表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
PR
27/152

服屋でデート

イルカショーを楽しんだあと、水族館の出口からそのまま歩いて、ふたりは街の方へと向かった。


「昼どうするか?」と樹が訊けば、透は軽く首を傾げて、ふわりと笑う。


「デパートで食べるのもいいけど……たまには、こんなのもいいだろ?」


そう言って、駅前の屋台で売っていた焼きそばパンとフランクフルトを手に取る。ヒールの高い靴に、品のある指輪とアクセサリーをまとった透が、庶民的な食べ物をもぐもぐ頬張る姿は妙にギャップがあって、樹は吹き出しそうになった。


「お前さ、もう見た目と中身が一致しなさすぎて面白いんだよ。」


「それはよく言われる。」


そんなやり取りをしながら、ふたりは人通りの多いショッピングモールへ。服屋のウィンドウを一緒に眺め、透が急に立ち止まる。


「……これ、かわいいな。」


指差したのは、黒地の猫耳パーカー。透の雰囲気には珍しく、ポップな可愛さのあるアイテムだったが、本人は迷うことなくレジへと向かった。


「……一目惚れ、だ。」


そのあとは夏物コーナーで、透が黒のスポーツブラ風トップスにショートパンツという、明らかに露出多めなコーディネートを手に取った。


「透、それで外出んの?」


「ん? うん。涼しそうだし、楽そうだろ?」


「……だーめ。アウト。却下。目のやり場に困るやつ多発する。絶対外では着んな。」


「……? でも、お前が見てる分には問題ないよな?」


「それも問題だわ!!」


突っ込みながらも、樹は結局それもカゴに入れてしまう。買うこと自体は止められないと悟ったらしい。


さらにそのままスーツ店へ。透が樹の身体を測ってもらいながら、生地やシルエット、ボタンの素材まで丁寧に選んでいく。ラペルの形にまでこだわる透に、店員も少し感心していた。


「ほんとにお前、センスいいよな…俺に任せてたら絶対無難なネイビーとかだった。」


「……お前の美的感覚は“普通”だからな。でも、普通が悪いわけじゃない。俺はちょっと、贅沢したいだけだ。」


仕上がったスーツの仮見本を見ながら、樹がカードを差し出す。透がチラッと目をやると、さりげなく“ブラックカード”のロゴが目に入った。


「おい…本気でこれ使うのか?」


「いつも世話になってるからな。……それに、お前が俺のそばにいてくれるだけで、たぶん俺、金じゃ足りねえんだ。」


「……大げさな。」


そう言いながらも、透の表情はどこか嬉しそうだった。買い物袋を両手に持ち、さりげなく樹の腕に自分のを絡める。


「なあ、樹」


「ん?」


「今日は、ほんとに楽しいな。」


その声は、水族館で漏らした言葉と同じだった。でも少しだけ、もっとあったかくて、近かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