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プラネットコード(改訂版)  作者: 福乃 吹風
24/78

22僕は用、私は思

 ネオリオ社に到着したら何も起きてはおらず、どうなっているんだろうか。ネオリオ社ではなく地下にある金神が経営している店に突撃しているとしたらC街へと行っている。

 そこ菊太に聞いておけばよかったなとプラネットコード社に一度戻るかと甘ちゃんを乗せて帰ろうとしたら声がかかった。後ろを向くとこの前ぶつかってしまった女の人だ。


「かわえぇ子やなぁ。かわえぇ子にこれあげるさかい、お食べやすなぁ。昏斗はん、どうか金神銀次を倒してください。倒してくれないと、妾が殺してしまいそうなんや。よろしゅうお願い致します。ほなさいなら」

「お待ちください。あなた、もしかして」


 僕と甘ちゃんにお辞儀して去って行ってしまい、追いかけようとしたけれど車が動き出し見失ってしまった。あの人はきっとアプロディティスに間違いはない。

 女性の姿でもさっきの言葉、妾が殺してしまいそうとうのはおそらく父親を殺害するかもしれないということ。アプロディティスの情報はあまり入手できなかったと影神が言ってたから、あの人がアプロディティスなんだろう。


 僕の裾を引っ張る甘ちゃんがさっき貰ったのを見せてもらうと、ただの金平糖が入っている瓶だった。


「食べていいのかな?」

「大丈夫。ただの金平糖だよ。すーさんがもしかしたら戻ってきてるかもしれないから戻ろっか」

「うん」


 ペンを起動しバイクになってそれに乗り、僕と甘ちゃんはプラネットコード社へと引き返す。ネオリオ社に行っても桜庭課長たちがいなかったのが疑問点だ。てっきりネオリオ社の人とやり合ってそうだった。

 それとも地下にある街に行ってネオリオ社の人たちを片っ端らから倒していくとなれば捕食人間が通報してクレヴィー社がやってくるはず。


 それが狙いなのかとバイクを走らせて赤信号になり停止していると隣の車の窓が開いてなんと流彗くんが顔を出したのだ。


「昏斗、久しぶり!」

「久しぶり、流彗くん。元気だった?」

「うん!あのね、昏斗、よくわかんないけどこれ昏斗にあげる。それにお姉ちゃんが出演するの!」


 チラシを受け取りなんだろうと確認してみると、大きな遊園地でショーをやるらしく娘役として出演するらしい。へえと見てたら信号が変わりまたねと手を振りながら行ってしまわれ、僕もバイクを走らせた。


 結局そんなこんなで夕方五時となってしまい、プラネットコード社の前に金神銀次が乗っている車がある。僕の服を掴み行きたくなさそうな顔をしているもバイクから降ろしてあげ甘ちゃんの目線で伝えた。


「甘ちゃん、大丈夫。月曜日になったらすーさんに会えるからそれまで辛抱できる?」

「怖い。一人になりたくない」

「んーそうだな。だったらこれを甘ちゃんにあげる」


 僕はずっとつけていたミサンガを甘ちゃんにつける。


「これはね、姉さんが僕にくれたお守りのようなもの。昔の僕はずっと大好きな姉さんの後ろに隠れるほど臆病だった。そんな時にね、姉さんが怖くないようにお守りを作ってくれたおかげ。僕はこのお守りで強くなれたようなものかな。だからこれは甘ちゃんが持ってて構わないよ」

「ありがとう、昏斗」

「何かあったら連絡してもいいし、僕の弟である昏希でもいいから相談して。僕ら真神家は甘ちゃんを見捨てたりしないから」


 甘ちゃんは僕に一度ハグをして大丈夫と背中を摩り、本家へと帰られバイクをペンに戻し僕はプラネットコード社の中へと入った。土日は会えないけれど月曜日になれば会えるからいいとして影神に裏を取ってもらわなくちゃならない。いくらなんでもおかしい部分があったからだ。

 父さんと母さんがテオスパーティーに呼ばれたのは約二年半前のことで弟の年齢は甘ちゃんと同年代だとすると十歳から十二辺りの年齢。だから絶対にあり得ないはずだし母さんは妊娠なんてしていなかった。そもそも僕らと育つはずだったのにどういう理屈でそうなったのか確かめなければならない。


