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7,共に、激流に飛び込む

〜感想募集中〜

春の蓮が水を抱き、玉階に翠を点ずる。御書房の前には整然と並ぶ衛士が厳かに立ち、燕雀もその声を潜める。

一羽の白い鳩が金瓦の上を飛び抜け、舞うようにある男の腕に降り立つ。その男は猩紅色の蟒服をまとい、風に彩りが揺れる。「翰墨斎」と書かれた扁額の下に立つその一品武官は、白鳥のような衣姿で凛々しい立ち振る舞いを見せている。


若き少年が御書房から姿を現した。その足取りは端正で、細身の体は弱冠にも満たない年齢に見えるが、その顔立ちは端麗で、黛紫色の双襕の衣装が雪のように白い肌を一層引き立たせている。その眉目は、御園の花にも劣らぬほど華やかだった。


「都統様。」少年の声は細く澄み渡り、蟒服の武官に一礼を捧げた。彼が鳩書を読んでいるのを見て、しばし静かに待ってから再び言葉を続けた。

「皇上が中へお呼びです。」


都統は鳩書をしまい、御書房へと向かって歩き出した。少年は頭を垂れながら、武官の手から白い鳩を受け取り、数歩後ろに下がった。


葉峥が目を覚ました時、風は冷たく、陽光は雲間に隠れていた。いつの間にか眠り込んでしまっていたらしい。彼は周囲を見回し、広い川の先にいくつかの石山が林立しているのを確認した。


「もうすぐ着くな。」彼は勢いよく体を起こし、船の櫂を手にして漕ぎ始めた。船頭に座る陶雪義もそのリズムに合わせて、岸へ向けて船を漕ぎ進めた。


船をひっそりとした葦の茂みの中に停めると、陶雪義が先に下船した。この辺りは草木がまばらで、遠くにいくつかの古い家屋が見えるが、人の気配はない。大小の石が点々と散らばり、一つの孤塔が不自然にそびえている。石山の形状は不規則で、かつて石材の採掘が行われた跡が見て取れる。この場所は明らかにかつての採石場だった。


「ここが五子村か?」陶雪義が尋ねた。

葉峥は先ほど買ったネギ油餅を取り出し、一口かじりながら前方を指し示した。


「そうだ。昔、この辺りには五子村という村があった。石山から高品質の花崗岩が産出されていたから、官府がここに採石場を作ったんだ。」彼は川を指差して説明を続けた。「石材は水運で運ばれていた。この川は採石場を貫き、その中心には渡し場がある。渡し場を越えれば川の流れが急になり、石山を回り込んで急流となって下流に続く。」


陶雪義は眉をひそめた。「なぜ人をこんな場所に連れてきたんだ?」


葉峥はさらに前へ進み、七尺の高さがある岩の裏に立ち止まった。「ここは採石場の遺跡だ。石山の下は石材の採掘でできたアーチ状の空洞がたくさんある。俺たちみたいな山賊が山寨にするにはぴったりの場所だろう?」


陶雪義:「……」


「ここはかつて蒲牢堂の分堂があった場所なんだ。一年前、広州の知府が着任してから盗賊討伐に力を入れたらしい。それで山寨は解散したが、あの渡し場には今でも多くの江湖の連中が立ち寄る。」


「もっと詳しく話せ。」陶雪義は葉峥のそばに立ち、険しい顔つきで言った。


「つまり、ここは……殺して捨てる場所だ。採石場でやれば隠蔽度が高い。この辺には石の破片が山ほどあるから、それを人にくくりつけて川に投げ込むだけで終わりだ。」葉峥は周囲を見渡しながら言った。しばらく観察してから前進を続け、振り返ると陶雪義が目を伏せて険しい表情をしているのが見えた。


「……ただ、奴らが俺に相談してきた時は、殺すとは一言も言っていなかった。わざわざここに連れてくる必要もないし、もっと大きな可能性としては、ここに協力者がいるか、捕らえた人間を隠すか、急流を利用して下流へ運ぶ計画だろう。」


二人はついに石山――採石場の入口にたどり着いた。葉峥は陶雪義を一瞥し、懐を探りながら言葉を続けた。「生きているか死んでいるかわからない可能性が高いだろうな。」


「ふん。」陶雪義は右手で剣の柄を握りしめ、そのまま静かに引き抜いた。葉峥は一瞬殺気を感じ、慌てて数歩後ろに下がったが、陶雪義が冷たく命じた。


「中に入れ。」


「は?」葉峥が陶雪義の意図を測りかねていると、陶雪義は軽功を使い、岩壁を音もなく上がっていった。数回跳ねただけで険しい岩の裂け目に姿を消した。


「おい――!」葉峥は手にしていた木札を握りしめ、その場に一人残された。空はますます暗くなり、陰鬱な風が吹きつける。木札の持ち主はどこかへ消えてしまった。元々返そうとしていたのに、なぜ突然消えたのか。葉峥は木札を懐にしまい込み、重く息を吐いた後、山下の拱洞に向かって歩き出した。


