちが降りて来て、僕は甘ちゃんの退職届を提出するも、それをぐしゃぐしゃにする桜庭課長。
「とにかくエクリプス人たちを病院へ連れて行こう。君がアプロディティスだね。同行を願いたい」
「なら妾の社で話すとしよう。星音、すまぬが、至急救急車の手配を頼みたい」
「はい」
星音は救急車を呼んでもらっていると僕の裾を引っ張る流彗くんで、どうしたとしゃがみ流彗くんの顔を見てあげる。
「どうして人を傷つけることができるの?みんな悪いことしてないのに、傷つけるだなんて酷いよ。流、みんなを守れるように強くなりたい」
流彗くんは神パーティーや神舞踏会をまじかで見たことがないからディアヴォロスの憎しみを知らない。それにネオリオ人がディアヴォロスを食していることも教えてもらっていないんだろう。
だから流彗くんは単純に心を痛め解決方法を探しているということだ。すると八雲くんが流彗くんに言う。
「流は流のままで、流にしかできないことをしていけばいい。それでも他の人たちを守りたいという気持ちが強いなら、お父様に直接聞いてもいいんじゃないかな?」
「うん!お父様に聞いてみる!」
八雲くんは流彗くんを連れて一度現場を離れてもらい、到着した救急隊がエクリプス人を運ぶ作業が始まった。本当はもっと遊びたかったけれど仕方ないか。
まだ終わりそうもなくそれぞれ話し合っていているから、今のうちに昏花と話しておこうと声をかける。
「昏花、ちょっといい?」
「何?」
「三男の昏来と三女の昏未がクレヴィー社にいるかもしれない。もし会う機会があったら、二人のことを頼みたい」
「急にどうしちゃったの?」
「前世の記憶で昏来と昏未は敵地にいて、僕らを殺すための暗殺者でもあったらしい。その時は兄さんの力で窮地は乗り越えたけど、今はそれぞれバラバラで過ごしてる。もしかするとまた同じ運命が起きるんじゃないかって思うんだ。もし見かけたら手紙でも連絡でもいいから教えてほしい」
「私の記憶にはないけど、昏斗がそう言うなら会ったら連絡するね。それと私、昏斗捜索隊としてではなく、もうクレヴィー社がやっている仕事に就こうと思う。最初は昏斗に会いたくて、特別に昏斗捜索隊を作ってくれたけど会えたから十分」
昏花の決意に僕はちょっぴり寂しさを感じるも、昏花が新しい道に進み始めたことに兄として応援しなくちゃね。
僕は昏花の両手を握り、そしておでこをくっつけて僕の気持ちをしっかり伝える。
「わかったよ。じゃあ僕は昏花を探さない。ちゃんとクレヴィー社の社員として働く昏花を応援する。僕もプラネットコード社がやっている仕事を全うするよ。だけど無茶だけはしないでほしい」
「昏斗も無茶しないでよ。私はほら、蝕夜がいてくれるからいいけど、ディアヴォロスとの戦いはまだ終えてない。これから先、いろんなことが起きるけど、本当に大きな怪我だけはしないで」
「なるべく努力はするつもり。僕はこれから他の兄弟ともぶつからなくちゃならないし、昏花も他の兄弟に会って辛い思いもするかもしれない。それでもこれだけは忘れないで、昏花」
おでこを離しあの時が蘇りそうだと昏花の頬を撫でて口に出す。
「僕はいつだって昏花の味方だよ。どんなに離れ離れでいようが、昏花が助けを求めた時、必ず現れる。神パーティーの時、本当は行きたかったけど難しいからと影神が行ってくれた」
「私のためにありがとう」
僕にしか見せない笑顔を見せ、本当に昏花は可愛いんだからと、昔みたいにハグしようとしたら視線を感じみた。蝕夜が無表情でしかも近くに顔があり、昏花の手が離れる。
僕、何かしましたか兄君と言いたいぐらい昏花との距離を離され、桜庭課長たちがにやにやと笑っていたのだ。次第には僕の両頬を抓り始めて痛いですと言うも蝕夜はしばらく喋ってはくれなかった。
⁑
こうやってみると昏斗と蝕夜が兄弟に見えると笑っていたら莉耶ちゃんと星音ちゃんがこっちに来る。
「ねえ昏斗ってどんな物が好きなの?」
「私もそれ気になってたの。昏花ちゃん、ずっと昏斗と過ごしてたんだよね?」
