罪と罰と
空気が更に重くなった気がした
『そなたたちの方がよっぽど「魔王」ではないか?』
聖女の眉間に皺が寄ると、彼女を中心に圧力が上がる
何が起こっているのか?
国王や将軍に覇気や威圧を使える者がいる
知っている者もいたが、実際に受けた事がある者は極少数だった
この場には戦歴の猛者や国の覇者などはいないのだから
まぁいたとしても比べようがなかった
肩にかかる重さ
下げたままで上がらない頭
何故か?
空気には質量があるし、成分によっては人に害を及ぼす
それがわかるのは、重力や気圧という概念と、酸素、窒素などの物質の存在を理解しているイネスだけだろう
だが、そのイネスでも分からない
今のこの空気は何なのか?
立っていられないぐらい膝が震える
鼓動は早鐘の様になり、嫌な汗が背筋を伝う
アレは何者なのか?
本当に女神様なのか?
聖女はいつも穏やかな表情をし、微笑みを絶やさない
目の前のナニカの様な、尊大で威圧的なものとは違う
聖女の顔をした、聖女ではないナニカだということは、いつも側にいた姫巫女達以外の神官達にもわかった
***
えーっと
『まず、聖クレイブランド王国、南の教主。囁きの樹海のエルフ族を拉致。奴隷にし、家畜のような扱いをする。
同じく西の教主、近隣の村々から女、子供を、人族獣人、エルフ族など種族を問わず拉致。己の欲望のままに売買し、富を貪る。
周囲に被害が広がり出すと、囁きの樹海に目をつけた。しかし、その強固な結界を破れなかった。
現状を打破できない、そう考えたお前たちは、自分らの欲のために、禁忌を犯すことにする。
ブリリアント王国王子、並びに王女と共謀し時空に穴を開け、異世界人を拉致。
神託が降りたと偽り、異世界人を偽の勇者に仕立て上げた。』
ディスプレイには悪事の様子を写し出してみた
個人のアカシックレコードを写す術式は、結構複雑で難しいんだけど、クレアさんのサポートがあればなんてことはないのだ!
まぁカメラもビデオも無いこの世界では幻術扱いされるみたいだけどね!
飯田さんが先に映像を写し出していたので、完全に否定できないみたい
『ブリリアント王国、王族は常日頃の浪費のせいで国庫が底をつき国政も悪化。
召喚した異世界人を働かせることで富と名声を得ようと画策。
王侯貴族の義務を果たさず権利だけを振りかざす腐敗した国家だ。
無い方が民の為にも良かろう。
異世界人8人のうちの5人は問題ないが、お前たち3人は違う。
それぞれ犯した罪を償ってもらう。』
大体こんな感じかな?
細かく言ったらまだまだまだまだ、たーくさんあるよ
「バカな!」
「そんな事お前に出来るはずがない!!」
「調子に乗るなよ!魔王がぁ!!」
などなど
まぁまぁなんか定番どおりの事を言って、喚いておられますので、お望み通り?幻術を見せてあげましょうか
指先から分かりやすく鎖を出して、それぞれの首に首輪をはめる
ブリリアントの2人、なんちゃって勇者3人、教主2人
とりあえずこの7人はね
人生を振り返ってもらいましょう
ん?
勿論、被害者側のだよ?
被害者の人生を反芻して、自分たちのした事をちゃんと反省してもらわないと
自分たちの欲のために、やってきた事がどんな事だったのか…
傷つけた数だけ、殺し数だけ反芻してもらいましょう
反省?
謝罪?
いりませんよ?
今更過ぎて笑える
やられたら、やり返す
なら、やり返されても文句はないでしょ?
女神ってわかってて喧嘩売ったんでしょ?
その度胸(笑)に、お返しはちゃんとしてあげるわ




