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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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泥団子作り

夜の雑談配信。

画面にはソファに並んで座る樹と朝倉。まったりした空気の中、コメント欄には「おかえりー!」「今日も尊いな」「何の話するんだろ」と、穏やかな声が流れている。


樹がふいに口を開く。


「なあ、バカなことしたくね?」


その唐突すぎる発言に、コメント欄が一瞬止まり、


「え?」「なに?急にどうしたw」「不穏」「こわいwww」


と、笑い混じりにざわつき始める。


朝倉がゆっくりマグカップを置いて、ちらと横目で樹を見た。


「……例えば?」


「んー……泥団子作りとか?」


「www」

朝倉が不意に吹き出す。


「今それか。……いや、いいぞ。別に嫌いじゃない」


コメント欄:「泥団子!?」「まさかの小学生ムーブ」「好きすぎる展開きた」「泥団子に命かけそうな二人」


樹は勢いよく立ち上がりそうな勢いで言った。


「よっしゃ!!今から公園行こうぜ!!」


「おい、今夜だぞ?」


「夜の方がテンション上がるだろ。真顔で泥いじってる27歳と高校生……逆に朝のほうがヤバくない?」


「……確かに。日が落ちて、誰もいない公園の片隅で、黙々と光らせる泥団子……」


コメント欄:「通報案件w」「その光景はアウト」「目撃者がトラウマになるレベル」


「……全く馬鹿げてるな」


朝倉が肩を竦めると、樹は得意げな顔で詰め寄る。


「で、やる?」


朝倉はしばし考えるふりをして、真顔で答えた。


「……いいぞ。どうせやるなら完璧なやつを作る。ピカピカに光るやつな。俺、手抜きはしないから」


コメント欄:「朝倉が本気出した」「職人来たw」「光りすぎて宝石扱いされそう」「どこまで全力なんだよこのふたり…」


樹が笑いながら胸を張って言う。


「マジで最高だなお前。お前みたいに全力でバカできるやつ、他にいねぇよ。……マジで、お前のこと、愛してる」


それに朝倉は、少しだけ口元をゆるめて返す。


「ああ、俺もだ。馬鹿なことでも、お前とやるなら価値がある」


コメント欄が盛大に湧く。


「愛の泥団子!?」「言葉の重さよ」「お前ら本当に付き合ってるのか?(知ってた)」「泣ける泥ネタやめろw」


樹がソファから立ち上がって叫ぶ。


「じゃあお前ら、俺たち今から泥団子作ってくるからな!配信外でな!!ピッカピカのやつ作ってやる!」


「完成したら写真見せて」「戦利品待ってます」「光沢チェックするわ」


朝倉もゆっくりと立ち上がり、カメラに軽く手を振りながら言った。


「……ピカピカに仕上げてやるよ。……お前と一緒にな」


コメント欄:「優勝」「泥団子で泣かされたのはじめて」「夜の公園で磨かれる愛」「推せる。泥でも推せる」


画面がエンディングに切り替わる中、リスナーたちは名残惜しそうにコメントを残していった。


「バカなことを本気でやる2人、最高だった」

「愛ってこういうことなんだな……」

「もう無理、尊い」

「泥団子作りがこんなにロマンチックだとは思わなかった」


配信は終了したが、リスナーたちの興奮と笑顔はそのまま夜のネットに残り続けていた。


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