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異世界に転職しました  作者: Aries
第6章
126/202

被害者 0261

ちょっと胸糞悪いお話が続きます。

自分的にはちょっと苦手な系統なので上手く表現出来てるかわかりませんが、お付き合い頂けたらと思います。

 




 森を走っていた


「もっと早く!」


 手を引いていた妹が転んだ


「お兄ちゃんっ!」


「大丈夫!さあ立って!もう少し離れよう。」


 夜、いきなり村に襲撃を受けた


 僕は父さんから言われた通り、妹を連れて森へ走った


 森へ入れば僕たちは逃げられる


 僕たち獣人と人間だったら僕たちの方が足は早い


 子供の足でも逃げ切れる


 父さんは優秀な狩人だし、母さんと2人なら無事に逃げられる


 人間なんかに遅れをとったりしない


 僕は妹と何かあったときの待ち合わせの場所に急いだ


 後ろからは盗賊達が追いかけてきてる


 山狩りをしてるのかチラチラと松明の明かりが見える


 泣きべそな妹をあやしながら、何とか待ち合わせの場所についた


 僕たちは木の上に2人寄り添って、小さくなって待った


 両親は明け方になっても迎えに来なかった


 心配だけど、ぐずる妹が不安にならないように、落ち着かないと


 次の日の昼頃、来たのは両親ではなく盗賊達だった


 盗賊の中には獣人もいた


 匂いを辿られたようだ


 何で同じ獣人が人間に味方するんだ!


 手荒な真似はしないというその男を信じて、僕たちはおとなしく従った


 もしかしたら両親も捕まってしまったのかもしれないし、逃げるチャンスがあるかもしれない


 そう思ったけど少し甘かった


 襲いかかってきたのはただの盗賊じゃなかったんだ


 奴隷狩りだ


 だけど、奴隷狩りなら直ぐに殺されるということはないはずだ


 僕たちは、他の沢山の子供達と一緒に檻に入れられた


 逃げ出す機会をうかがっていたけど、お腹すいて考えがまとまらない


 ご飯はパンと少しの水だけ


 足りないと泣く妹に僕の分も食べさせた


 おかしい


 こんな少しのご飯じゃ直ぐに飢えてしまう


 1日に2〜3人、何処かに連れていかれた


 何日かして自分たちの番になった


 何処かに売られるのかと思った


 違った


 高い壁がぐるっと囲っている


 その上からこちらを見ている身なりの良さそうな人間達


 妹は僕と引き離され、囲いの中に入れられた


 奥からとても大きな魔物がズルズルと這い出てきた


 まさかっ!


 やめろ!!


「お兄ちゃん!お兄ちゃん助けてっ!」


「逃げろ!!アイリ!逃げるんだ!!」


 外には沢山の大人がいて、僕たちを見てる


 なんで?


 なんで助けてくれないの?


 なんで観ているの?


 何で笑っているの?


「やめろっ!!やめて!!お願いだから!!」


「やだっ!だずげでっ!あ゛っあ゛いだいっ!!お兄ちゃんっ!」


「アイリ!!やめろーーーー!!!!!」


 魔物の爪が妹の胴体を貫いた


 僕があの時、妹だけでも逃していれば


 あんな奴のことを信じたせいで!!


 僕のせいで!!!


 僕は妹を魔物に喰われる様子を見せられて吐いた


 ろくに食べてなかったから胃液が喉を焼いただけだった


 バリバリと骨が砕ける音と血肉の臭い


 びちゃびちゃと音を立てて滴り落ちる内臓


 不愉快な笑い声



「獣人といえど、子供は対して変わらんな。」


「呆気なかったですなぁ、さぁつぎは何秒持ちますかな?」


「先ほどの餌よりは長く持つのではないか?」


「そうでなくては割に合わん。ほれ、早う次じゃ!」



 割に合わないとはどう言う意味なのだろう?


 あぁつぎは僕の番だ


 アイリ、どうやら仇を取ることは無理そうだ


 僕らは何か悪いことをしたんだろうか?


 何故こんな事をされるんだろう?


 あいつらは何で笑っているの?


 腕を食い千切られ


 脚を食い千切られ


 最後に自分の身体だったものを食べている魔物の鱗に映る自分を見た気がする


 虚ろな瞳


 これは…


 誰だろう


 これは…自分?






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