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プラネットコード(改訂版)  作者: 福乃 吹風
19/78

18僕は遊、私は茶

 人混みに紛れたから大丈夫だろうけど、冥王星のペンダントが光り蝕夜が登場するだなんて思わなかった。それにあの人たちは僕のコードを見破られてしまい不覚だ。僕の読みだと兄が真神家の特徴を教えたか何かに違いない。そうじゃなきゃ今頃莉耶たちにばれていた。

 ただあの場にいた菊太にばれてしまった以上、このコードは剥がしといたほうがいいか。いややめておこう。

 歩いていると僕を呼ぶ莉耶たちの声が聞こえそちらの方へと歩いた先に、莉耶と甘ちゃんを発見する。


「急に走らないでよ」

「疲れた。おんぶ」

「おんぶはさすがに無理だよ、甘ちゃん。でも菊太には乗れるでしょ?」


 から元気な甘ちゃんはうんっと菊太に乗り始め、一緒に歩きながらさっきのことを打ち明けた。


「え?襲われた?」

「僕狙いでしかも兄さんがいるネオリオ社の人だった。だけど水神雫とは別格のグループ」

「それ糸ちゃんに話したほうがいいよ。せっかく和平結んだのに卑怯だよ」


 水木支部長を糸ちゃんと呼ぶ甘ちゃんで、どういう関係性なんだと一瞬思ってしまう。まあそれは一旦置いておいて追いかけてこないよねと後ろを振り向くもそんな感じではなさそうだ。

 蝕夜が止めてくれているけど、これはネオリオ人の弱点が入っているのかとふと思ってしまう。


「水木支部長には伝えとくけど、今は楽しまなくちゃね」



 二人もそう思ったらしく僕らは祭りを楽しんだ。


 あれから何も起きず良かったとプラネットコード社に戻り、報告書を作成していたらピコンとメールが届く。誰だろうと確認したら頼りがいのある兄君からだ。


 奴らは追い払ったからもう安心して構わない。あの奴らはネオリオ社の社員であっても別格だ。アステル幹部と呼ばれている。アステル幹部は五人いるからくれぐれも気をつけたまえ。ちなみに金星アプロディロのネオリオ社の指揮官には要注意だ。では金星アプロディロで待つ。


 なぜなのか僕に情報を教えてくれるのかが気になるもありがとう、兄君と返信しさっきのことを報告書にまとめ海さんに見てもらおうとしたが、普段通りに寝ていた。

 莉耶は甘ちゃんとどっかいっちゃってるし、桜庭課長はまだ祭りを楽しんでいると聞いた。だから課長代理である海さんに見てもらいたい。なんとかして起こそうと努力してみるもぐうすか寝ていた。

 カチンときた僕は菊太に頼み、机に足を上げている部分を噛んでもらうといつも通りに叫び出す。


「てめえ飼育員、何してやがる!」

「海さん、寝てないで仕事してください」

「今は休み中だろうが!」

「はい、そうですね。ですが先程起きたことを報告書にまとめたんで見てもらえますか?莉耶と桜庭課長いないんで」


 ったくと言いながら僕が作った報告書を見てもらい、見てもらっている間、菊太に餌をあげていた。どうかなと様子を伺いながら待っているとなるほとなと桜庭課長の机に置く。 


「アステル幹部が動き出したら、こっちもそれ相応の対処は必要だ」

「どういうことですか?あっ!そういえばさっき菊太が唸っていたのもそれと関係が?」


 菊太に聞くと人の姿になり、海さんのデスクに腰を下ろして、邪魔だと言われるも菊太は僕に教えてくれた。


「昏斗がこの社に入った時に教えたの覚えてるか?」

「スリウス犬はプラネットコード社につく犬だったっけ?」

「本来ならそうなんだ。でもネオリオ人と取引をし始めて間もなく、スリウス犬を数匹欲しいと言われたらしい。そこは親父から聞いた情報なんだけど、ディアヴォロスを逃さないための番犬とか言ってた。よくわかんねえけどディアヴォロスも捕食人間と同じく扱われているかもしれない」


