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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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二人の夜

配信が終わったあと、部屋の空気が少しだけ重くなっていた。


「なあ…さっきの話、本気か? 殴るとか、蹴るとか、してもいいって…」


樹が言葉を選びながら聞くと、透は迷いなく頷いた。


「本気だ。お前からだったら、愛として受け止められる。俺がどんなに傷ついても、お前が望んだなら……それで、お前のストレスが消えるなら、それで満たされるなら……俺はそれを“好き”ってことに変換できる」


静かな声だったけれど、その中にある覚悟と歪んだ純粋さは、ひどく重たかった。


「死ななきゃいいよ。呼吸が止まるギリギリとか、そういうのでも俺は構わない。たとえば、首……締められても」


樹は思わず唾を飲み込んだ。笑って誤魔化すには重すぎた。でも、自分の中に、ほんの少しだけ――ほんの少しだけ、「そうしてみたい」と思った感情があることを、彼は認めてしまっていた。


「……お前ってさ、たまに本当にヤバいよな」


「うん。でも、それを分かったうえで好きって言ってくれたお前がいるだろ?」


そう返されたとき、樹の胸の奥がチクリと熱くなる。愛されている。それも、簡単に返せるものじゃないほど、深く、強く。


試しに樹は、透の顎を軽く掴んで、わずかに喉元へ指を滑らせてみた。透は一瞬だけ目を細めて、微笑む。


「そう。そんな感じ。痛くなくても、支配される感覚があると……すごく安心する」


「ほんとにヤベぇな、お前……」


そう言いながらも、樹の指は止まらなかった。触れるだけのくせに、妙に優しくて、でもどこかぞくりとするような重さがあった。


ほんの一瞬だけ、危うい境界線の上に二人は立っていた。けれど、それを越えるかどうかは、まだお互いの間にある「理性」と「信頼」が決めることだ。


透がぽつりと呟く。


「……お前のそういう顔、もっと見たい」


「じゃあ、俺も……お前のそういう顔、もっと引き出してみるか」


その夜、二人はただ互いの鼓動を確かめるように抱きしめ合いながら、境界線の手前で静かに眠りに落ちた。


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