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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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夏の夜

夏の夜。外はまだ少し蝉の声が残ってる。樹の部屋の窓からは、風鈴の音が時折ちりんと鳴っていた。


配信中、樹はまったり雑談をしていた。テーマは特に決めず、冷たい麦茶片手に「夏の夜はいいよな〜」なんて喋っていたそのとき——


「……ノックもしねぇな、アイツ」


ガチャリとドアが開いた音がして、そこに現れたのは朝倉。


「差し入れ。ゼリーと、冷やした団子。あと、これも」


そう言って、さらりと手提げ袋を机に置く。


……が、それどころではない。


コメント欄が、ざわつく。


《ちょちょちょ》《えっ?今映った?》《え、待って、短くね?》《ズボンどこいった?》


樹「おま、おまえ……その格好……っ!」


樹の声が一瞬だけ裏返る。慌ててカメラの画角を確認しながら、焦ったように片手でカメラを手で隠す。


「やべっ、映る映る映る!おい!こっち来んな!……お前、下、履いてるのかそれ!?」


朝倉はキョトンとした顔で自分の服装を見下ろす。


長めのゆるいTシャツ。そして、超短めの黒いホットパンツ。


朝倉「……履いてるぞ。ちゃんと。これ、涼しくていいんだ」


樹は手で顔を覆って項垂れる。


「いや、履いてるかどうかの問題じゃねぇんだよ……ぱっと見、Tシャツしか見えねぇんだよ……!」


コメント欄はもうパニック寸前。


《映っちゃいけない美脚》《これは見えちゃダメなやつ》《視聴者全員のドキドキが止まらない》《犯罪級の美脚事件》


朝倉は涼しい顔でそれを横目に、団子を冷蔵庫に仕舞いつつ、ぽつりと一言。


「……なるほど、こういうのが好みか」


樹「は?」


朝倉「普段はノースリーブとか、もう少し落ち着いたのにしてたけど……その反応、覚えておこう」


「いや待て、違うって!違う!これは事故だ!わかるか!?事故ってのはな、狙ってないからこそ起きるんだよ!」


コメント欄:

《事故(ご褒美)》《狙ってないから刺さるんだよ》《記憶に保存しました》《これから毎夏見せて》


朝倉はすぅっと冷蔵庫を閉め、軽く笑う。


「お菓子、冷やしてある。あとで一緒に食べるか?」


そう言い残し、ひらりと足音も立てずに部屋を出ていく。その背中を見送りながら、樹は崩れ落ちそうになっていた。


「……こっちのHPがゼロになりそうなんだけど……」


コメント欄:

《ごちそうさまでした》《たぶん全員落ちた》《夏の夜のホラーより怖い》《次の配信で死んでそう》


樹は配信の画面に向かって小声でつぶやく。


「頼むから……このアーカイブ、編集入れてくれ……」

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