結局、俺はまだ蒲牢堂の一員だ。これは俺を囮に使おうという魂胆に違いない――そんな考えが一瞬浮かんだが、すぐに打ち消した。もし陶雪義が突然戻ってきて俺を始末しようとしたらどうする……。嫌な予感で眉をひそめながら、彼は前進を続けた。


採石場へ足を踏み入れると、連続するアーチ状の洞窟が目に入った。空はますます陰り、川幅は石山の間で狭まり、流れは急激になっている。川音と風音が交じり合い、不気味な反響を生み出している。これらの洞窟は一つの石山を貫通しており、その出口は前山と後山の間の広々とした平地に繋がっている。そこは旧採石場の中心地、すなわち「渡し場」だ。


洞窟内には、石壁に沿って建てられた山寨の屋敷がまだいくつか残っている。その前方には前山への出口があり、湿った冷たい風が吹き込み、急流の音が響き渡る。


ここを訪れるのは葉峥にとって二度目だった。三年前、風はもっと荒れ、空はさらに冷たく暗かった。蒲牢堂はここで敵対する幇の残党を一掃し、渡し場は血の川と化した。葉峥もかつてここで一振りの刀を持っていた。村外れの鍛冶屋で買った安物だったが、一人を斬っただけで折れてしまった。その折れた刀は遺体と共に急流に投げ込まれた。


あの日、彼は復讐を果たした。


再びこの地に戻ってきたが、人影がないこと以外には何も変わっていない。山と山の間、ここはかつて石材の集積と運搬の中心地だった。広大な敷地には、山体に沿って三階建ての山寨屋敷が並び、廃墟と化している。残骸の煉瓦や木片、大きさの異なる石の破片が至る所に散らばっている。


突然、葉峥の視線が鋭くなる。山寨屋敷の前に人影が見えたのだ。浅黄色の深衣を着た華奢な体つき――それは青雀庄であの女と共に連れ去られた若者だった!葉峥は駆け寄り、若者が木の柱に縛り付けられているのを確認した。柱は高すぎず低すぎず、薄暗い空の下でその顔色は蒼白だった。


葉峥は嫌な予感を覚え、すぐに刀を抜いて柱に飛び乗り、縄を切った。そして若者の体を抱き止めながら地面に降り立った。


だが、若者の体は冷たく、眉の下は黒ずみ、すでに死相が漂っていた。


「どういうことだ……本当に殺されたのか?」葉峥はその人中に手を当てる。そこにはもう息がなかった。


陶雪義が言っていた皇子……それが殺されたのか?


葉峥は舌打ちした。見上げると、険しい岩壁は草木に覆われており、陶雪義の姿はどこにも見当たらない。前後の石山の切り立った崖には風に揺れる木々が並び、陰鬱な雲が山を覆っている。遠くから雷鳴が響き、暴風雨が近づいている。


青年の遺体を地面に横たえ、葉峥は刀を握り直した。「出て来い!俺だ!」と朗々と呼びかけた。


声が響き渡ると、山寨屋敷の屋根の上に一つの人影が現れた。纖細な体つき、舞い上がる黒髪――それはあの女だった。


彼女は依然として面紗をつけたままだった。高所から見下ろし、無言で立っている。葉峥は周囲に他の人間の気配を感じ、刀を構えたまま川の方へ後退した。その間に、青年の遺体が縛られていた近くから、黒装束の者たちがゆっくりと姿を現した。


葉峥は一瞬考え込み、刀を鞘に納めた。そして両手を上げて叫んだ。


「俺一人だけだ!みんな蒲牢堂の者だ。話があるなら冷静にしよう!」


「蒲牢堂じゃないわ。」女は声を上げた。その声は高く澄んで冷ややかで、まるで氷のようだった。「睚眦堂よ。」


「なんだって?!」葉峥は愕然とした。その瞬間、暗い空から稲妻が走り、彼の声をかき消した。周囲の黒衣の者たちはさらに近づいてきた。葉峥は状況が飲み込めず、背水の陣を敷く覚悟で再び刀を抜いた。しかし、女の姿はすでに消えていた。


(あの野郎、まさか俺をここに置き去りにするつもりだったのか?降りてくる気なんて初めからなかったんじゃないか?くそったれ!)


