16僕は取、私は読
プラネットコード社に戻り、第七捜査課室に戻って行く途中で、海さんが僕の腕を掴みミーティング室へと入れられた。そこに桜庭課長と莉耶に、甘ちゃんと菊太がいる。僕が短時間で音信不通にさせたのが間違いだったか。
座れと海さんに言われ渋々椅子に座った。桜庭課長が眼鏡をくいっとあげ僕に質問してくる。
「来客した人を連れてどこに行ってた?莉耶から連絡いっていたのに切った理由は?」
やっぱり聞かれるかとあまり公にはしたくないけれど言うしかないか。
「すみません。先ほど来客してくださったのは真神家を支える一家であり、真神家ができない調査にあたっている影神家。それに本当はこんなこと言いたくはありません。僕が捕食人間ではなくネオリオ人。だから僕の妹は食せない」
みんな驚いており、海さんが質問してくる。
「ネオリオ人だと?なぜ地下にいる必要があった?」
「僕と昏花は生まれた時から地下で過ごしていた。前世の記憶から読み取るとある組織に追われる身となったからだと認識しています」
「ある組織ってなんなの?」
莉耶が聞いてきてこれは美汐には伝えといたほうがいいかもしれない。
「あの美汐に伝えなければならないのがあります。呼んできても構いませんか?」
「わかった」
「じゃああたしが呼んでくる!」
甘ちゃんは扉を開けてみっしーと呼びながら呼んできてもらう。相変わらず甘ちゃんは元気が良くていいことだ。
少しして甘ちゃんと美汐がミーティング室へと入ってきて、美汐が座ったのを確認し伝えた。
「美汐、よく聞いてほしい」
「急に何?」
スマートウォッチをタップして美汐の恋人だった新城芯の写真を見せながら説明していく。
「思い出したくないかもしれないけど、美汐の恋人だった新城心は新星ノヴァセリニにある組織、セリニ・ネアの一員であることがわかった」
「新星ノヴァセリニ?聞いたことがないよ」
「うん。新星ノヴァセリニは真神家とネオリオ社しか知らない惑星でもあるから知らないのが当たり前。普段は新星ノヴァセリニの民は九種の惑星に入ることはないとされていた。ただネオリオ人が住んでいることもあり、情報をもらって各プラネットに生存しているんじゃないかと認識してる」
「では昏斗は元々ネオリオ社に入るつもりだったと言うべきなのかい?」
「いえ。僕はあの社は入りたくない理由があったので、プラネットコード社に入れてもらってよかった。真神家一族はネオリオ人でありながらも、ディアヴォロスを食したことがない。まあ食べたくはないですけど、ネオリオ人にとっては高級品の一品でもある。だからそれを欲したいがためにプラネットコード社に依頼しているのではありませんか?」
しんと静まりみんなが考えている間に、スマートウォッチが鳴り誰だろうと見たら頼りがいのある兄君とある。これは一度席を外した方がよさそうだと席を外し出た。
「兄君、どうかされましたか?言っておきますが、今ミーティング中なので、できれば手短にお願い致します」
『義弟昏斗よ。我々は一足先に金星アプロディロへと行っている。金星アプロディロ全体を任せているアプロディティスは瓜畑甘露が関係していると伝えとく。行く時は甘露から目を離さないようにな』
「ありがとう、兄君。なら僕からも情報を渡すよ。エルミスの恋人だった人が新星ノヴァセリニにあるセリニ・ネアという組織の一員だった。もしかしたら兄君も接触する可能性が高いから気をつけてほしい」
『うむ、心得た。美汐に言っておいてくれ。美汐、辛い時期が多かったかも知れぬが新しい恋を探して自由に生きろとな。では金星アプロディロで会おう』
会う気満々じゃんと少し笑みが自然と出てしまいじゃあと切って戻るとなんかみんな怖い顔してる。僕、何かしたと固まっていると、誰と話していたという目線で言わないと後々やばそうになり着席して話した。
「実は捕まったときに月日蝕夜と接触した。連絡先を無理やり交換させられてちょくちょくかかってます」
はあと一番怒ったのはまさかの美汐で、課長代理の海さんも莉耶もきょとんとしてしまう。
