被害者 0792
やめろっ!
やめてくれっ
「おい、黙れ!」
俺が声を出すたびに、拳が飛んでくる
もう手足はとっくに抑え込まれてる
目を背けたくても、顔を固定されて動かない
やはりだ!
おかしいと思った時にはもう遅かった
こいつらを助けてしまった
屋敷に招き入れてしまった
俺のせいで!
「君のせいだよ?安い正義なんて捨てれば良かったのにね!」
「あっ!いやっ!やめてっ!」
目の前では貴族のような格好をした男が、彼女を羽交い締めにして暴行を加えている
「おとなしくいう事を聞けば、お前もいい思いができるし、あいつも助かるし、俺も愉しい。」
「そんなっ!お願いです!こんなことはっ!つっ。」
男がパンっと彼女の顔を平手打ちした
やめろ!
彼女は俺のフィアンセなんだ!
やめてくれっ!
「おい、まずは足だ。」
い゛ぎぎっぐっ
足と床がナイフで縫い付けられた
「ほら見ろ、お前が暴れたせいであの男の足はもう使えなくなった。」
ビリビリと服を破き、彼女の肌が露わになってしまった
「いやっ!やめてっやっ!!」
彼女の肌を暴きその上を男の指が這いずり廻る
「あっ!あっううっ…いっ、いたいっ!ひぎっっ。」
「はっ!腰が揺れてきたぞ?とんだ売女だな!!」
「やっ、やめてっ、あっあったすけっやっああっ。」
彼女が揺さぶられる様を、俺は観ている事しかできない
なんでだ!
やめてくれ!
俺たちが何をしたって言うんだ!!
切り落とされた足から、血がどくどくと流れ出ていく
血を流し過ぎたせいで、視界が朧げになる
醜く歪む男の顔が、自分の顔に見えるのはそのせいなのか?
あいつの顔…
見たことがある?
ガクガクと寒気がして、徐々に視界が狭まり黒く塗りつぶされていった
***
あぁ
まただ
またこいつが
何度目だろうか…
いつも自分を殺しにくる
いつも自分や周りに不幸をもたらす
何度も
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も…
痛い
苦しい
ひもじい
妬ましい
悲しい
怒り
憎しみ
絶望
屈辱
何度も苦渋を舐め、殺される
あぁっ!
やめろっ!!!
来るなっ!!
来ないでくれっ!!!
あれは自分だ
自分が自分を殺しにくる?
なんで?!
あっちの自分はなんなんだ?
何故俺を殺す?!
何故俺はループしてる?
出してくれ!!
ここから出してくれっ!!!