もしかしてこの二人、昏斗に恋をしてるのとびっくりするも、星音ちゃんは初めて会った時から気づいた。まさか莉耶ちゃんも昏斗のこと好きだなんて三角関係じゃんと二人の恋を応援したくなっちゃう。
「昏斗の好きな物って言っても、趣味が星の観察だよ。一緒に住んでた頃はずっと星眺めてたのが印象だったな」
「プラネタリウムとか好きなんだね。参考にさせてもらおう」
「私も参考にさせてもらうね。あっ莉耶ちゃんには負けないんだから」
恋のライバル同士でも仲がいいのは短い時間、一緒に過ごしてもらったけどきっと相性がいいんだろうなって気がした。
「そうだ。今度の休みに三人でどっか遊びに行かない?」
「それいいかも。蝕夜様に許可もらえたら遊びに行こ、昏花ちゃん」
「でもプラネットコード社とクレヴィー社を連むのはあまりよろしくないんじゃないの?」
「そこは任せなさい。私の力で変装道具いっぱいあるから」
そう言う問題じゃないんだと思うなとありがとうと一応感謝を述べて、談笑していると全て片付いたらしく私は蝕夜の隣を歩き、莉耶ちゃんと星音ちゃんは昏斗を挟んで喋っている。
私も恋話したいよと思っていると階段で躓いて転びそうになったところ蝕夜が助けてくれた。
「ありがとう」
「何を考えていたのかはわからんが、何か悩みがあるなら言ってもよい。それとも言いにくいことがあるなら茜に相談すれば良いぞ。特に恋話の相談相手には茜が一番だと噂で聞いているからな」
見抜かれたと一瞬身を引いちゃいそうなぐらいびっくりしちゃって全身が赤くなってそうだと思いながらクレヴィー社へ出発した。
⁑
嫌だと言う愛蘭ちゃんの叫び声が聞こえるも止めることはできなく、部屋の外で待機していた。本当に昏希はそれでいいのかと部屋の中で、金神がしていることを見ている。
資料の通り金神は某たちに内緒でディアヴォロスと取引を行っているから、それをどう暴くのかは昏希に任せると昏有からの指示。某は昏希のサポート役として選ばれたわけだけど、早く女の子をナンパしてどっか遊びに行きたいぐらいだよ。
スマートウォッチの画面を開き可愛い女の子の画像を見ていたら、また着信が入り雫だろうと念のためメールを確認した。
いい加減、お兄ちゃん帰って来てください。お父さんとお母さんの命日絶対に忘れないでよ。絶対だからね!
わかってるってと久々にメールを返信し、雫がまだ幼い頃に某の両親は新城心に殺されたと金神が最初そう言っていた。某の家柄は水の神ということもあり水の力を得ている。某が神とか認識していなくても水星ヘルスミエは某の家柄のもと成り立っていた。
元に戻してくれた昏斗くんには感謝をしているけど、昏有は昏斗がプラネットコード社に入ったことで、最近は昏有の態度が荒々しい。なぜなら昏有が一番溺愛していた兄弟が昏斗くんだから手元にいないとすぐ不機嫌になる程、昏斗くん愛がやばい。
本当はこのまま昏斗くんまで連れて行きたかったけど、そうもいかなくなった。それはそこにみんなが憧れる星河星音ちゃんがいつもいるからなかなか昏斗を捕まえることが不可能。
某も星音ちゃんのファンであるけれど、悪魔を食しているからランチやディナーに誘えないんだよね。一度悪魔を頬張ったら普段の料理が食べられなくなるとか。だけどいつ見ても星音ちゃんはいいとついネットで見てしまう。
すると部屋から出てきた昏希が動いたから、画面を閉じ昏希の後をついていく。
「もういいの?」
「うむ。昏有兄上から連絡は?」
「ないよ。それよりフィアンセ守ってあげなくていいの?」
「金神に感づかれるから、もう少し辛抱してもらう。例の件は整ってる?」
「できてます、昏希坊ちゃん。えっと影神だっけ?そいつに渡せばいいんだよね?」
「うむ、影神は影を利用していると昏有兄上から聞いた。だから失敗るようなことすれば、昏有兄上はきっと潤のことこれすると思う」
あるポーズを取ってわかってますと冷や冷やしながら、某は一旦昏希から離れて影神という人物に会いに行った。




