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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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75/152

大規模パーティー

イベント名は「Streaming Royal Gala 2025」

場所は某超高層ホテルのバンケットホール。配信者限定の招待制パーティーで、フォーマル着用がドレスコード――のはずだった。


会場には複数のカメラが設置されており、視聴者は好きな視点に切り替えて閲覧できるスタイル。

しかし、いざ開幕してみると、会場の中はもはやカオス。


「スーツ」って聞いて黒の三つ揃えで決めてきた真面目系配信者の横で、

肩幅を超えて盛られた金ぴかの鎧を着たモビルスーツ系VTuberがガシャガシャ動いてる。


「フォーマルって言ったよね!?」と突っ込む者もいれば、

十二単で悠然と歩く和風ガチ勢や、

本気のロココ調のドレスで豪華なカーテンのような配信者も。


しまいには、

「俺、貴族キャラだから~」と王冠つけて杖振り回してる配信者まで現れて、

コメント欄は《テーマパークじゃん》《RPGの町に着いた感》《フォーマルの意味とは》《文化祭か?》とざわつく。


そんな中――

カメラがゆっくりと会場の入り口に向く。


ダンスホールの扉が開き、静かな足音が響く。


現れたのは、マフィアのボスのように渋く決めた黒スーツ姿の樹。

その腕に、光を受けて舞うようなヒラヒラのパンツドレスを着た朝倉が軽く手を添えている。


朝倉のドレスは、ホルターネックに腰回りから長く流れる透け感のあるケープ生地。

パンツタイプではあるものの、動くたびに舞うドレープがまるでドレスのように見える設計で、

どこかジェンダーの枠を超えた、完璧な“今夜の主役”感。


「うわ、来た」「本命来たわ」「朝倉、衣装レベル超えてる」「二人で絵面が完成してるの反則」

とコメント欄が一気に盛り上がる。


配信者たちの間を抜けて、二人は談笑しながら会場を一巡。

顔見知りの配信者に軽く挨拶して、飲み物を受け取ったり、何気ない会話を交わしている。


そして――

曲調がワルツに変わった瞬間。


「……せっかくだし、踊るか」

「ふふ、いいね。テンション上がってきた」


そう言って、樹が朝倉の手を引き、二人はホールの中央へ。


周囲の視線がすっと集まり、自然とスペースが空く。


樹がリード、朝倉がフォロー。

二人は、視線を交わしたあと、完璧なフォームでワルツを踏み始める。


1分後には、もう会場中が息を呑む空気。


「回転が早すぎる!」

「バックスウェイからリバースターン!?」「今のランニングスピン、見えた!?」「朝倉、軸ブレてないぞ……」


コメント欄にダンス有識者の解説が入りはじめる。


《社交ダンス有段者だけど今のステップは競技大会レベル》《朝倉の柔軟性が異常すぎて人間やめてる》《バレエとジャズ混ぜてくるのズルすぎ》《体幹バケモン》


朝倉はターンしながら、ジャズダンスのターン軸で旋回し、

時に軽く跳ねるようなステップを交え、舞う。


樹は安定したリードでそれを支えつつ、

時折、片手で腰を持ち上げて持ち上げリフトすらこなす。


そしてフィニッシュ、

朝倉がスピンしてからリバースポーズで樹の胸元に手を添え、

そのまま静止。


――数秒の沈黙。


会場「……ッッッッッッ!!!!!」

コメント欄《フゥーーーーー!!!》《は?恋か?》《舞踏会の覇者》《やっぱ格が違うわ》《カメラそこ固定しとけ!》《これ無料で見ていいのか?》


二人は軽くお辞儀して、何事もなかったように戻っていく。

朝倉は涼しい顔で飲み物を受け取り、樹は少し頬を赤くしながらも平然とした表情で歩く。


それを見ていた他の配信者がポツリ。


「……あれ、あのままRPGのラスボス前に突入できるよな」

「舞踏会イベントの後に世界救うパターンだわ」


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