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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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好きになったきっかけ

配信の画面には、いつもの通り並んで座る俺と、樹。


雑談配信。特に台本もない、気楽な枠だ。


画面のコメント欄が賑やかになりはじめたころ、流れてきたひとつの質問が樹の目に止まった。


「“好きになったきっかけ”ってありますか?」


樹が「うわー来たか」と苦笑して、画面を見たまま答える。


「俺はなー……あいつが“素直に好き”って言ってくるのに、負けたな。あれは本当に強いよ。

何度も言われて、あーもう降参だわって思った。あれで落ちないやついないって」


そう言って俺の方を見てくる。

クールな顔を保ちつつ、軽く目を伏せた。


……俺が素直に「好き」と言ったのは本当だ。

それが何度目の転生で、何度目の「好き」だったかは、もちろん言わない。


コメント欄には「素直な朝倉いいな」「逆に初恋はいつ?」「生まれたときから?笑」みたいな反応が飛び交う。


その流れに乗るように、樹がふと口にした。


「そういえばさ、あいつ――4歳くらいの時から俺のこと好きだったんだよな。たぶんリスナーは知らないか」


俺は無言で一瞬だけ画面を見た。

一拍、黙ってから口を開く。


「一目惚れだったよ。……初めて会った時に、確かにそう思った。

見た瞬間、身体の奥がびりっとして。……“この人が俺の大切な人だ”って、魂が叫んだんだ」


コメント欄が一気に爆発する。


『え、電流走った系?』『魂が叫んだって詩人すぎん?』『朝倉にそんなロマンチックな一面が…』


「……意外とロマンチストなんだな、お前」


樹がそう言って、楽しそうに笑う。


「まぁ、意外と、じゃないか。俺は前から知ってる」


「そう見えないって言われるのには慣れてる。……俺は口数少ないし、冷たく見えるから」


「でも、あの時の感覚は……本物だった。確信を持って“この人だ”と思った。

今も、その直感を信じてるよ。──ずっと、変わらない」


画面のコメントは止まらない。


『一目惚れを10年持ち続けてるの尊すぎる』『前世からの約束なのかと思うレベル』『朝倉、愛が深い…』


俺は軽く息を吐いた。笑うように見えるかもしれないが、実際はただ息を整えただけ。


前世のことなんて言えない。

でも、俺の想いが本物なのは確かだ。


ずっと好きだった。

何回生まれ変わっても、きっとまた同じ選択をする。

初めて出会ったみたいな顔をして、でも同じように、また惚れる。

何度だって、この人の隣に立ちたいと思う。


「──まぁ、過去はともかく、今の俺が好きになってくれてるなら、それで充分だよ」


樹がそう言って、俺の頭を軽く撫でてくる。

配信だから手は映らないけど、雰囲気でなんとなく伝わってるだろう。


「……それ以上撫でるな。配信中だ」


「はいはい、すみませんね、ロマンチックボーイ」


コメント欄:

『照れ隠しかわいい』『前世で恋人だった説』『朝倉が人間に見えないくらい一途』


「……前世なんて、あるわけないだろ」


そう、言葉に出すのは簡単だ。

でも俺の胸の奥では、また同じように、あのときと同じ声が響いていた。


──やっぱり、お前がいい。


それだけは、何度生まれ変わっても、きっと変わらない。

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