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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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愛のGPS

気配切りの配信から数日後──

樹と朝倉の二人で、まったりとした振り返り雑談配信が始まっていた。


「いやー、あのコラボすごかったな。特にお前の気配切り、話題になりすぎてて笑ったわ」


樹がいつもの穏やかな笑みで言うと、隣で朝倉はマグカップ片手に軽く頷いた。


「……まあ、ああいうのは得意だからな。昔から人に気づかれずにいることが多かったし」


「それにしても、俺の位置だけピンポイントで当てたのやばすぎたけどな。あれ絶対、俺の体にチップでも埋めてんだろ」


そんな軽口にコメント欄も盛り上がる。


「リアルGPS」「完全に執着型彼氏」「怖すぎる」「でもわかる気がする」

「愛のGPSすぎて草」


その「愛のGPS」というコメントを拾った朝倉が、ふと静かに口を開いた。


「……GPSって言い方、あながち間違ってないな」


「ん? どういう意味?」


樹がちょっと眉を上げて問い返す。

朝倉は、無表情気味なまま、少し考えるように目線を外しながら言った。


「……あっただろ、あのとき。待ち合わせで、俺が約束の場所に行ったらお前いなくて。

それで、なんとなく“あっち”にいる気がして──で、本屋に行ったら、お前が平積みのエッセイ読んでたとき」


「……あれ!?お前、なんで俺が本屋寄ってるって知ってたの?あのとき連絡もしてないし……」


「連絡? してなかったな。……あれは“勘”だ。直感。

なんかお前の気配が、あっちの方向に流れていったような感覚があって、ついて行ったら本屋だった」


樹が明らかに引きつった顔で朝倉を見た。


「……え、それって……俺、何か発してた……?」


「いや、気配そのものは掴めなかった。けど、俺の中で“ここにいる”って確信が湧いたんだ。

で、確信がある程度固まると、実際に気配も追えるようになる。お前の気配は、慣れてるからな」


コメント欄が一気に荒れる。


「うわこっわ!!!!」「こいつ予知能力まで持ってるの!?」「愛の電波強すぎ」

「そもそも“慣れてるから”で済ませるのが怖い」「人間じゃない説、再浮上」

「魂で位置情報送ってるんか……」「ストーカーのプロやん……」

「GPSっていうか……第六感!?霊感彼氏!?」


樹も若干引き気味に、


「いやいや、いやいやいや、待て待て……。お前、なんか……怖いぞ? それもう異能力バトル漫画じゃん……」


朝倉は淡々とした声で続ける。


「……愛ってそういうもんだろ。

大事な相手の“気配”は、頭で考えるより先に、魂が探す。……そういうことだ」


「え、こわ……いや、ロマンチックなんだけど、怖いわ……。

いや、まあ……助かったけど……あのとき本屋で会えたの普通に奇跡だと思ってたのに……お前の中では“当然”だったの……?」


「……うん。お前があそこにいるの、確信してた」


「GPS、怖すぎワロタ」


コメント欄も樹も、朝倉の“直感で場所を把握する”という離れ業に震えつつ、

その異質さが“愛の形”として成り立ってることにも、ちょっとだけ納得していた。


そして最後に、朝倉がマグカップを口元に運びながら、ぽつりと呟いた。


「……次、どこにいるか分からなくなっても、ちゃんと見つける。……それが、俺の愛し方だから」


樹は苦笑しながら「はいはい……頼もしいな」と返すけど、

その瞳の奥には、ちょっとだけ“こいつには絶対敵わないな”って感情が浮かんでいた。


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