 兄さんが助けた母さんは偽物なのか、そもそも母さんだけはネオリオ社にいて違う人が一緒にいたとすればどうだろうか。そこは影神に聞かなければならない。


 第七捜査課室に戻ってみると負のオーラがだだ漏れで、皆さん同士たんすかと言いたいぐらい死にそうな顔をしている。海さんも珍しく魂が抜けてるんじゃないかというぐらい酷い顔をしていた。

 唖然としているとシャワーを浴びてきた莉耶が平然とおかえりというものだからただいまと伝える。


「皆さんどうしたの?」

「私は一度止めたの。行ったって無駄なのわかってたから。桜庭課長たちがネオリオ社に乗り込むって言い出して、心配になったからついてったの。そしたらさネオリオ社で働くネオリオ人が汚らわしいとか、あなたたちと一緒の扱いを受けたくないとか、悪魔の餌と一緒にしないでとかボロクソ言われてあんな状態になっちゃった」


 それはさすがに傷つくはずだわと僕は一応ネオリオ人だからそういう扱いは受けていないけれど、捕食人間の皆さんはネオリオ人にイジメ系を受けているということか。だから余計に僕はネオリオ社に行きたくないんだよね。そういう差別化するの僕は大嫌いだし、前世の僕もそう感じ取っていたのは確かだ。

 水星ヘルスミエよりここは金持ちボンボンが集まる場所でもあるから差別化をしたくなるのだろう。


 金星アプロディロの指揮官を変えなければ、差別化はなくならない。だとすると金神家の者を変えなければならないから甘ちゃんかもしくは息子に頼るしかなさそう。それにこれ以上金神銀次の思い通りにはさせない。


 僕は桜庭課長のところへ行き魂を戻してあげるも、ぼーっとしてしまっているがさっきのことを報告する。


「桜庭課長たちがネオリオ社に行っている間に、金神銀次と接触できました。そして甘ちゃんは父親の元に戻っていることも確認がとれ、もう一つ。僕の四男である昏希とも接触し、昏希のフィアンセになったことも確認できましたよ」


 報告すると目をパチパチさせ本当かといきなり立ち上がり桜庭課長の顔が近い。それに第七捜査課室にいる皆さんが驚きの声を一斉に出したのだ。

 莉耶は髪の毛を乾かしながら本当なのと質問してきてその続きを報告する。


「まだ僕も実感はしてないけど、以前海さんが連れてってくれた店で判明してたから兄弟に会えることは嬉しかったよ。それで桜庭課長、金神銀次と取引を行いディアヴォロスの肉を毎週届ける代わりに、月曜日から金曜日、朝九時から夕方五時までの出勤を認めてくれました」

「だけどディアヴォロスの肉はなかなか手に入らない。狩ったとしても質がいい肉はすぐ溶けてしまう」

「そこはご安心ください。もう手配は済ませています」

「影神という人か?」

「違います、海さん。頼りがいのある兄君に一本連絡したところ、すぐ手配してくれると仰っていたので大丈夫かと思います」


 連絡した時は昏花愛が止まらずなかなか切り出せなかったけれど、僕が困っていることはわかっていたらしく、毎週金神家に送ってくれると言ってくれたからお願いしちゃった。それと今度恋の相談に乗ってくれと言われ勝手に日程を決められたのだ。

 まあ昏花に会わせてくれないのは承知してるから、普通に蝕夜とランチすることになっている。そこで少し気になることを聞けるからいいやと思ってしまった。


「甘露は元気そうにしてた?」

「少し怖がってはいましたが、桜庭課長や海さんに莉耶と会えるならと我慢してもらってます。ただそこで終わらせたりしない。今度頼りがいのある兄君とランチすることになったので、相談を持ちかけるつもりです。テオスパーティーにネオリオ人は呼べないかを」


 ざわざわとなり始め桜庭課長たちもそれを考えてはいなかったらしい。痛い目に合わせれば大人しくするだろうし、アプロディティスの暴走を止める切り札になるかもしれない。


「それは考えたことがなかった。ディアヴォロスと協力すること自体間違っている発想でも、僕らはネオリオ人に今まで勝ったことがない。これはいい機会かもしれない」

「昴が憂鬱状態になっている間、甘露の里親であった父親から情報を貰っといた。里親はテオス舞踏会で生き残り、クレヴィー社へ入社後、甘露の実兄と出会って甘露が万が一、実父に奪われた場合、テオスパーティーに招待すると言っていた」


