第15話「fake!fake!」
街にいく!
ついに、人と触れ合うわけだ!
楽しみだなあ。
というわけで、親びんの首から這い出た時にいた兵隊さん達が逃げて行った方向にきっと人がいると信じ、私は歩き出した!
もう這いずる不気味な右手じゃない!
人の形をした何かに私はなったんだ!
見える!しゃべれる!聞こえる!フフフーン!
◇
歩けども、歩けども、途切れぬ森。
本当は走り出したいけども、まだそこまでスムーズに動かすことのできない足。
手だけの方が早い気がしてきた。。
森の中だし、人となんか会わないよね?
気配感知にはほとんど気配がひっからないし、たまに感じてもすぐに離れていく。
まさに私はラッキーハンド、運に愛された右手なのかもしれない。
よし、擬態解除や!
・・・
ふぃーーー!!
家に帰ってきた瞬間に、スーツを脱ぎ捨てて、靴下を放り捨てたときのような開放感!!
私、手だけの状態がしっくりくるようになっちょる!!!
人間だったときは、よくもまああんなにたくさんの部位を同時にコントロールしてたもんだ!
バリスムーズだなあ。
しかも驚くなかれ、"ありのままの"手モードの時の方が早く動ける!!
鬼ほど素早く這いずってるなあ。
手の上側を思いっきり反って反動をつけると、飛び上がることもできる!!
これで、ジャンピング叩きつけるができるじゃないか!!
だいぶ当初より性能が上がってる気がする!!
ただいま、世界で一番アガッてる右手をお探しのみなさーーん、ここにいますよーーー!!
軽くハイだ!
早く人とお話ししたい!!と盛っている右手はこちらです!!
ヘイヘイヘーーーーイ!!!
◇
森を駆ける(這いずる)私は、まるで漆黒の蛞蝓。
ダサすぎるが爽快。
でも本音をいうと人間の状態で、残像レベルの動きがしたいなあ。
-それは残像。
-それも残像。
-あれも、それも残像。
-いつから本体がここにいると思っていた。
-ここには私の残像しかいない。
っていう件やってみたいな~。
そもそも残像って、中二的に解釈すると、もうそこにはいないのに、移動スピードが速すぎてまだいるように見えることだよな。
じゃあ、残像をやるにはうっすい自分を、自分の行動からちょっとだけ遅延させて出現させればいいんじゃない?
残像が残るほど速く動けないなら、残像を出現させちゃうとか。
うん、Good Idea だな!
ここは一発であてるよ!
この一発を失敗したら、もうチャレンジはしないぜ!
それでは、、、
幻影魔法.....チラ
[『幻影魔法』取得にはスキルポイントが1必要です]
フ。
オーソドックス系がなかったから、逆にアウトロー系ならあると思ったんだよな!
音に続いてバリ安だし、取得一択ですわ。
[『幻影魔法Lv1』を取得いたしました]
YEAH!
幻影って、音の時みたいに災害とか起きない安全系のはずだから、思いっきり唱えちゃお!
なんちゃって詠唱、レッツラゴウ!
‐光よ、迷え、全ては幻。我が姿を世界に焼きつけよ。
‐幻影魔法"それは残像"
ヌゥゥン!
籠める、籠める、籠める、籠める!
もう膀胱がパンパン、でもまだ籠める!!
ううぅぅぅぅ・・・
もう限界やあ、いったれーーー!!
[『幻影魔法』がLv2へ成長いたしました]
[『幻影魔法』がLv3へ成長いたしました]
[『幻影魔法』がLv4へ成長いたしました]
[『幻影魔法』がLv5へ成長いたしました]
[『魔力圧縮』がLv5へ成長いたしました]
[『幻影魔法』がLv6へ成長いたしました]
[『魔力圧縮』がLv6へ成長いたしました]
[『幻影魔法』がLv7へ成長いたしました]
[『魔力圧縮』がLv7へ成長いたしました]
[『幻影魔法』がLv8へ成長いたしました]
[『魔力圧縮』がLv8へ成長いたしました]
[『幻影魔法』がLv9へ成長いたしました]
[『魔力圧縮』がLv9へ成長いたしました]
[『魔導の極み』を取得いたしました]
・・・スン
・・・
あれ?
すっごい溜めたのに、なんも変わんないなあ。
動いてもなんも出てなさそう。。
ふむ・・・
もしかして、幻影魔法って自分では効果を確認できないタイプかな?
なんか、よくわかんないな。。
せっかくワクワクしてたのに、わけわからんな。
期待して損した!
あ、森抜ける!
やったね!
おおおお、なんというか素敵な景色。
北欧っぽい!ケルト音楽がBGMで流れだしそうな気分。
遠くに街、というか城下町かな?そんなサムシンが見える。
人がいっぱい街の外にいるけど、なんかお祭りとかやっているのかな?
うーーん、乙ですなあ。
海外旅行で調べずに行ったらたまたまお祭りをやっててちょっと得した、みたいな気分☆
さて、ここからは誰の目があるかもわからないし、人モードにチェンジして街を訪ねますか。
さーて、楽しくお話できるかな!
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アシュタロテ歴87年、春。
応龍を討ち取り、謎の『手』が出現した西の山から、悍ましいほど凶悪な魔力が観測される。
数刻の後、西の山に大きな穴が開き、ナハル国は騒然となる。
ナハルの大多数の国民には謎の『手』が出現したことは知らされておらず、応龍討伐による平和の空気にまさに弛緩した状態であったのだ。
応龍襲来ぶりの厳戒態勢がとられ、国民の不安はさらに増す。
ナハル国は西側に陣を形成、さらに簡易土壁を築き、城下町防衛の準備を1日で整えた。
◇
翌昼、突如昨日の魔力を超える、圧倒的な魔力が観測される。
戦闘態勢に入る兵士たちであったが、西の山から膨大な量の"闇"が溢れ、ナハル国を覆った。




