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プラネットコード(改訂版)  作者: 福乃 吹風
18/78

17僕は和、私は眩

 あくる日のこと。僕は力を振り絞って寝てしまったが起きたら影神が寝室まで運んでくれた。全員に行き渡ったか少し心配になるもいい朝日だ。陽を浴びていると影神がアーリーモーニングティーを注いでくれてそれをいただく。

 久々に影神の紅茶飲んだけど、やっぱり美味しいな。


「ありがとう、影神。それで全員に行き渡ったかな?」

「えぇ。こちらをご覧ください」


 ポチッと壁に映された映像はディアヴォロスやネオリオ人に捕食人間が分かり合っている姿だった。よかったと安堵しこれで一つ目の惑星を取り戻せたというべきなのかもしれない。

 冥王星プルイーナスを除く七つの惑星を取り戻せば有利。されどいつどこで新手が発生するかわからない状況の中だからまだ警戒は抱いていたほうがいいだろう。


「ねえ影神、あの人から連絡はきた?」

「いえまだです。どうかされましたか?」

「ううん。あの人からの連絡が来ているのならそっち方面で動くつもりだけど、連絡がないなら今まで通り昏花救出のことだけを頭に入れておくよ。それと水神雫とディアヴォロス代表、それから水木支部長をここに呼んでもらえる?」

「よろしいのですか?」

「いい。これから水星ヘルスミエは和平となり何も怯えず暮らせる第一歩として契りは必要だと思うよ」

 

 お呼びしますと僕に一礼をして下がる影神で、机に置いてある隊服に着替える。一度、地球オルモフィーケに戻り桃花会長に報告か、それともそのまま違うプラネットに移動するのかはまだ桜庭課長に聞いてなかったな。そこでぐうすかお腹を出しながら寝ている菊太に聞こうと起こしてみる。

 しかし普段なら嬉しそうに起きるはずなのに、今日は珍しく起きようとしなかった。もしかして内緒にされていたことが気に食わなかったのかな。

 そう思ってポケットに入れていたお菓子を取り出すと反応しおすわりをしてくださいという目をしていた。


 そっか。この時間はいつも菊太に朝ご飯を渡していたからだ。影神がドックフードを用意しているわけでもなさそうだし自分で買いに行くしかない。


 もっとくださいという目でも、もうないよと頭を撫でて食卓へと足を運ぶ。そしたら久々の影神の朝食によだれが出そうだと席へ座った。

 いただきますと手を合わせて言い、頬張りながら影神が資料を見せてくれる。


「坊っちゃんが寝ている合間にセリニ・ネアの情報が入手できたのでまとめてみました」


 どれどれと朝食を食べながら影神が作った資料に目を通す。


 新星ノヴァセリニにあるセリニ・ネアは各プラネットを崩壊させるための組織であり、セリニ・ネアはある因縁を持っていた。

 それは月日家との因縁であり、新星ノヴァセリニの一部のみが新星ノヴァセリニから出ることも不可能とさせたことが原因。 

 そして一度新星ノヴァセリニへと侵入した星河喰雅がある娘を連れ去ったことにより新星ノヴァセリニの怒りは倍増したとも言える。


「やっぱり星音は新星ノヴァセリニ出身。だけど、どういう理由で星河会長が誘拐したのかが疑問なところなんだけど」

「私も調べてはいるんですが、情報が入手できませんでした」

「なるほどね。まあおいおい星河会長と接触する機会があるかもしれない。だからその時に聞いてみるよ」

 

 月日家については謎だらけの部分があるも、ディアヴォロスは悪魔のような存在だし、かと言って悪魔そのものが消える形となれば月日家は消滅に値する。だとするとセリニ・ネアはディアヴォロスの帝王である、蝕夜狙いで動き始めているということなのか。

 昏花と接触できれば尚且つ動きやすいけど、なかなか会わせようとはしてくれない。次のテオスパーティーに挑むしかなさそうだな。


 朝食を食べ終え三人を待っていると車の音が聞こえ、到着したっぽく出迎えるって言ったら変かな。水木支部長と水神雫にで僕が指示を出したディアヴォロスがご到着。


「まるで坊っちゃんのような振る舞い方だな」


 そこ言いますかと苦笑いが出ながら応接室へと案内し、影神が紅茶を注いでもらいながらある書類を見せた。和平の契りと名づけ三人に目を通してもらっている。


 内容は簡単で水星ヘルスミエは今後、人とは争わずお互い支えながら生きる契りの書でもある。今までは散々ディアヴォロスに命を奪われてきても、これからはお互い助け合い生きてほしいという僕の願望だし前世の僕もそう思っていたことだ。

 それぞれ目を通してもらい、代表の名を書いてもらう。新しい未来に向けての第一歩でもあるから水星ヘルスミエは今、祭りのように賑わっている。

 

 僕、いや真神家が望んだ未来と言うべきだ。今までは捕食人間と呼ばれ何も知らずに死すことが大きな間違いなわけである。けれどこれを見た各プラネットの幹部たちはどう受け止めているのかが気になるな。もしかしたら別荘に入り展望台にある装置が壊されたらアウトだ。

