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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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朝倉の髪

おままごとが一段落し、庭に出た娘さんが「おそとであそぼー!」と言い出したので、みんなで軽くお茶をしながら縁側に腰掛けていた。

柔らかな日差しが庭の花を照らし、穏やかな風が吹き抜ける午後。

そんな中、娘さんがふと朝倉の背中に回って、じっと彼の長い黒髪を見つめた。


「……あさくらくん、くろかみ、すごーくきれい」


「ん、ありがと」


「これで、あそんでいい?」


「髪で? ……まあ、いいけど。痛くしないでくれよ?」


娘さんは嬉しそうににこーっと笑い、「うんっ!」と元気に返事をして、

どこからか持ってきた小さなくしとヘアゴムを手に、朝倉の髪を器用に編み始めた。


「わー、毛先やわらかい……ひとつ、ふたつ、みっつ……!」


きゅっ、きゅっと手際よく三つ編みにしていく娘さん。

配信者さんの奥さんが「うちの子、髪いじるの好きで」と笑いながら、庭の花をいくつか摘んできてくれた。


娘さんが「これ、さしてもいい?」と朝倉の耳元で聞いてきたので、

「花か。いいよ、どうぞ」と答えると、娘さんはうれしそうに三つ編みの間に小さな花を差し込んでいった。


淡いピンクと白の小花が、黒髪の中で優しく揺れている。


やがて完成した朝倉は、まさに“お姫様”と呼ばれてもおかしくない仕上がりになっていた。

それを見た樹が、耐えきれずに吹き出した。


「やっべ、完全にお姫様……! ってか、似合いすぎて笑う」


「いや、俺もビビってる。これは……気分が上がるな」


鏡代わりにスマホを渡されて、自分の姿を見た朝倉が思わず苦笑する。


「よし……これはお礼をしなきゃな」


そう言って、くるりと娘さんの方に振り返った朝倉は、しゃがんで目線を合わせる。


「なあ、お礼にキスしてもいいか?」


「いいよー!」


「何回か、してもいいか?」


「うんっ!」


朝倉はそっと額に、頬に、鼻の頭に――小さなキスをいくつも落としていった。

一つ一つが優しくて、あたたかくて、娘さんは照れながらも嬉しそうに笑っていた。


その様子をカメラ越しに見ていた視聴者たちはというと──


「破壊力エグい」「お姫様が姫にキスしてるのか……」「朝倉さん可愛すぎる」「あの三つ編みと花……天才の仕業」「これはもう一家に一人ほしい」


コメント欄は騒然。中には「おい、こっちは息止まってるぞ」なんて打ち込まれる始末。


それでも朝倉は涼しい顔で、娘さんの頭を優しく撫でながら、静かに一言。


「……ありがとうな。今日、すごく楽しい」


その声に、ほっこりした空気が流れた。


そして、庭の隅で「いや俺、あの顔に惚れてるのか……って何度目だろ……」と呟いた樹の声は、

配信にはたまたま入っていなかったけれど、聞いていた奥さんにがっつりイジられたらしい。

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