第12話「seize the day」
初めまして!
私は、呪われた右手です!
元気です!
仲良くしてくださいねっ☆
‥ふぅ。
呪われてんのかよ、やばすぎ。
なんの呪いだよ、まったくもう~。
まあ、わかんないものはしょうがないか。
前の人生で学んだ唯一のこと、それは「切り替えは大事」ってことだ。
それよりも、今をどう生きるか、だ!
諸君、今を生きろ!
さて、親びんの腹にいた時からわかってたけど、人間がいたね。
ぼっちを極めた私でも、そろそろ誰でもいいからコミュニケーションを取りたい。
呪われた自分が、どうコミュニケーションをとるか‥
ぷるるん、、呪われてるけど、悪い右手じゃないよ、、
悪い、右手じゃ、ないんやよ。。
ダメだ。
右手、、これがダメだ。
そもそも右手は単体ではコミュニケーションの対象にはならない。
右手の時代を終わらす!まずはそこから。
森の中を歩き回ってみたけど、親びんの血が付いてるからか、森のモンスター的なやつらが逃げていく。
少しさみしいけど、安全だ。
安全が一番。
親びんの中にいた時に、気配感知しまくったらLvが上がったってことは、擬態しまくればLvが上がるはず。。
会社で一番好きな仕事、それは終わりの見えない単純作業こと私ノロが(呪われた右手の略だよ☆)
エンドレス擬態、やらせていただきます!
まずは、人間をイメージして。。
ん~、元の自分の顔が思い出せないなあ。
意外と自分の顏って思い出せないもんすね。幸薄目とか一重とかは覚えてるんだけど、顔が。。
さっきいた偉そうな人がなんか知らないけど目に焼き付いてるし、いったんその人をイメージしよ。
それでは、人間にちゃんと擬態できるまで、エンドレスでいきます。
擬態!解除!擬態!解除!擬態!解除!擬態!解除!…
◇
擬態!解除!擬態!解除!擬態!解除!擬態!解除!…
(私、なにやってるんだろ‥)
擬態!解除!擬態!解除!擬態!解除!擬態!解除!…
(たとえるなら、中途半端に排便したものを再度ひっこめて、また出して..)
(・・・)
(いや下品過ぎるたとえだったな、反省。。)
擬態!解除!擬態!解除!擬態!解除!擬態!解除!…
◇
何度日が昇り、そして沈んでいっただろうか。。
雨に濡れ、風に打たれ、雑草が伸び始めても、私はこのルーティンをやめなかった。
古き良きネットゲーマーのボトラーは、何があってもモニターの前から動かなかった。
まさにそれだ。
さらに今の私は、食事も排便も必要ない。
控えめに言って、完璧だ。
体力は減ってきてる気もするが、人だったときと比べると圧倒的に永久機関だ。
◇
そして私は人間に完璧に擬態できるようになった。
ただし、こいつの顔限定で。
まあ、仮面でも被っとくか。
仮面をして、呪われた右手、、あれ、ちょっとかっこよくないか?
いや、バリバリかっこいいな!!
これで右手が疼いたら最高なんだけど、、、、
!?
その時、唐突に右手が疼きだした!
おそらく、誰がどう見ても、完璧に右手が疼いている。
今にも右手からなにかが飛び出しそうな勢いで疼いている。
そして、はじまった時と同じくらい唐突に、右手の疼きは収まった。
[『疼く』がLv9へ成長いたしました]
え、Lv高っ!?
てか、『疼く』なんてスキルを持ってたんだ。。しかも元からLv8だったのね!
いやしかしこのスキル、、冷静に考えると、疼くだけかよ!
確かに、迫真の「疼き」だったけど!
擬態でつくった顔はまだ慣れなくて表情とかうまくつくれないけど、疼いてるときはまさに迫真の表情だったもんな。
歯を食いしばって耐えてる感じ。。たまんないね。
あ、ちなみになんで表情を見れたかというと、結局本体は右手で、視力を持っている目は右手の手のひらについてるからなのさ。
だから、手のひら握りしめたらなんも見えない。
でこの顔は、擬態でつくったおかざりで、目も口も鼻も耳もあるけど、あるだけ。
すべての機能は右手に集約されてるのだ。
右手以外の部分は、エンドレス擬態のおかげで、足とか手とかはなんとか操れるようになり、日常生活レベルの動きはできる気がするけど、表情のハードルは高いのよね。
人間でいうと、足の裏ってあんまりうごかせないでしょ?
擬態でつくった顔の表情を動かすのはそんな感じ。
頬の筋肉と目の筋肉とか口とか連動して表情をつくらなきゃなんだけど、全部それっぽく動かすのはマジ無理。
今は、不気味の谷を越えたけど表情は乏しいちょっと未来のロボットみたいな感じ。
でも、疼いてるときは人間にしか見えなかったなあ。
いつでも疼けるだなんて中二的には最高だけど、、、冷静に考えるとクソスキルだね。




