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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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二人の朝

カーテンの隙間から差し込む朝陽が、まだ仄暗い部屋をゆっくりと照らし出す。静かな空気の中、シーツの上には小さく呼吸する透の姿。首元にはうっすらと赤い痕が残り、腕や脇腹にはいくつもの指の跡や、爪を立てられたような傷が散っている。


その傍らで、樹は少し腫れた瞼を擦りながら、氷嚢を持ち替えて透の額にあてがう。体温は正常。ただ、呼吸が浅く、うっすらと汗をかいているのが気になって、樹は一晩中眠れなかった。


「……お前、ほんとにバカだな」


ぽつりと、呟く。けれどその声には怒気はなく、ただただ優しく、滲むような愛しさだけが込められている。


透は薄く目を開ける。焦点が合うまで少しかかり、やがて樹の姿を認識すると、かすかに口元を緩めた。


「……おはよう、樹」


「おはようじゃねぇよ。俺、何回も止めたよな。痛くても平気だとか、愛だとか、そんな言葉で全部許された気になってるの、ほんとズルい」


それでも、声は優しかった。手は冷えた氷嚢をどけて、代わりに透の頬を撫でる。赤く、熱を持った肌。まるで火照りがまだ残っているかのようだった。


「でも……お前が俺に全部を許してくれるから……俺も、限界を越えそうだった」


透は、微かに笑った。喉の奥で、乾いた呼吸と一緒に漏れた笑いだった。


「限界、越えていいって言ったじゃないか」


「……はぁ、ほんとヤバい。お前、マジで重い。けど、もう離れられねぇよ。俺もさ」


樹はゆっくりと透の額に口づける。優しく、まるで謝るように、愛しさを込めて。


「今日はもう動かなくていい。ずっとそばにいるから。なにか欲しいもんがあったら言え。水でも、食べ物でも、……愛情でも」


透は微笑んだまま、うなずいた。


朝の光が、静かにふたりを包んでいた。


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