樹の家でホームパーティ
個性豊かな配信者たちはというと――
・めちゃくちゃリアクションが大きい陽キャの料理初心者系男子→「マジで舌が幸せってこういうこと!? え、これ俺の舌…レベルアップしてない!?」
・冷静に分析系の女性実況者→「出汁と香味野菜のバランスが……ほんとに高校生?」
・食レポ得意な関西弁のお姉さん系→「これほんまにプロやって。レストランで出てきたら泣くやつやわ」
・小声系の天然癒しボイス男子→「……スプーンが止まらない……」
だが、人数は多い。徐々に「あれ、足りなかったか?」と空の皿を見ながら苦笑いする樹。
「まぁまぁ、安心してくれ。デザートがある」
静かに言った朝倉が、リビングの奥から運んできたのは――
高さ1メートル近い、3段構成の本格ウエディングケーキ。
真っ白な生クリームに飴細工と花の装飾、果物はキラキラと輝き、まるで式場のメインテーブル。
「待って待って待って!」「情報量が急に披露宴」「この配信いつから結婚式になった???」
【朝倉さんと結婚する人はいったい誰なんですか】【てか何人分だよこれ】【プロポーズ配信まだ?】
「……一度作ってみたくて。10人以上いるし、ちょうど良かっただろ」
「ちょうど良かったの基準が違いすぎる!」
そこへ食いついたのが、スイーツ狂いで知られる女子配信者、いちご(仮)。
「ちょ、これマジのウエディングケーキ!? 食べていい!? 本当に!? いただきまーーーす!!」
ナイフ入刀した瞬間にテンションMAX。
「クリームなめらかぁあああ!! 中のスポンジふっわふわ~~~っ!! なにこれっ、天国!? いや、極楽!?」「飴細工バリバリしながら泣いてる人初めて見たわ」
朝倉も静かに皿に乗せて、自分の分を食べ始める。――が。
明らかに他の誰よりも食べてる。
樹が横目でそれを見て驚いたように聞く。
「なあ……お前、こんなに食べれるやつだったっけ? 我慢してた?」
「いや、普段は活動するにはあの量で充分なんだ。ただ、胃の容量が人より多いだけ。燃費はいい」
「なるほど…って、そういう問題か?」
隣でいちごが三皿目を平らげている。
「朝倉くん、同じくらい食べる人いてよかったね……いや怖いなこの人も……」
【ウエディングケーキ争奪戦】【二人だけ胃袋別次元】【甘党界の頂点決定戦】
他の配信者も負けじと取り分けるが、量が尋常じゃないのでむしろ全員が満腹になり始める。
「最後がこれって、満足度やばくない?」
「胃袋だけじゃなく心まで埋められた気がする……」
【これはもう……嫁……】【文化祭のフィナーレじゃん】【ラストボス:ケーキ】【才能で殴ってくる男】
最後には、ケーキの断面を囲んで記念写真。
「じゃあ締めに、全員で“ごちそうさまでした”で終わろっか」
全員で声を揃えて、にこやかに、
「ごちそうさまでした!」
画面の外では、「結婚式だったな」「いやマジで美味すぎた……」という声が飛び交いながら、配信は幕を閉じる。
コメント欄の最後の一言:
【これがプロポーズじゃなかったのが奇跡】




