念には念を入れて
◇◆◇レオン君の家(洞窟)◇◆◇
メルゲン「レオンには地上は危険な気がする。もう少しパパとママと生活してくれないか♪? 」
ルチェル「あなた…。でも、レオンのこの瞳を見て。あなたと同じ強い瞳よ♡ 」
両親が慌ててレオン君を引き留めようとするのは。
レオン君が故郷を守る為に“旅立ち”を止めようとしてです。
故郷を守る為は知りません。
レオン君が教えていないから。
昨日、人族の軍の部隊を敗走させて。
軍の属してる国が大規模で報復に来る可能性があるから。
昨日、数か月と人族の兵隊と殺し合った。
そのどちらも苦戦することもなく勝利した。
故郷のみんなと協力すれば、大規模の報復も勝利で納める。
とか夢のようなことを考えたが。
一晩よく寝て、冷静に考えると。
勝利には代償が伴う。
新しい両親が死ぬかも、ラプーン君やジーラス君が死ぬかもしれない。
どっちも死なないかもしれないあやふやな未来より。
自分自身が悪目立ちをして、報復に来る軍隊を引っ搔き回した方が。
どっちも失うよりましじゃないか?
レオン君はその結論に至り。
朝早く、メルゲンさんが遠くに狩りに行く前に旅立ちの話しをしたと言う訳だ。
メルゲン「一人じゃ何かあった時如何する? 」
レオン「最善を尽くすよ」
ルチェル「食事は一人で獲れるの? 」
レオン「うん、ラプーン君・友達も一人で獲れるのは知ってるよ♪ 」
2人の不安を笑顔で説得もとい力説。
メルゲン「分かった。やるだけやって、無理だと思ったら戻ってこい」
ルチェル「ママ達はあなたの無事を祈ってるわよ」
レオン「父さん、母さん、ありがとう」
◇◆◇3人で決めた集合場所◇◆◇
ラプーン「どっか行くのかよ。俺も連れてけよ」
ジーラス「ラプーン君がいなくなったら、ディディさんがメルゲンさんと喧嘩になるよ…」
ラプーン「なんでだよ? 俺のトーちゃんは関係ないだろ」
「人の息子を誑かし、危険なとこに連れて行った!! 」とキレる巨体な鯨の魚人族の父親の姿を2人は容易に想像できた。
親の心子知らずとは、よく言ったものだ。
レオン君はジーラス君に視線で「何とか思い留まらせよう」と助け船を求める。
2人は懸命にラプーン君を持ち上げ。
レオン君はそんなすごいラプーン君の“舎弟”に相応しくなる為に。
修行の旅に出ると説得に、何とか成功した。
レオン「ありがとジーラス君」
ジーラス「どういたしまして」
ラプーン「そういうことなら仕方ねえな~♪ しっかり鍛えて来いよ♪ あと、土産は歯応えのあるのがいいな♪ 」
2人の友情が深まった空気に、ラプーン君がずかずか注文を伝える。
レオン「うん、できる限り要望に応えられるように努力するよ」
ラプーン「おう♪ 俺も更にでっかくなってやるぜ♪ 」
力瘤を見せて「負けないぜ♪ 」とライバルであり友達の絆を示す。
どんどん単細胞化が進んでいる…。
ジーラス君の苦労が増えるだろうな。
本人も同じことを思ったのか。
嫌な表情をするジーラス君。
◇◆◇海竜の祭壇◇◆◇
友達と旅立つ別れを済ませ。
シュンナが居る祭壇前に到着。
シュンナ「お、おはようございます」
昨日は危ないところだった。
人族の兵士に見られ、あわや殺されると思った。
さすがに2度は上手く撃退できるか不安だった。
が、レオン君は見事兵士を撃退。
王都跡地の東側に野営地を造っていたと聞かされ。
夜中に用足しのついでに調べて。
レオン君達・魚人族が嘘をついてないと知った。
今、シュンナの心は揺れている。
目の前で同僚を喰い殺されるのを見せられ。
料理を作れと命令されたかと思えば。
偶に優しくしたり。
利用価値が消えれば喰われる。
それともシュンナと名前を付けて、死ぬまでこき使う気か。
大人になったら性的な意味で食べる為に生かされてるのか。
色々な理由が浮かんでは、そうじゃないかもと消してを繰り返す。
レオン「僕と一緒に“此処”を離れない♪? 」
シュンナ「ピ、ピクニックですか? え? 私と2人……///」
顔が焼ける様に熱く、心臓の鼓動が早くなる。
シュンナ(やっぱり! 私は性的な意味で食べられちゃうの?! )
2人でと言う単語で。
今まで考え続けていた中の可能性の一つに過剰に反応。
レオン君が「大丈夫? 」とおでこで熱を測ろうと手を翳すのにも過剰に反応し、灯りに使っていた篝籠にぶつかってしまう。
グラッと篝火がシュンナの頭上に落ちる。
レオン「――あっぶな」
シュンナ「ごめんなさい」
大火傷する惨事になると篝火が落ちるより早くシュンナに近づき。
見事に抱え込む形で燃える薪を全て防いだ。
魚人族は火傷など直ぐに治癒する。
謝り続けるシュンナを落ち着かせ。
改めて2人で旅に何処か遠くに行くかを再確認。
もし、シュンナが行けないと言えば。
レオン君は無理強いせず。
一人で問題を解決する為に行動するだけ。
シュンナには自由を与え、何処へなりとも好きにする様に対処してお別れ。
シュンナ「・・・・」
そんなことを説明され。
再び自分の位置を改めさせられる。
料理人? 非常食? 囮? 愛玩奴隷?
レオン「僕は旅の準備を始めてるから。もしついてきたかったら声を掛けて♪ 」
シュンナ「あ……」
呼び止めても答えは決めてないと、呼び止めの声は途中で途切れる。
レオン君は魚人族の優れた聴覚でばっちり聞こえたが振り返らず、歩み求めずに鍾乳洞を進んでいく。
■海竜の神殿■
王都中の使えそうな物を一か所に入れた倉庫に使ってる部屋
を順番に回り、旅に必要な物を持ち出す。
残りはシュンナか友達が好きに使う。
レオン「ま、人の道具の説明はあんまりしてないからな…」
調理器具ばっか説明したけど。
2人とも興味無し。
文字も読めない。
きっと壊すか、放置のどちらかだなと苦笑しながら旅支度を進める。
兵士が野営に使っていた防水性のテントを風呂敷にして、どんどん必要な物を纏めて荷馬車に積み込む。
馬は居ないので、レオン君の人力馬車での逃避行だ。
シュンナ「い、一緒に行きます」
レオン「じゃ、荷台に乗って♪ 」
料理スキルがあるシュンナが来てくれて嬉しい。
「じゃ、行くよ♪ 」と東側の街道を進みだし。
シュンナはあれっと首を傾げる。
旅と聞いて、何処か遠くに行くと思っていたが。
自分が住んでた国を滅ぼした人族の国に向かっている。
何で??
ここで自分は奴隷として売られるのかとレオン君の背中を見る。
レオン君は前世の職場で女性職員達がはやりで聞いていた歌を、鼻歌で歌ってシュンナが退屈しないように気を使って軽い足取りで進む。
シュンナ(・・やっぱりあなた(魚人族)は分からない。私の敵? それとも友達? いったい私はあなたにとって、何? )
困惑する巫女と地上で新天地をとワクワクする魚人の旅(逃避行)が、今始まった。