 ディアヴォロスが捕食人間を飼うように、ネオリオ人もディアヴォロスを飼っているってことでいいのか。僕の記憶にはそういった一面はなかったけど、兄や父さんに母さんだったら何かを知ってそうな気もする。もし会えるならその時、聞こう。

 話していると桜庭課長が戻って来て、僕の報告書に目を通してくれた。


「昏斗が接触するとはね。まあいずれは接触するだろうとは思ってたよ。昏斗はディアヴォロスの帝王である蝕夜に、実の兄である真神昏有にも狙われている。そこは頭に入れとくこと」


 はいと告げたけれど蝕夜、ここ最近毎日のようにメールが来ているし、報告しても後先ないから平常通りでいいのだろう。


「そうだ。ひたると美汐はここに残ってもらことにしたよ。水星ヘルスミエをよく知る美汐にひたるはここ出身だからね」

「てことはもう行くんですか?」

「もちろん。荷物まとめて金星アプロディロに行くから用意して」


 せっかく仲良くなったひたると美汐と別れを告げるのは辛いなと思っても、僕は本社在勤でもありここに留まる必要はない。借りていた部屋を軽く掃除して荷物をまとめた。また会いに行けばいいかとリュックサックを背負って扉を開けたら、目の前にひたると美汐がいた。


「ひたる、美汐。ここは任せたよ」

「当たり前。さっさと行けば?」


 相変わらず毒舌でも目を逸らし寂しい雰囲気を出しているひたる。美汐は目を麗しながら別れの涙を堪えていた。


「なんかあったらすぐ連絡してよ。すぐ駆けつけるから」

「ありがとう、美汐。ひたる、僕はなんとしてでも鈴哉さんを元に戻すから待ってて」

「言われなくてもわかってる。あたいの師匠はたった一人、鈴哉さんだけだもん」


 そう言うと思ったよと今度は美汐に伝える。


「美汐、もし元彼に出会すようなことが起きたらなんとしてでも僕に連絡をして。僕が必ず助けに行くから」

「大丈夫。あたしにはひたるがいるし、困ったら水木支部長に報告するから安心して行ってきて」

「わかった。だけど二人とも無茶はしないでね」


 二人が頷いたことで第七捜査課室に入ると桜庭課長たちは準備が整っており、桜庭課長が最後、部下たちに告げた。


「これからはディアヴォロス退治ではなく治安を護る組織へと変わっていく。最初の第一歩がここ水星ヘルスミエだ。最初は争いが起きるかもしれないがディアヴォロスとネオリオ社と協力し合い水星ヘルスミエを守ってくれ」


 はいと部下たちが敬礼をして僕らも敬礼をし、本社在勤の僕らはそのまま金星アプロディロへと向かった。



 金星アプロディロってどんなところかなと宇宙電車に乗りながら星を眺めていると、隣に珍しく甘ちゃんがお菓子を食べながら座る。普段なら桜庭課長から離れない甘ちゃんだ。お菓子を食べるペースが落ち、いつもの甘ちゃんじゃないことに気づく。


「金星アプロディロに行きたくない……」

「何かあったの?」

「故郷がね、金星アプロディロなの。すーさんが拾ってくれなかったら今頃、あたし処分されてた」

「処分?」


 うんと返事してお菓子の袋を閉じリュックサックにしまってある一冊を取り出し僕に見せてくれた。僕だったらこの一冊は捨てるよ。それなのにどうして持ち歩いているのか甘ちゃんの瞳を見て確信した。

 甘ちゃんはこれを作った人を倒したい気持ちがあるも、瞳には恐怖に押しつぶされているようだ。


「金星アプロディロの人たちは美しくなければならないという勝手な決まり事をつけて差別化する。そのせいでキラキラした衣装やフリフリした衣装を着せ続けさせられた。嫌だって言っても無理矢理着せられて辛かった記憶しかないよ」


 甘ちゃんは体育座りをして体を縮こませながら、その続きを教えてくれる。


「何度逃げてもあたしは特別な子とか言われて鳥籠に閉じ込められる生活が続いてたの。そして裏社会であたし目的の人が現れてその人に一度買われたけど、その人は頭がおかしいって思うほどにある研究をしてたの覚えてる」