「蝕夜はあなたに優しいかも知れないけど実際は鬼よ、鬼!私が考えてた企画書をすぐ没にして怒鳴られみんなの笑い者にされてたんだから!あれどう見てもパワハラだし、昏花の前だとセクハラのようにベタベタ触ってる野郎なのよ!」
人間に戻ったせいなのかわからずとも、蝕夜の悪口を言う美汐に驚いた。
「早くしないと昏花奪われるからさっさと探しなさいよ、この馬鹿昏斗!」
「落ち着こう」
「落ち着いてる!」
落ち着いているようには見えないけどなと苦笑いをしていると、桜庭課長が咳払いをして何を言われたと聞かれる。
「大した内容ではありませんでしたが、金星アプロディロを任せているアプロディティスは、甘ちゃんと関係しているとお聞きしました」
「えーあたし?あたしはずっと桜庭課長に育ててもらってたからわかんなーい」
「え?そうなの?」
「色々事情があってね。説明しにくいんだ。美汐何かアプロディティスの情報はないのかい?」
即答にないと言われてしまい、幹部で集まりとかあったんじゃないのか。僕が父さんに教わっていた内容だとアプロディティスは男性だと言うのに姿は美魔女のように美しく花魁姿でいる。
「そういや、甘ちゃんと関係してるとかよくわかんないけど、アプロディティス、双子だよ。確か弟の方が蝕夜様の側近をしてる」
「どうして双子なのに別々なのかな」
莉耶が言った言葉で確かと僕はネット検索である事件を出し見せた。
金星アプロディロで起きた事件は、人身売買殺害事件。捕食人間同士が裏でお金目当てのために人身売買を行っていた。しかし何者かによって捕食人間を売ろうとした捕食人間も、人を買おうとした捕食人間が殺された事件。
処理を行ったクレヴィー社は罰が当たったんだと証言していた。
「多分それやったの、アプロディティスだよ」
「捕食人間は大切なんじゃないの?」
「うーん、他のみんなと違ってやり方が違うからね。何とも言えない。ただきっとアプロディティスは探してるんだと思う。弟を恥晒しされて、私みたいに弟が殺されかけてたところ蝕夜様が救ってくれたからさ。みんな捕食人間に殺されかけたって言ってたよ」
弟が殺されかけていたところ蝕夜が救い、アプロディティスもエクリプス人となって犯人を探しているってことでいいのか。それなのに甘ちゃんから目を離すなというのはどういう意味なんだ。
考えても真実は見えてこないし、実際に行ってみないとわからないことだから、蝕夜の忠告には気をつけておこう。
「アプロディティスは一旦置いておいて、セリニ・ネアにも気をつけてほしいかな。セリニ・ネアの目的はまだ掴めてないけど、僕の憶測だと星音が関係してる」
「そうだったね。私も神パーティーで会ったときに少し話した。星音ちゃんは星河喰雅の娘じゃなく、両親を探すために女優を始めたって」
僕らが今やらなければならないのは、他のプラネットの奪還でもある。蝕夜はなぜディアヴォロスの帝王となったのかはまだ教えてはもらっていないけれど何かがある。なぜ水星ヘルスミエを手放したのか。
みんなで考えていたら放送がなりまたまた僕が呼び出され今度は誰ですかと一旦席を外し応接室へと向かう。まさか影神が言い忘れたとかかなと指定された応接室に入った。
そこには先ほどお会いした水神雫で、他にも水木支部長がいらっしゃる。なぜ僕だけ何ですかと思いながらも水木支部長の隣に座った。
「呼び出して悪かったな」
「いえ。何でしょうか?」
「真神昏斗様、先ほどはあのような無礼なお言葉を口にしてしまい、申し訳ありません」
「僕こそ言いすぎちゃってごめん。それで用件は何?」
こちらを見てくださいと鞄から取り出したのは水星ヘルスミエの今後についての資料だった。ペラっと捲るとこれはと水神雫の顔をつい見てしまう。
「水星ヘルスミエ全体を任せていたとされる元エルミスこと、池谷美汐様に管理してもらうよう上から報告が上がりました」
「美汐は僕ら第七捜査課が監視をすることになった。なぜこんな急な話」
