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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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クローゼットの中身紹介

夜の配信。画面には朝倉の落ち着いた部屋の一角、そしてその隣にくつろいでる樹の姿。視聴者数がじわじわ伸びていく中――


「じゃあ今日は……朝倉のクローゼットの中、見せてもらおうかって回でーす」

「謎の企画だな」

「いや俺も気になってたんだよ、マジで。家来るたびにちょっとずつ衣装増えてるし」


「……どうせコメント欄に言われてたんだろ?」

「バレてる」


そんなやりとりのあと、朝倉がすっと立ち上がり、クローゼットの扉を開ける。


パァン、と開いた瞬間、画面とコメント欄が騒然とする。


《えぐ》《衣装持ちすぎじゃない!?》《量もだがジャンルがわからん》《絶対一般人のクローゼットじゃない》


「じゃ、順番にいくな。まずこれ、貴族系ゴシック。レースの襟と金ボタン、燕尾服タイプ」


《似合うのわかる》《一回舞踏会に呼ばれてそう》《ウエスト位置が綺麗すぎるんよ》

「お前これでバレンタインの配信来たことあったよな」

「ああ、あのときチョコもらいすぎて持ち帰るのが大変だった」

「いや、それ俺もお前のファンから手伝わされたんだが」


「次、ストリート系。グラフィック強めのパーカーとか、バケットハットもある」


《ギャップやば》《私服こっち寄りなの嬉しい》《普通に歩いてたら視線奪われるタイプ》

「これ着てスケボー持ってんの、リアルにいそうで怖いんだよな……」

「滑れるぞ。言ってなかったか?」


「で、スーツ系。シングルもダブルも。タキシードもある」

《息して》《それで高校生なのやば》《式場で見かけても違和感ない》

「着崩さないのがいいんだよな。ちゃんと“着る”じゃなくて“仕立てる”感ある」

「スーツは型が命」


「これは地雷系・量産型。リボンとか、フリルとか、ピンクのやつ」

《!?》《!?!?》《それは反則》《いや待ってください朝倉さん》

「いやこれマジで着こなしてくるからな……可愛いとかじゃなくて、破壊力高い」

「地雷は地雷じゃなくて地獄って言われた」


「和服系もある。浴衣、袴、着物。祖母が教えてくれた」

《もう嫁じゃん》《は?着物も着れるの?》《無敵か?》

「お正月、これで初詣行ったの覚えてる。人混みで迷子になって泣きそうだった」

「俺が後ろから帯引いてたろ」

「そう。助かったけど、周囲の目が怖かったわ」


「これがチャイナ系(漢服)。刺繍が綺麗で、揺れる生地が好き」

《漢服まで!?》《どういう範囲で服集めてんの!?》《似合うんだよな……なんでだよ》

「中華テーマの撮影のときのな。俺が背景で小物持たされてたやつ」

「ちゃんと影になってた」

「それ褒めてるのか?」


「これは……執事服。クラシックなやつ。カフスまである」

《一瞬でメイド喫茶じゃなくて執事喫茶に行きたくなった》《なんで整いすぎてるんだよ》《雇いたい》

「この格好で『ご主人様』とか言われたら本当に倒れるからやめてくれ」

「言ったことないのに想像されてる……すごいな、お前ら」


「あとこれ、バニーボーイ衣装」

《きたぁぁあ》《あると思ってた》《耳付きだと……!?》《合法セクシー》

「本当にやめてほしい、隠しておいてくれ。俺の精神がもたん」

「一番テンション高いの樹だよな」


クローゼットを閉めながら、朝倉が最後に一言。


「服って、自分の外側をどう飾るかじゃなくて、どう在りたいかって話でもある。これ全部、俺だ」


《ほんとそれ》《どの服も似合う理由、今ので理解した》《中身がぶれてないからだ》《尊敬する》


樹もぼそっと一言。


「……どれ着てても朝倉だって、わかるんだよな。そこがすげぇんだよ」

「ふふ。ありがと」


――その日、配信はしばらくコメント欄が止まらないまま、静かに幕を閉じた。


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