「なんの研究?」

「黄昏の花、リコーフォスを作り出す研究してたよ。あたしは特別だからって見せてもらってたけど、リコーフォスじゃない花が生まれてた」


 リコーフォスを作り出す研究のことは知らなかったことだし、新しい情報。リコーフォスは真神家にとって大切な花でもある。それが今、種すらどこにあるのかも不明の状態だ。以前影神が言っていたようにリコフォースは冥王星プルイーナスにて回収されているとなれば、あの力を解放できない。

 ただ僕にはこのペンダントがあるから助かったけど、リコーフォスの花を見なければ死ぬまで暴走し続ける。兄はリコーフォスが奪われたことで、研究するよう言われているのだとしたら危ない行為だ。

 それとも別の意味でリコーフォスを作り出す研究をしているのであれば一体何をする気なんだろう。


「何に使うとかは聞いたことない?」

「うーん、ない」


 はっきり言われてしまい、そうなると僕の勘では兄が使うために研究をしているか、真神家同様の力を得て攻撃してくるかのどちらかだ。

 これは早めに解決しておかないと後々やばそうなことが起きうるかもしれないと甘ちゃんの頭を撫でる。


「教えてくれてありがとう。何があっても僕らが甘ちゃんを守るから安心して」

「ありがとう、昏斗。すーさんの次に大好き!」


 甘ちゃんがいきなり僕に抱きついてそう来たかと甘ちゃんをなでなでしていたら桜庭課長が向かいに座った。


「こうやってみると兄妹のようだね」

「そうですか?」

「うん。僕が留守中の間は甘露のこと頼むね」

「どっか行かれるのですか?」


 ちょっとねとウインクされなんだろうと思いながら、金星アプロディロに着くまで莉耶と海さんを呼びトランプで遊んでいく。


 金星アプロディロへと到着し宇宙電車から降りてみると、水星ヘルスミエと違い豪華な駅のホームだ。しかもエクリプス人の服装も豪華すぎてセレブなんだろうと駅を出てみるとここはカジノ街らしく桜庭課長と海さんがニヤニヤと僕と莉耶に言ってきた。


「ここからは別行動。大人組はちょっとした任務があるから先へプラネットコード社に行ってて」

「早く行こうぜ。久々すぎて遊びたい放題だ」


 うわこの二人遊ぶ気満々じゃないですかと引いているも、二人は行ってしまわれた。まあいいや。車呼ぶかとスマートウォッチを開き、連絡先表を開いていたら僕を呼ぶ声が聞こえた。

 前を向くとそこに走ってくる星音で、お待ちくださいと鈴哉さんも現る。星音は僕に飛びついてきた。


「待ってたよ。莉耶、この前は助けてくれてありがとね」

「生星音ちゃんだ!眩しい!」

「星音、ちょっと離れて。誰かに見られたらやばいよ」


 そうだったと星音は僕から離れてくれて星音の車をこちらに呼び出す。その一方鈴哉さんはこの前ので僕と会うのが気まずいんだろう。


「この前は本当にすまなかった」

「いいよ。あれが本性だってことはわかったし、ひたるも復帰して今は元エルミスこと池谷美汐と行動してもらってる。それに鈴哉さんが気にすることはないよ。ひたるから嫌われようとしたんだよね?」

「まあそうなるかな。ひたるを寂しい思いをさせていたのは事実だしひたるを引き取ったのは僕だった。それなのに僕は昏無のことが忘れられなくて家族と部下を捨てたようなもの。莉耶、本当にごめん」


 海さんがこの前言ってたけど、鈴哉さんと莉耶を会わせてしまったが大丈夫そうか。ここで会うとは想定内だったけど、すぐに会えるとは思わなかった。


 車が到着しまたお前かというクレヴィー社の人でなんだろうこの感じと車に乗せてもらい、プラネットコード社まで連れてってくれる。

 景色はカジノ街ということもあるのかカジノの建物がいくつもあった。僕はそういう趣味はないけれど、一度行ってみようかな。


「カジノ街の他にも遊郭街に大きな遊園地があるの。甘ちゃんと莉耶は行ったことある?」

「私は一度だけ海と一緒に行ったことはあるけど、散々だった。海はずっとカジノに行っちゃって全然捜査できなかったよ」

「あたしは……生まれはここだけど、すーさんと出会って以来は行ってないよ」

「へえそうなんだ。私はお父様の付き添いで何度か訪れてるし、仕事の関係でちょくちょく来るかな。奏汰は初めてだもんね」


 星音に言われてしまい笑うしかなかった。まあそうですけど前世の僕は何度か来てはいたっぽい。ただ前世の記憶にはさっき甘ちゃんが話してくれた内容と関わっていたともいえる。