そう思った矢先、黒衣の者たちが武器を抜き放ち、一斉に葉峥に襲いかかってきた。もう背水の一戦を避けることはできない。相手は九人――蒲牢堂でそこそこの頭角を現していた自負はあるが、いかんせん彼の身には新しい傷があり、どう考えても九死に一生の状況だった。


(蒲牢堂じゃない、睚眦堂だ……睚眦堂って一体なんなんだ?)


黒い影たちが地を蹴って跳び上がると、刃が閃き、瞬く間に乱戦が始まった。葉峥は生き延びるためにまず三人か四人を倒す必要があると考え、二人の刀を受け流しながら反撃した。続いて別の二人が刀を振り下ろしてきたが、彼は両手で九環刀を高く掲げ、一気に九成の陽の力を込めて一閃した。


「はああっ!」


凄まじい弧を描いた刀の一撃は、二人の刀刃を真っ二つに割り、耳を裂くような金属音が響き渡った。破片が宙を舞い、鮮血が飛び散る。


「二人倒した……あと六人か。」


残りの六人は葉峥の実力を見て攻撃を控え、防御に徹して彼の周りを囲み始めた。葉峥は刀を横に構え、冷静を装っていたが、肩の傷口が先ほどの一撃で裂け、激痛が走る。彼は荒い息を吐きながら体勢を整えた。


冷たい風が吹き抜け、周囲に豪雨が降り注ぎ、天地は暗闇に包まれる。黒衣の者たちの動きが静止し、一瞬の緊張が走った。次の瞬間、六人全員が雨の中を突っ切って葉峥に殺到してきた。葉峥は刀を回し、地面の石をすくい上げて空中へ弾き飛ばした。その石は黒衣の一人に命中したが、残りの五人は怯まず、一斉に彼に斬りかかってきた。


「まずい……」


彼はさらに一人を倒したが、相手は六合刀陣を繰り出してきた。葉峥は歯を食いしばり、胸前で刀を横に構えた。鋭い金属音が雨音に混じり、再び衝突が起こる。


豪雨が滝のように降り、雷鳴が轟く中、葉峥は息を切らせながら前方に見覚えのある人影を捉えた。それは雨の中を舞う陶雪義の姿だった。


(まさかあいつ……!)


「陶雪義――!」


掠れた声が雨音の中に響き渡る。葉峥はその怒りをそのまま叫び、まるで彼にぶつけるかのようだった。


「お前、一体何してんだ!」


陶雪義の剣術は鋭く、一対五で圧倒する勢いだった。先ほど葉峥が石で倒した黒衣の一人も加わり、彼を取り囲む戦いが再び激しさを増した。


葉峥は痛みに顔を歪めながら肩を押さえた。血が再びにじみ出てきたが、戦いの音が耳をつんざく中、目の前の剣士の姿に目を凝らした。


陶雪義の周囲を取り囲む黒衣の者たちは一人、また一人と倒れていく。四人、三人……五人、六人……


「なんだ……?」


七人、八人……増えているではないか!


間違いない。元々五人しかいなかった黒衣の者たちが倒れた後、その背後からさらに何人も現れている。葉峥は再び冷静さを取り戻し、周囲を観察した。目の前で剣を振るうのは確かに陶雪義だった。彼は剣を自在に操りながら、少しずつ葉峥の方に近づいてきた。そして、その先にはさらに多くの黒衣の者たちが迫っていた。


新たに十人以上の黒衣の者たちが現れ、二人を囲むようにして再び陣形を組んだ。


激しい風雨の中、葉峥は深く息を吐いた。背中越しに感じる陶雪義の気配は荒い息遣いの中に微かな冷静さを残していた。彼は二刀を構え、立ち姿は毅然としていた。


次の閃光が走り、十人の黒衣の者たちが一斉に跳び上がった。陶雪義は瞬時に軟剣を振り、剣光は蛇のように鋭く輝いた。刃が閃いた次の瞬間、血の雨が降り注ぐかと思われたその時――


「何……!」


唐突に、陶雪義の目の前が一瞬揺らいだかと思うと、背中の布が何者かに掴まれた感覚があった。そのまま布の裂ける音が響き、彼は葉峥ごと激流へーー


水音が激しく響き、二つの人影が豪雨の中に飲み込まれた。

〜そしてビショ濡れの夜へ続く〜

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