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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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おままごと③


配信者さんの家でのコラボ配信、第三回。

前回大好評だった“おままごと配信”がまさかのシリーズ化。

今日は「昼ドラ風 殺人事件編」。もちろん脚本は娘さん。演技力高めの大人たちを相手に、堂々と仕切るその姿にコメント欄も「女優すぎる」「娘ちゃん、脚本家向いてる」など絶賛の声が飛ぶ。


今回はメルちゃん(人形)が殺される展開。役割分担が終わり、

朝倉は「メルちゃんの本命の恋人」、つまり一番心を寄せられていた存在になった。

演技経験豊富な朝倉にとって、この程度の役――と思いきや、事態は思わぬ方向に転がっていく。


「……メルちゃんが……倒れてるの……」


娘さんの震える声とともに、配信者一家+樹、朝倉は円形に座った布団の上、まるで現場のような小道具に囲まれて沈黙する。


「……これは事件だ」


「まさか……あの子がこんな……」


「昨日、プロポーズしようとしてたのに……嘘だろ……」


みんなが台詞を重ねる中、朝倉は一言も喋らず、ふらりと立ち上がり、メルちゃんのそばに跪いた。

手が震えていた。視線は床を彷徨い、言葉が喉で止まったまま。


「……なんで……こんな……っ」


声が掠れた瞬間、空気が変わった。

布団の上にぽたり、と落ちたのは――涙。ガチのやつ。


「昨日、“明日もちゃんと笑ってくれ”って……言ったよな……?」


肩が小さく震える。

コメント欄がざわつく。


「え、泣いてる?」「ガチ?」「目薬じゃないだろこれ」「朝倉って感情入るとこうなるのか…」


「……もう一度だけでいい。声が……聞きたい……」


涙は一滴、二滴と落ち続け、朝倉は崩れるようにメルちゃんを胸に抱きしめた。

ガチ泣きである。目は潤み、呼吸が乱れ、声が震えっぱなし。


その静かな嗚咽に、娘さんはぽかんと口を開け、夫婦はリアクションを止めてしまい、

樹でさえ「……朝倉……」とつぶやいてしまう始末。


「俺が……もっと早く……気づいてたら……こんなことには……」


コメント欄が爆発する。


「朝倉が泣くとこ初めて見た」「普通にこっちも泣けてくるんだけど」「昼ドラ通り越して劇場映画じゃん」「娘さん、これ耐えられるんか?」


しかしその数秒後、娘さんが「メルちゃん、生きてたの!」と笑顔で叫び、空気が一気に明るくなる。


「……ほんとに……?」


涙を指で拭きながら顔を上げた朝倉の目はまだ赤く、完全に“恋人を喪った男”の表情だった。


「よかった……ほんとによかった……」


その言葉に、娘さんがとことこと近づいて袖を握った。


「泣かないで……」


「大丈夫。泣くのはお芝居のときだけにするよ、お嬢さん」


あまりに優しいその声に、奥さんが思わず「朝倉くん、本当に高校生なの……?」と漏らす。


「朝倉くん……すごすぎない……?」

「涙、どうやって出してるの……?」

「普通に心えぐられたんだけど……」


演技終了後、「演技が本気すぎて心配になる」「感情移入エグすぎ」「娘さんが心配するくらい泣いてた」と、コメント欄も視聴者も大混乱。


でも、朝倉はタオルで目元を押さえながら、ぽつりとこう言った。


「いや、なんか……“大切な人がもう二度と笑ってくれない”って思ったら、普通に無理だった」

朝倉はその場でホッと息を吐き、もう一度涙を拭いながらメルちゃんを抱きしめる。


「……よかった……ほんとに……よかった……」


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