「私も月日蝕夜と接触してすぐのことでした。もちろん、昏花様とも会っております」
昏花にも会ってるんだと少しやきもちが湧くが仕方ない。
「それで蝕夜様が仰っていたのは、クレヴィー社を譲りディアヴォロスを地下に移動させると。ですが私たちが出した結論では賛否に分かれています。今更水星ヘルスミエを自由に歩けたとしても、ディアヴォロスに襲われるから今まで通りの生活がしたい。ディアヴォロスを地下に移動させて好きなときに借りに行けるのがいいなどございます」
「賛否に分かれるのはわかる。ただなぜこれを僕に見せる必要があるんだ?僕はただのプラネットコード社の社員の一人にすぎない」
「承知しています。ですがあなたは一応ネオリオ人でもあるので意見をお聞きしたくお呼びしてもらいました」
僕の言葉でどうなるのかは想像がつかない。だがこれ以上捕食人間を犠牲にするわけにはいかないがエクリプス人もディアヴォロスもただ生きているだけ。僕の理想論はこれしかないだろうと人差し指を立てる。
「僕の理想はディアヴォロスと捕食人間にネオリオ人が平等でいること。水星ヘルスミエにいるディアヴォロスやエクリプス人は他のプラネットにいけないのはネオリオ人が一番わかっているはずだ。ならば地下という場所は全て無くし地上で平等に暮らしてもらうのが僕の理想。但しお互い殺し合いはなしにしてもらいたい」
「それでも争いは起きるはずだ。どうすればいい?」
水木支部長に問われ何かあったら各プラネットにある家に設置されている装置を起動させろと前世の記憶にあった。
「簡単です。今日の夜、水星ヘルスミエにいる者たちを全員外に出してください」
「わかりました。昏斗様の意見を参考にさせてもらいます。ディアヴォロスたちにはなんてお伝えするつもりですか?」
「そこは私が話をつけるが、昏斗一体だけで構わない。ディアヴォロスを正気にできるか?」
「はい」
ではと水神雫はネオリオ社へと帰られ、僕はそのまま水木支部長と同行することになるから莉耶に報告する。水木支部長と出かけることになったから、話はまた後でと送った。
するとすぐ返事が来て了解、桜庭課長たちに伝えとくとあり、歩いていたらワンッと菊太が走って来て僕の隣を歩く。
多分これからは置いてはいけないなと支社を出て、ディアヴォロスが屯っている場所へと向かった。
到着し以前星音のサインが欲しくて道中にいたディアヴォロスを見つけ、水木支部長に伝えて降ろしてもらう。またなんか騒ぎを起こしそうだなと様子を見ながら、近づいてみると僕の匂いでわかったらしく牙を剥けていた。
「真神!」
「エクリプス人が困ってるように見える」
「俺はただ、こいつらが道を塞いでたからどかそうとしただけだよ!」
「はいはい。言い訳はそれくらいにしてよ。ネオリオ人である僕が君を食しても構わないよ」
そう言うとエクリプス人の人たちは顔を青ざめ逃げて行き、ディアヴォロスは拳を作って僕を倒そうと向かってくる。僕は事前に作っておいたバラの剣でいざっと腹辺りを刻みディアヴォロスが倒れた。
さてと正気を取り戻してもらおうかとスマートウォッチにある時計を見ながら測って五分後。ディアヴォロスが起きてここはというような顔をしながら立ち上がる。
「気分はどう?」
「真神……昏斗様!」
ディアヴォロスは僕に跪き水木支部長が驚いている。
「ごめん。前世の昏斗じゃないんだ」
「だが俺たちにとっちゃ俺たちの親分のようなもの。何なりとお申し付けくださいませ」
そう言われると蝕夜が怒るんじゃないかなと、蝕夜が拗ねている顔が目に浮かぶもディアヴォロスに指示をした。
「じゃあ早速、水木支部長と一緒に行動をしてもらいたい」
「御意」
「水木支部長、僕は別荘へ行きます。準備が出来次第、連絡しますね」
ペンを起動させバイクに乗り後ろには菊太が乗って出発する。本当は教えるつもりじゃないけど僕の相棒だから仕方がないか。
別荘に着くと影神がいてどこかで聞いてたのかとバイクから降りる。
「坊っちゃん、なぜ犬を?」
「僕はスリウス犬使いだから連れてきた」