 さすが海さんだねとまだテオスパーティーに申し込める。桜庭課長の言葉を待っていると桜庭課長が出した答えはこうだ。


「このノートを見せても効果は現れなかった。金神銀次が指揮官でいる以上、甘露にやっている行為は止まることもない。なら僕ら第七捜査課としてやることはただ一つ。僕らの仲間を返してもらい、金神銀次に天罰を下す。例え悪魔の手を借りようとも、僕らには甘露が必要だ。みんな、それでいい?」

 答えは一つで僕らは桜庭課長の言葉に頷き、テオスパーティーに出席することを決めた。 


 蝕夜とのランチにそれから星音の頼みごとの日程が決まり、それまではディアヴォロス調査に当たることになる。来週の土曜日は蝕夜とのランチに、日曜日は流彗くんと遊園地。

 昏希ともう少し話しておいたほうがいいか。いやだけどまずは情報が手に入ってから昏希と接触したほうがいいから影神を待とう。


 部屋に入り洗濯物を取り込んでいると、玄関についているポストから何かが届いたらしく菊太が持ってきてくれた。誰だろうかと送り主を見ると昏希で中身を拝見する。


 拝啓 昏斗兄上殿


 早速、余は昏斗兄上に手紙を書いてみた。本当はもっと喋りたいことがたくさんあったのに、潤が急かすからさっきはすまぬと思っている。何から伝えていいものか迷うのだが、余は兄弟と過ごした日々がほとんどないのだ。


 一度母上はクレヴィー社に捕まったと聞き、その時期にはすでに昏来兄上と昏未姉上が誕生していたらしい。しかし昏来兄上と昏未姉上はクレヴィー社に奪われて間もなく余の命を授かっていた。


 つまり父上は余たちを産ませるために母上は奪われたのではないかと考えている。昏有兄上は母上を救った時に父上と会っているそうだ。そこからエクリプス人となったのではないかと余や昏有兄上が予想している。


 昏有兄上はいろんなことをしてるから余と会う日もなく、遊んでもくれぬ。だが誕生日の日だけは休みを取って話し相手となってくれるから我慢できるからいい。

 だけど余の心はどこかで兄弟と遊びたい思いが強いのだ。まだ余は十二でも一度は兄弟喧嘩をしたり遊んだりしたい。昏斗兄上はわかってくれるだろうか。余の気持ち。


 昏斗兄上はずっと昏花姉上がいたからそんな気もちがなかろうとも、余はいつかこの気持ちを晴らしてくれると信じておる。ではまた時間がある時に手紙を出すぞ。 昏希


 なるほどね。きっと影神が兄さんか昏希と会い僕が知りたいことを教えてくれたんだ。昏希はまだまだ子供でありながらも、しっかりしているのは真神家として指導をしてもらっている結果なんだろう。

 そうとなれば僕も早速手紙を書いてあげようかなと便箋を買いに外へ出てみると明かりが多くあるのか星が観えなかった。


 雑貨屋へと到着し便箋を選んでいたら、チリンとドアベルが鳴り誰かが入ってくるも便箋に悩む。男の子だし可愛い系は却下で殿様のような口調だし縦書きの便箋とか。それともロボット系やなんかのアニメ系の便箋がいいかな。

 どうしようと悩んでいるとこんばんは、昏斗と声をかけられ振り向くと、目が奪われるほどの美貌さにうっとりしていたら笑われてしまい赤っ恥をかく。


「こんな時間にどうかしたのかしら?」

「えっと、どちら様でしょうか?」

「一度神パーティーでお会いしてます。鈴哉の指示で子供達を連れてったって言えばわかるかしら?」


 神パーティー、鈴哉さんと思い浮かべるとあっと思い出すと、反応がいいこととまた笑われてしまった。


「茜さん、なぜここに?」

「ここはあたくしの行きつけの店ですの。だからたまに買い物をしに来るのよ」


 てっきり連れて行かれるとかはなさそうだけど、ここは穏便に目的のものを買おうと便箋のほうに向けると喋り出した。


「そうでしたわ。あたくしたち、昏斗と昏花のご兄弟にお会いしましたの。生意気な小僧って感じでしたわ。どうしたらあのような子に育つのか知りたいですもの」

「そっちも昏希に会ったんだね。僕も会ったけど生意気とかは、いかなかったかな。可愛い弟って感じはしたけど何かを隠してるのはわかってた」

「用心しておくことね。あの子はとてつもなく狂気を感じましたの」

「言われなくてもわかってる。そうだ、昏花に渡してもらえる?」


 水星ヘルスミエを去る前に星音が教えてくれたお店で買ったものだ。サンダーソニアのピアスが可愛らしくて昏花に似合いそうとつい買ってしまった。

 花言葉は祝福、祈り、純粋な愛、愛嬌、望郷の言葉がある。昏花がクレヴィー社に入社したって聞いた時は、敵の社に入るのがはらはらしく感じてしまった。しかしながらその感情はすぐ消え、昔は何もしなかった昏花がちゃんと働いているという喜びのほうが強く祝福したいと思っていたからだ。