 一刻も早くあの装置を使いたくても、力が消耗しすぎたせいですぐに全プラネットを人間に戻すことは不可能。セリニ・ネアも今回の一件で何かを仕掛けてくるかもしれない。それ相応の対処はしておこう。


 三人が描き終え僕も名前を記しこれは影神に託すとして、今後について話し合う。


「平和を取り戻した水星ヘルスミエでも新手が来る可能性が高い。だからプラネット社とネオリオ社、そしてディアヴォロスと協力し合って対策を考えてもらいたい」

「それはそうだな。クレヴィー社とはいえ再びクレヴィー社が来るかもわからない」

「警備関係ならディアヴォロスたちに任せてはくれないか?」

「食すことはなくなっても小さな喧嘩が起きる可能性があります。ここはネオリオ人に任せてもらえますか?」


 小さな事件が起きる可能性は少なからずあるけれど、せっかく和平の契りを交わしたのだからそうだな。


「ではこうするのはどうでしょうか?ディアヴォロス、ネオリオ人、うちのプラネットコード社三人組を作り見回りをする。最初は反対する人が少なからず多く喧嘩することも多い。だけどディアヴォロスは水星ヘルスミエにしか住めない。もしも水星ヘルスミエのやり方が気に食わないのなら、ネオリオ人や捕食人間は違うプラネットに引っ越してもらう条件」


 僕の発言で三人は驚いているも確かのそうだなと納得してくれている。そこにプラスのことを告げた。


「但し引っ越すネオリオ人や捕食人間に問い質してほしいことがある。他のプラネットは今も尚、敵だらけであること。死を覚悟してまでも引っ越したいか、それとも生き続けたいのなら他のプラネットを救えるまでは我慢してほしいと。それでも無理なら僕に相談依頼を提出してほしい。僕が改善する」

「うまく行くかは分からんが、ディアヴォロスは違うプラネットにはいけないのは我々も知っている。そこは配慮しよう」

「そうですね。私たちはともかくディアヴォロスは水星ヘルスミエから出ることもできない。そこはネオリオ人の方々も承知しています。後は捕食人間がどう思うかですね」

「賛否に分かれるだろうが、そこは捕食人間である私でなんとか説得はしてみる」

「ありがとよ」


 話し合いが終わり三人はそれぞれ報告しに行かれ、僕もそろそろ帰らないと莉耶に怒られそうだ。手ぶらで来たしそのままバイクに乗る。


「坊っちゃん、私は一足先に金星アプロディロへと向かいます。何かあれば使いを出しますので」

「よろしくね。それじゃあ」


 菊太を後ろに乗せて僕らもプラネットコード社へと帰還した。


 バイクを走らせているとあちこちから紙吹雪が舞い綺麗だなと見ながらネオリオ街へと入り支社を目指す。出店も出て今日は祭りだねと支社に到着しバイクから降りてバイクを回収していると莉耶と甘ちゃんがやって来た。


「おかえり、昏斗」

「ただいま、莉耶、甘ちゃん。なんで浴衣姿なの?」


 二人に聞くと甘ちゃんが僕の手を引っ張りながら教えてくれたのだ。


「今日はお祭りなの!だから今日はお祭りに行っておいでってすーさんから言われた!」


 すーさんと頭を悩ませるもピンッと来て、桜庭課長のことかと自己解決する。


「だから帰ってきて早々なんだけど、祭り回ろ」

「回ろ回ろ!」


 

 桜庭課長に報告したかったんだけどなと思いながらも、莉耶と甘ちゃんに菊太で回ることになった。水星ヘルスミエだから水をイメージした物が売られてあったり、定番の屋台なのが出ている。

 甘ちゃんは射的屋を見つけあれやろうと言われたから、参加することになった。僕らはずっと拳銃を持ち歩いているからこれくらいへっちゃらだ。

 店主にお金を払いお目当てはどれにしようかなと見ていくと、あれはと僕は思わずそれを当てた。一発目を当てるもびくともせず、もう一回打ってみるとグラグラと揺れた。最後の一発で決められるかと集中力を高め放つと倒れた。


「凄えな、兄ちゃん」

「いえ。ですがなぜあれが?」

「いやーなんか知らねえ兄ちゃんに品物として置いてくれって言われてよ。不思議な兄ちゃんだったな」

「特徴は?」


 昏斗と二人がはてなマークを出しているも、僕は店主が考えそういやと口に出したのはこうだ。


「ネオリオ社会長である、真神昏有まがみくれあさんに似ていたような」


 店主が言った言葉で僕は咄嗟に商品を受け取って、飛び出していた。まさかここにいたのかと探し回ってもどこもかしこも祭りの状態で人が多く見つけ出せない。やっぱりあの人はネオリオ社にいるんだ。

 昏花にも教えてあげたいけど、やっぱりそう簡単に会えるわけにはいかないか。


 僕と昏花には姉の他に兄が実在する。しかし兄は僕と昏花が生まれる前に家を飛び出して以来、帰っては来なかった。最初はディアヴォロスかクレヴィー社に捕まった可能性が高いと見ていたが影神が調べてくれた結果、何もされていない状況で何かを計画しているらしい。

