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ダンジョン編-21


 武器を持った六人に兵士に囲まれたにも関わらず、男はまったく動揺を見せなかった。男の余裕がシトガルには不気味だった。

 部下の一人が、剣を向けながら、


「抵抗するな! 不必要な怪我をしても知らんぞ!!」

「さて、これから始まる一方的な暴力に、私であろうとあなたたちであろうと怪我をする余裕がありますかね……」


 男の言葉が終わらぬうちに部下の一人が男に斬りかかった。

 その瞬間、コマ落ちのように男の姿が消えた。

 そして破裂音が六回続く。

 一瞬だった。

 その一瞬で、六人の部下がまるで爆発に巻き込まれたように吹き飛んだ。数メートル飛んで地面に転がる。

 倒れた部下の着込んだ鎧の中央部分にそろって大きなへこみがあった。掌のあとがくっきり残っていた。

 武器も持たず、まさか掌だけで打撃を加えたのか、とシトガルは驚愕する。

 恐ろしいほどの強さである。

 およそ騎士とも異なる強さだ。剣と槍を中心に使う騎士とは戦い方もまるで異なる。

 シトガルはハッと気づいた。


「お……お前、まさか冒険者か……」


 男は笑みを浮かべる。


「よくおわかりで。それでは正解の景品代わりにあの世への旅路をプレゼントしましょう。少々むしゃくしