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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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高級フレンチ

買い物袋で両手がふさがりながらも、ふたりは楽しげに笑い合っていた。気づけば夕暮れどき。ふと、樹が腕時計を見て言った。


「……そろそろ時間か。じゃあ、予約してるから行こうか」


「予約?」


不思議そうに首を傾げる透をよそに、樹はタクシーを拾い、颯爽と後部座席のドアを開けた。


数十分後、降り立った先は、レンガ造りの重厚な建物。明かりの灯ったエントランスには「Résonance」の文字。


「……ここって、噂の高級フレンチ……」


「ん。せっかくのデートだし、最後はちゃんと“締め”たいと思ってさ」


透はその外観に一瞬たじろいだが、すぐに表情を引き締めた。


「……流石に高そうだな。俺、浮いてないか?」


「大丈夫。俺も最初来た時、スーツの袖でパンを拭いたから」


「それはやめとけ」


それでも、いざテーブルに着くと、透の振る舞いは完璧だった。ナプキンの広げ方、カトラリーの持ち替え、——すべてが自然で、落ち着いている。


「……すごいな、お前。場馴れしてるっていうか」


「まあ、昔ちょっとだけ、そういう場所に行く機会があったからな」


「透みたいに綺麗には、俺、食べられないよ。こういう店、配信者の付き合いとかで何回か来てるけどさ。緊張で味が飛ぶ」


「樹が美味しいと思って食べられてるなら、それが一番いいだろ?」


そう言って、透はナイフとフォークを静かに置いた。ちょうど、前菜のフォアグラのテリーヌを食べ終えたところだった。


樹も思わず笑みをこぼす。


「……なあ透。今日、デートに誘ってよかった」


「俺もだよ。……すごく、楽しい一日だった」


フレンチの品々はどれも美しく、味も申し分なかったけど——


樹の目に一番美味しそうに映っていたのは、向かいの席で穏やかに微笑む、透の姿だった。

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