 それがなんなのか知らなかったけどネオリオ社という社ができたのは姉がテオスパーティーに出席して数週間後のことだ。僕がいつもあの人というのは兄である。


 もしも兄に会えるのなら会いたかったよと息を切らして、呼吸を唱えているとワンッと菊太の同じ種で白のスリウス犬が来た。首輪には紫のバーベナがついている。


「君は僕が探している人の相棒でいいのかな?」


 白いスリウス犬はそうですというようにすりすりしてきて行ってしまい、追いかければ会えるのかと追いかけてみた。どんどん人気がない路地裏へと行き、白いシリウス犬が止まっているも誰一人いない。

 兄はどんな人なのか会いたかったなと白いシリウス犬に触れようとしたら菊太がやって来て唸り始めた。


「菊太、唸るの禁止!」


 それでも菊太は唸るのをやめずにいて、どうしたんだよと撫でていると背後から声がかかる。振り向くと見たことがない服装を来た中年のおじさんと棒キャンディーをくわえている女の子がいた。

 たばこを吸いながら中年のおじさんが拳銃を向けてくる。


「弟を連れて来いって言われたけど、そこにいるスリウス犬が邪魔だな。ベナ、ちょいっと弟のスリウス犬と遊んでろ」


 ベナというスリウス犬は僕が菊太から離れないでいるも飛び込んで来ようとして話し合える雰囲気じゃなさそうだ。菊太は威嚇して吠え、ここで争うつもりはないけどこの雰囲気は僕を兄のところへと連れて行こうとしている。

 よりによって蝕夜の他にも兄が僕のことを欲しいと理由は、兄の前世の記憶にも関係しているんだ。

 

 とにかくここから脱出して人混みに紛れなくちゃと、逃げようとしたら菊太となぜか離れている僕がいた。


「昏斗、ゲット。ずらかるか」

「離せ!」

「あぁ?お前は元々ネオリオ人なのわかってんの?腕にあるコードもシールなのはわかってんだよ」


 影神がばれないように特殊なシールで作ったのがばれるだなんて想定外だ。莉耶たちにもばれずにいたのになぜこの人たちはわかった?まさか影神が兄と接触する時に伝えたのかはわからない。

 女の子が腕まくりをし僕のコードを剥がそうとした瞬間のことだった。冥王星のペンダントが光りおじさんが僕を離してくれて女の子も僕から離れる。


「めんどくせえもんつけてんな」

「どうするの?あずま

「昏有の弟、それを外してもらおうか?」

「嫌だ。そもそもいきなり君たちはなんだよ。平和を取り戻した水星ヘルスミエで僕を捕まえようとしているだなんておかしすぎる。大体、ここを管理するのは水神雫のはずだ。それに兄のスリウス犬がなぜここにいる?兄はどこにいるの?」


 ここで兄と接触したくても、なぜ兄はここにいないのかが不思議なくらいだ。僕の問いをどう答えるんだと無限拳銃を構えて待っていたら蝕夜がふらっと現れた。


やつがれの義弟に何をしている?ここは平和をもたらしたにも関わらず、すでに争いを起こそうとしているではないか。それとも昏有がやつがれと昏斗の関係性が気に入らないのか?不服だな。義弟昏斗、ここはやつがれに任せ行くがよい」

「だけど」

「良い。本来ならば金星アプロディロにいたかったのだが、呼ばれたからな」


 本当にいいのかなと思いながらも来い、菊太と呼び僕は逃げる選択肢を選んだ。例え邪魔が入ろうとしても蝕夜が出すディアヴォロスに助けてもらいながら人混みへと紛れ、莉耶と甘ちゃんと合流することにした。



 もう金星アプロディロに到着してすぐ蝕夜がどっか行っちゃって私どうすればいいのよと不貞腐れながら街並みを歩く。鈴哉さんは星河会長と一緒に来るとかで、茜さんと八雲くんは違う任務に行ってから合流することになってる。ここ初めてだしスカウトマンがいて、ちょいちょい声かけられるから困るな。

 早くクレヴィー社に行きたいけど道に迷っちゃった。クレヴィー社員はいなさそうだし、行き方がわからない。どうしようとスマートウォッチを開いてマップで検索していると声がかかった。


「可愛いね、うちの店で働かない?」

「結構です」

「お金に困ってるでしょ?捕食人間さん」


 カチンと来て私は思わず無限拳銃を構えると、すみませんでしたとスカウトマンは逃げていく。ふうっと一息ついていると金星アプロディロを管理しているアプロディティスが歩いていた。金星アプロディロだからアプロディティスが眩しく見える。


「あらもういらしはったん?蝕夜様は?」

「いつの間にかどっか行っちゃって、先にクレヴィー社に行くようメールが来たんです」

「可憐な子をほったらかしにするやなんてなぁ。ほな妾の店に寄ったらええ」

「お邪魔します。あの男性なのになぜ女性っぽい声を出されているんですか?」

「妾の店で話したる。おいでやす」


 蝕夜たちが戻ってくるまでは退屈しなくていいかもと、私はアプロディティスについて行った。

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