 それを伝えるのはもう少ししてからにしようと言いたいことを飲み込み星音に聞きたいことを聞いてみた。


「星音はこの人と接触したことはある?」


 一枚の写真を見せ星音はその写真を取り考えてくれるも、会ったことがないと僕に返す。星音の声や目の動きなど嘘はないことが、はっきりしたことで星音は本当に誘拐された子で間違いはないと理解した。


「どうかしたの?」

「いや。もし接触とかしたら僕に報告してほしいんだ。できれば鈴哉さんもお願いします」

「わかった。どういう人物なんだ?」

「元エルミスこと美汐が殺されかけたことで、蝕夜が力を与えたのはご存知ですよね?その人物が美汐を殺害しようとした新星ノヴァセリニにあるセリニ・ネアの一員。再びこの人物が現れる可能性が高いので鈴哉さん達も気をつけてほしいんです」


 それは初耳だと二人が驚いていて、本来ならば新星ノヴァセリニの人を知らない人が多い。


「じゃあそのセリニ・ネアの人たちが私を捜しているってことなの?」

「まだ詳細は掴めてないけど、星音がネオリオ人で本当の両親を知らないとなれば、星音は星河会長によって誘拐された子。娘を奪われた復讐とかで動いているかもしれない」


 星音は両親に会いたいという気持ちがあるかもしれないけど、セリニ・ネアはとても悍ましい組織と前世の記憶が言っているかのようだ。

 プラネットコード社に到着し僕らが降りて、気をつけるねと言いながら星音と鈴哉さんが乗っている車が行かれる。


「もっとお兄ちゃんと話したかったけど、また会えるよね」

「もちろん。さてと桜庭課長がいないから、支部長に挨拶しに行けないけど入ろう」


 僕らはプラネットコード社の中に入り、桜庭課長と海さんが来るまで第七捜査課室で待つことにした。



 まさか化粧を落としスーツを着たアプロディティスが、昏斗の課にいる瓜畑ちゃんと同じ髪質に瞳の色も同じで兄妹だと発覚する。

 ティーセットとお菓子を持ってきて椅子に座り淹れてくれながら話をしてくれた。


「妾は妹を守れず、先へと出荷されたんや。妾はカジノ街で有名の家柄にあるエクリプス人に買われ、弟は遊郭街にあるエクリプス人に買われてな。妾は優雅に暮らせていたはったんやけど、弟はちごうとた。一度ご主人に連れられ遊郭街へと連れてってもらった時に、やや有名な場所で激怒が走っとった。それはな弟がいる店やったんやけど、弄ばれている姿を見て、いられへんかった」

「食されなかったの?」

「ディアヴォロスはな、食す他にもペットや召使いのように人を買うことがあるんや。妾の主人は息子ができへんからと言って妾を買った。最初に食べた肉が人肉やと知って以来、もう人間には戻れへんと思いながらも弟や妹が心配やった」

「弟さんはその後、どうなったんですか?」


 紅茶を一口飲みアプロディティスは今でもそのディアヴォロスが憎そうな顔をしながら私に言ってくれる。


「弟は公開処刑のように死んでしもうた。せやけど弟の死の裏に黒幕がおると蝕夜様が仰り、蝕夜様の力で弟を生き返らせてくれたんや。今はプルトナスという名で蝕夜様の側近として動いてる」


 あのプルトナスがアプロディティスの弟だなんて驚きだし、性格が全然違うじゃん。まあ性格は別にいいとして要するにアプロディティスは弟を殺した犯人を捜しているってことでいいのか。

 真神家として私も情報が入れば教えてあげたいな。それに幹部の全員は元々人間だったと蝕夜が教えてくれた。だからきっと分かり合えるよねと、そこからはアプロディティスが今何をしているのかをお茶を頂きながら蝕夜が来るまで聞いてった。

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