「私は納得していませんがいいでしょう」
別荘にある展望台に入ってみると装置が目の前に用意されていた。さすがは影神だねと影神から七本のバラをもらう。合図が来るまで、ここで待つというか水木支部長から準備OKだときた。
案外早いと僕は一本の棘で指先を切り、血を七本のバラに流し装置に一本ずつ差し込むと装置が光る。僕は目を閉じながら手を前に出し装置に向かって願いを告ぐ。
「真の神に昏の星にて、花の力より郡じ流れよ!」
目を開けるとバラの花びらが空へと舞い流星群のように流れ始めた。全員に行き渡るまでの時間帯は約六時間程度。それまで僕は装置から離れるわけには行かないし疲労が溜まるから正直言うと使いたくはない力。だがこれ以上ディアヴォロスが捕食人間を襲わないように、そしてネオリオ人がディアヴォロスを食さないようにと願うため。
初めてやる経験だから意外ときついけど、誰も人同時が食されないためにも頑張らなくちゃ。それにしても流星群のようにバラの花びらが流れていくのがとても綺麗だった。
⁑
私は蝕夜の家というか今の家で、休息をとりながら書斎で本を読んでいる。ディアヴォロスの情報は書斎にあるよと言われ入ってみたものの、図書館レベルの本の量に最初は驚いた。
それにしてもお母さんから教わったディアヴォロスの情報の他にも多種多様なディアヴォロスが実在している。ディアヴォロスは基本、自然や物で生まれた悪魔のようなものと教わったけれど、いざこうやって目にすると悪いディアヴォロスはもちろん、いいディアヴォロスだっていることが判明した。
真神家はネオリオ人だということはどこまでが知っているのかは知らない。だけど昏斗はすでに情報は渡しているということでいいんだよね。
それにテレビをつけたとき、水星ヘルスミエでバラの花びらが流星群のように降っているというニュースが流れていた。本当に美しく、まじかで観察したいって思うけど蝕夜は行かせてはくれない。あれをまじかで観てしまえばただの人間に戻ることを知っているかのようだ。
でもいずれはそういう運命になるのはわかっているけれど、蝕夜の目的をちらっと聞いた限り例の組織、セリニ・ネアを調べているから人間に戻ることはできないと言ってた。
だから私も少し知っていたセリニ・ネアの情報を探すために、まずはディアヴォロスを詳しく調べている。もしかしたらセリニ・ネアが開発したディアヴォロスが紛れている可能性が高いと思ったから。
ペラペラと捲っているとこれってとあるディアヴォロスを見つける。今まで見たことがないディアヴォロスで星から生まれたコミニス。出現場所は不明とあるけれど私が知っているディアヴォロスではない。
これは覚えておこうとスマートウォッチを開いて写真を撮った。本当なら昏斗に教えてあげたい情報でも連絡先覚えてない。
はあとため息を出していると何か見つけたと蝕夜が書斎に入ってきた。
「うん。私の知らないディアヴォロスを見つけたの。前世の人の記憶にはなかったディアヴォロスだった。ねえこれ昏斗にも教えてあげたい。だめかな?」
「コミニス?コミニスなら夜に出歩いてるケースがある。今度会いに行こうか?」
「え?普通にいるの?」
「もちろん。全プラネットに実在する。ただ夜行性だから昼間は寝てることが多いかな」
初耳で恥ずかしいと本で顔を隠す。
「どうかした?」
「だって記憶にはなかったものだし、引きこもってた時期は夜遅くまで起きてたのに気づかなかった」
「まあ地下にはディアヴォロス放ってなかったから、別に気にしなくてもいいんじゃない」
それはそうだけど星ってなると昏斗興奮する癖があるからな。早く昏斗に会って教えてあげたいと本を棚に戻す。
「昏花、金星アプロディロに出発する準備はできた?できたなら出発するよ」
「もう行くの?明日にするんじゃなかったの?」
「ちょっと用事があってね。できれば今日出発したい」
「準備はできてるよ」
「なら行こうか」
蝕夜が手を差し伸べてくれて、私は一足先に金星アプロディロへと出発した。




