買い物デート
ショッピングモールの服屋を出たあとは、透がちらりと時計を見る。
「まだ時間あるな。家具と家電も見に行くか」
「……お前のテンション上がるターンだな」
そう言われて、透は小さく笑った。
まず向かったのは家具売り場。寝具のコーナーで樹が「ベッドでも見てみるか」と言うと、透は急に真剣な顔になる。
「寝具はこだわれ。……毎日使う物だ。妥協すると疲れが取れない。」
「プロの目だな……」
スタッフと相談しながら、樹の身長や体格、寝姿勢に合わせたオーダーメイドマットレスと枕のセットが決定。樹は値段を見て一瞬たじろいだが、透の「ぐっすり眠れるぞ」という一言で、購入を決意した。
そのあとゲーミングチェアコーナーで、樹が目を輝かせる。
「うわ、これ座面が電動で傾くし、腰のとこ冷却ファン入ってる……!」
「座ってみろ。ほら」
勧められるままに試座し、背もたれに体を預けると、樹が思わず声を漏らす。
「……これ、買いだわ」
「テンション上がってるな」
「上がるだろ、これは」
満足そうな顔で即購入。
さらに家電コーナーに移動すると、今度は透がきらきらと目を輝かせ始める。
「……このオーブン、予熱が速いしスチーム機能付きだ……」
「お、掃除ロボット。吸引力ヤバいな。あとこれ、洗剤自動投入タイプの洗濯機だって」
「えっ、ほんとに!? ……樹、見てくれ、やっぱり最新式は違うな……!」
いつになくウキウキして、フードプロセッサーやフライヤーを手に取りながらテンション高く語る透を、樹は少し離れた場所から見ていた。
そして、透が抱えていた商品をまとめて持ってきて、スタッフにこう言った。
「これ、全部ください」
「……は?」
レジに向かおうとする樹の腕を、透が思わず掴んだ。
「ちょっと待て。さすがに金の使いすぎだろう……!」
「いいんだよ。全部俺ん家で使う物だろ?つまりお前が使うってことだ。なら、なんの無駄もない」
透は数秒黙ってから、ぽつりとつぶやく。
「……バカだな」
「褒め言葉で受け取っとく」
ふたりで重い袋を持ってゲームコーナーへ移動。そこでふと足が止まった。
「なあ、これ——協力プレイあるってさ」
「ん、どれどれ……じゃあ、一緒にやろうか」
結局、スイッチ用のソフトを何本かと、ボードゲームまでいくつか追加。袋の量はどんどん増えた。
でもその分、二人の家での暮らしは、さらに心地よく、楽しくなっていく。
まるで——ふたりの“生活”そのものを、今積み上げているみたいだった。




