表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
PR
30/152

告白

フレンチレストランを出る頃には、街はすっかり夜の装いになっていた。温かな灯りが並ぶ歩道を、ふたりは肩を並べて歩いていた。


買い物袋はほとんど樹が持っていた。透は両手をポケットに入れて、空を見上げる。


「……ふふ。満月か」


「そうだな。今日の締めにちょうどいい」


樹の声に、透はふと振り返る。そこで気づいた。隣を歩く彼の顔が、どこか真剣だったことに。


足が止まる。


「どうした?」


少し黙っていた樹が、意を決したように口を開いた。


「透」


「ん?」


「……俺、お前が好きだ」


透の目が見開かれた。けれど、それは驚きというより、心の奥に染み込んでくるような、静かな感動だった。


「……いいのか?だって、俺まだ高校生だぞ?」


「いい。それまで待てるって思ってたけど、今日一緒にいて……無理だってわかった。待てなくなった」


その言葉に、透は瞳を伏せ、少しだけ唇を噛んだ。でも——


すぐに、ふわりと微笑んで頷いた。


「……俺も、樹が好きだよ」


その瞬間、今までずっと待たされてきた想いが、まるで堰を切ったように流れ出す。


樹は一歩踏み出し、透の体をぎゅっと抱きしめた。


「お前、ほんと……好きすぎる……」


「樹……」


そして、そっと腕の中の透の額に、頬に、そして——


唇に、キスを落とす。


驚きに目を丸くしながらも、透はその温もりをそっと受け止めた。


この日から、ふたりの関係は少しだけ、確かに変わった。

でも、それはとても優しく、自然で、温かい変化だった。


静かな夜道。そっと唇を離したあと、透がぽつりと呟く。


「……なんか、いつもと逆だな」


樹が不思議そうに顔を覗き込むと、透は少し照れながら笑った。


「いつもハグとかキスしてたのは、俺のほうだったろ?今日は、樹からだったからさ」


それを聞いた樹も、肩の力が抜けたように笑い出す。


「……ああ、そうだな。たまには逆もアリだろ?」


「ふふ。嬉しかったよ、樹」


ふたりはそのまま歩き出す。いつもの道なのに、少しだけ景色が違って見えた。


すると、樹がふと思い出したように尋ねた。


「なあ、透。俺たちもう……恋人になったわけだけど、今までみたいに友達にハグしたり、キスしたりするのは……どうする?」


透は歩きながら、少しだけ考えたあと、ふっと笑って答えた。


「うん。唇以外のキスは浮気に入らないだろ?今まで通り、ちゃんと許可を取ってからするし。愛情表現のひとつとして、俺にとっては大事なんだ」


「……なるほどな。お前らしいや」


「でも、これからは——樹にするハグとキスは、許可いらないんだよな?」


そう言って、透はそっと樹の腕に自分の腕を絡める。


「恋人だからな」


「……ああ。恋人だからな」


ふたりの足音が、穏やかな夜風と共に、ゆっくりと家へ向かっていった。

その距離はもう、どこまでも近くて、どこまでも温かかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