5. 道行く男たちがナヴィを見てるのよ? こんなの視○だわッ!!
カジノに行きたいと駄々をこねるナヴィの首根っこを掴みながら、僕はとある目的地に向かった。
それは──冒険者ギルドだった。
この異世界に来たからには、お金を稼いで生活していかなきゃいけない。
現在僕は無一文で、明日はおろか、今日のご飯を食べるお金すら持ち合わせていないのだ。
勇者という、僕にとってはレッテルを貼られているわけだけど、明日生きるための日銭を稼ぐ為には、背に腹はかえられないのだ。
「勇者としての使命を果たすのか? カケル?」
「その使命は果たさないよ。とりあえず、今日明日の食費は稼がなきゃいけないからな」
ナヴィがお金は無限に作れるって言うけど、それじゃあナヴィに頼って楽することになるし、もし──お金を無限に生成し始めたら、カジノに入り浸って出てこないなんて容易に想像できる。
これは僕の為であり、ナヴィの為でもあるのだ。
そう言い聞かせよう。
「そういえば、この世界の貨幣価値ってどんなものなんだ?」
「ざっくり言うと銅は100円、銀は1000円、金は10000円だ。白金は100万円の価値があるが、そうそうお目にかかれるものじゃないから忘れた方がいい」
割とこの世界は物価が高いのね。
周りを見渡しても、お金のやり取りは銅や銀で取引しているし、おそらく金は貴族などの上流階級が取引で使えるお金なのだろう。
「金なら大量に作れるぞ。いつでも言ってくれ」
「ダメに決まってるだろ。楽して手に入れたお金はすぐ消えてくんだ。働いて稼いだお金にこそ、価値はあるんだ。簡単にそういうこと言ったらいけません」
「ごめんなさい、ママ」
「誰がママじゃ」
「ここが冒険者ギルドか……」
建物は着飾った豪華さは無く、どこにでもありそうな普通の建物だった。
入口の上には看板があり、冒険者ギルドと書かれている。
予めナヴィにはオッサンモードになってもらった。
ほら、冒険者ギルドのイメージって素行やガラの悪い人たちが多く居るイメージじゃん?(全部アニメやラノベの知識)
だから、舐められないようにオッサンモードになってもらったわけ。
ナヴィの通常モードって可愛い女の子だから、たかられたら厄介だし。
「ナヴィに触れる度胸のあるやつはおらんだろう。それとも高嶺の花モードで悩殺するか?」
「しなくていいから。なんだよ高嶺の花モードって」
「なんだ気になってるじゃないか。仕方ないな、ちょっと待っておれ」
「お、おい!! やらなくて──」
すると──目の前に現れたのは、白と水色のドレスに身にまとい、白い髪の毛に本物の猫耳をつけたナヴィが立っていた。
ごめん、悔しいけどめちゃくちゃ美人すぎる。
道行く男たちがナヴィを見て振り返ってるではないか。
「すげぇ美人……」
「こんな町にあんな綺麗な獣人居たっけ?」
「あの美しさ、エルフ族と引けを取らないぞ」
「お前声かけてこいよ」
「無理だよ、隣の男も相当イケメンだし」
どうやら、かなり周りの目を引いてしまっているみたいだ。
この状況で戻れとは言えないし、ナヴィもナヴィでしおらしく頬を赤らめながらモジモジしてるし。
お前、この状況楽しんでやがるな。
『道行く男たちがナヴィを見てるのよ? こんなの視○だわッ!!』
「変なこと考えるなぁぁぁぁあ!!」
いきなり大声を出す僕に、驚きのあまり周りの人たちは身を引いてしまう。
「どうしたのカケル? あなたらしくないわよ?」
「ごめん。ちょっと取り乱した」
「謝れてえらいえらい」
ちょっとぉぉぉぉ!?
いきなり頭撫で撫でとかしないでもらっていいですかぁぁぁぁあ!?!?
綺麗なお姉さん(ナヴィ)に撫でられる僕を見て、男たちは嫉妬の目線を送ってくる。
全部ナヴィが悪いよ……。
「あの野郎……綺麗なお姉さんに撫で撫でされてやがる」
「羨ましいったらありゃしねえぜ」
「俺も撫でられたい」
「あの男、いいケツしてんな。味見してえぜ」
最後!! おかしい奴居た!!
明らかに異物が混じってます!
僕の純潔は守ります! 帰ってください!
「ったく、こっちが恥ずかしくなってくるよ」
僕はそのままギルドに入って行こうとした。
ナヴィはまだふざけ足りないのか、僕の腕に自身の腕を絡ませて来た。
僕の腕に柔らかい感触がダイレクトに伝わる。
「な、ナヴィ……ちょっと離れて……」
「あれぇ〜? おっきしちゃった? 意外と男の子なんだね、カケルって」
ナヴィでこんなになっちゃうなんて、屈辱です……。
思い出せ……ナヴィオッサンモード。
あ、収まったわ。
このままでは精神衛生上良くないので、オッサンモードに戻ってもらった。
暫くは高嶺の花モードはやめておこう。
色んな意味で危ないし、何よりあのスケベ聖女とキャラが被る。
あっちは高嶺の花感はないけど。
「いいかカケル。プロテインの飲みすぎは返って身体に良くないからな」
こっちはプロテインの話しかしねえなッ!!
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