ちょっとしたお知らせ
とある夜、樹の雑談配信が始まった。
配信タイトルは《ちょっと話したいことがあるんだ》。
「よう、来てくれてありがとな。今日の配信は雑談っていうか、ちょっと報告……かな?」
マグカップを手にしながら、少し緊張気味に笑う樹。
真剣な口調に、コメント欄もすぐ察し始める。
コメント欄
【あれ、なんか今日いつもと違くね?】
【報告?まさか…】
【ドキドキしてきた】
「前にな、恋愛相談の話でお前らにいろいろ聞いてもらっただろ?“その人のことどう思ってるのか”とか、“本音で話せ”とか……あれ、ほんと助けられた」
「でさ……俺、ちゃんと気持ち伝えたんだ。相手に」
コメント欄
【え!?】
【告白したってこと?!】
【うわー本番きたぞ……!】
「結果から言うと……うん、付き合うことになった。OKもらえたよ」
コメント欄
【やったぁああああ!】
【おめでとうおめでとう!】
【尊すぎて泣く】
【まって朝倉くん……だよね?】
樹は少し照れながらも、素直に笑った。
「……まあ、名前は言わねぇけど。何度か配信にも映ったことある“朝倉”って呼んでるやつだ。わかる人にはわかると思う」
コメント欄
【やっぱ朝倉くんかー!】
【あの時の洗濯物の人かwww】
【ホラーゲーム助けに来てくれた神だろ】
【実は推してました】
「今までずっと“幼馴染”って言ってきたけど……俺にとっては、それ以上だったみたいでさ。そいつ、昔からずっと俺のそばにいてくれて。なんかもう、いない生活が考えられなかった」
「だから、ちゃんと向き合うって決めた。俺なりに、真面目にな」
コメント欄
【誠実すぎる】
【最高の告白じゃん】
【幸せになれよな!!】
【朝倉くんガチで一途だったもんな】
「そいつ、すごく真面目でさ。自分が卒業するまで待つって言ってくれてた。でも、俺の方が先に根負けした。……待たせすぎたしな」
「名前とか、プライベートなことはこれからも出す気はないけど。……まあ、ちょいちょい出てくるかも。あいつ、放っておくとまた洗濯物回収とかに来ちまうからな……」
コメント欄
【また配信に映ってくれ頼む】
【朝倉くん、マジで家庭力高い】
【尊い生活感】
【惚れてまうやろ】
「というわけで、報告でした。……今まで応援してくれてありがとな。俺、ちゃんと幸せになってみせるよ」
そして、樹は小さく笑って配信を終えた。
画面が暗くなっても、コメント欄には「おめでとう」「幸せになれ」「朝倉くん最高」の文字が、しばらく止まることはなかった。




