ダンジョン編-26
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「全員、魔術起動!」
強制労働ダンジョンの外郭建造物のすぐ外で、副団長のオナシスの号令のもと、五十人の精鋭がいっせいに魔術を発動した。
歴戦の傭兵団である。ばらつきは少なく、二十秒後に四十人の背後に契約精霊が現れ、それぞれの武器にそれぞれの精霊がもたらす特殊効果が付与される。
残り十人のうち、七人が独立型魔甲を召喚。
最後の三人は身体の一部が魔甲によって保護される、と言う、特殊魔甲召喚を行っている。
圧巻の光景だった。
全員が各国の最精鋭の騎士団に匹敵する高ランク保持者だ。そんな人間の一斉の魔術行使は大規模戦場以外では見る機会がない。
オナシスが振り向き、口ひげを優雅にひねり上げたあと、
「お嬢様、準備完了でございます」
「ご苦労様。それではさっそく行きましょうか。ノドン子爵家の皆様はこちらでお待ちください」
「あ、いや」
慌てて何か言おうとしたシトガルに向かってフィオレは笑みを浮かべたまま、
「巻き込まれて死ぬのはご自由ですが、あなたたちの身柄の保護は契約に入っておりませんよ?」
「……ここに残って朗報を待つとしよう」
「素晴らしい判断ですわ」
フィオレは儀礼的な笑みを向けたあと、建物から離れた森の入口の茂みの方をちらっと見て、それから先頭に立って強制労働ダンジョンの外郭施設に入っていった。
すみません……次回更新は本日中にもう一度行う予定です。




