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ダンジョン編-28

     @


 接戦だった。

 武器を構えて侵入してきた傭兵団と、看守達から奪った武器で武装した囚人達は激しく戦った。

 武器同士がぶつかる激しい音と、苦痛の声と、鼓舞のための雄叫びが入り交じる。

 優勢なのは傭兵団である。

 傭兵団は組織としての戦闘の訓練を受け、各自が魔術スキルも持っている。実際あちこちで炎や雷撃が走り、あるいは囚人の足下が凍り付いて悲鳴を上げさせていた。

 だが、囚人達もまた強制労働ダンジョンで、ガーディアン相手に戦い慣れており、さらにこの外郭建造物が、万が一の囚人達の一斉蜂起に対応するために、意図的に狭く作られている部分が多くあり、そのため傭兵団側も同士討ちしかねない高威力の魔術は使うことができなかったため、結果として囚人たちはかなり善戦していた。

 だいたい三対三の戦いが続く。


「怪我した奴は後ろに下げろい!」


 ケイモの指示で、負傷した囚人は後ろに下げられ、代わりに「よっしゃ! やってやるぜ!」と気合いを入れながら元気な囚人が進み出てくる。 

 十二人目が出てきたところで、フィオレが不機嫌そうに言った。


「一瞬で終わると思っていたんだけど……」


 副団長であり、もともとフィオレの実家である貴族家の執事をしていたオナシスが、頭を下げた。


「申し訳ございません。囚人たちと言うことで技術は拙いようですが、理由は分かりませんが思った以上に高レベルのようです。倒れるような一撃が入っても、怪我ですむケースを何度も目撃しました」

「高レベル……ね。レベルなんてものはどうでもいいんだけど、無駄にしつこいのがやっかいね」

「私に出撃をお命じ下さい。私の能力ならば、レベルでの余剰分を越えてダメージを与えられると思われます」


 フィオレは瞬間考え、


「いいえ、私が行くわ。暴れにくいから部下達をいったん引かせて」

「お嬢様のご命令のままに」


 オナシスが優雅に指を鳴らすと、撤退の喇叭が鳴らされた。

 神々の黄昏団の撤退技術は極めて高度で、わずかな遅滞も隙も作らずに広間にまで後退した。

 そのあまりの素早さに囚人達は訳がわからず戸惑っているだけだった。

 神々の黄昏団が壁を作り、その間からフィオレが一人進み出た。

 フィオレはこれ見よがしに艶然と笑みを浮かべ、囚人達を見回すと、


「あなたたちにもリーダーはいるのかしら? 面倒だから一騎打ちで決着をつけましょう」



次回更新は26日(月)の予定です。

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