「渡しておくわね。それじゃあお目当てのもの見つけたらあたくしはこれで」


 会計を済ました茜さんは帰られ、便箋選びに戻って見ていくと星柄の便箋がありそれを手に取って会計を済まし僕も帰った。


 ⁑


 昏希っていう私の弟、なんか図々しく感じだった。私たちの前に現れてくれたら何も失わずに済んだかもしれないのにな。ため息が出ながら、自分の家で寛いでいると茜さんが入って来た。


「茜さん、今日は帰ったんじゃなかったんですか?」

「ちょっと渡したいものがあってね」


 渡したいものと疑問になりながら茜さんがくれた物を受け取ると、茜さんはさっさと帰られてしまう。のんびりしていけばよかったのにと中身を確認すると可愛らしいサンダーソニアのピアス。

 袋の中にまだ何かが入っていてそれを取り出すと星形のカードだった。開いてみるとそこには昏斗の字で、こう書かれてある。


 昏花、こんな形になってしまったけど就職おめでとう。兄ちゃん、凄く嬉しいよ。必ず迎えに行くから待ってて。約束。昏斗


 この言葉だけでも私は嬉し泣きしながら、サンダーソニアのピアスをつけ鏡でチェックする。昏斗らしいやと鏡を見ていたら蝕夜が入って来てどうしたと私の涙を拭う。


「誰かにいじめられたのか?」

「そうじゃない。昏斗からのプレゼントが嬉しくて」

「プレゼント?」


 蝕夜がどうやって昏斗と接触したんだという疑問の顔がつい面白くて、笑ってしまうもちゃんと説明してあげた。


「さっき茜さんが持って来てくれて、中身見たら昏斗からの就職祝いのプレゼントだったの。どうかな?」


 そう伝えるとそういうことかと納得してくれて、顔がにんまりになる蝕夜。


「凄く似合ってる。さすがやつがれの義弟昏斗だ。星音から大体は聞いていると思うが心の準備はできている?」

「会えるって思うだけで、どんな顔で会っていいのかわからない。私は違法者で罪人のようなもの。本当に会っていいの?」

「うむ、大丈夫。ただし毎日会えるとは限らない。それはわかっている?」

「うん。たまたま会長のお子さんが八雲くんと仲がいいから、来週の日曜日にお子さんと昏斗が遊びに行くところに参加させてもらえるんだよね」


「わかっているのなら良い。それとその日に何かが起きるかもしれないから、星音を頼む」


 はいと伝えて明日は遊園地に行くための服を一緒に買いに行ってくれるらしい。

 ドキドキしながらも早く昏斗に会いたいなと、蝕夜と談笑しながら一日が終わった。



 アダマスティン遊園地の景色は絶景なことですこと。

 実の父親に売り捌かれて早二十年を迎え、時を待っとった。妾とプルトナスを捨てた最低最悪変態親父。生まれて間もない愛蘭が泣いてはっても、弄ぶ姿を見てられひんくて、一度助けに入った途端、売り捌かれてしもうた。

 その結果、妾は有名の家柄の養子として育てられ、ずっと復讐をするための準備をしていた頃。プルトナスを引き取った里親は親父と知り合いやった。プルトナスはずっと愛蘭を探していることがばれよって、実の父親に殺されたんや。

 裁かれない父親はネオリオ社の指揮官でもあることで、誰も裁こうとしないのが憎い。せやから金星アプロディロに来よった、昏斗にかける。


「兄上」

「プルトナス、蝕夜様のおそばにいなくてよろしいんか?」

「蝕夜様が行っていいって言われたから来た。本当にあいつを裁くんだよね?」

「昏斗の力を借りるさかい。大丈夫や。愛蘭も取り返す。例え妾がネオリオ人に戻ってしもうても、プルトナスを死なせない方法を探すさかい」

「ありがとう、兄上。拙僧は兄上と一緒にいられるだけで嬉しいよ」


 ほんまに泣き虫やなぁとハンカチでプルトナスの涙を拭き、プルトナスは命を繋いでもらっている蝕夜様のところへ帰られ、妾も里親の家へと帰った。

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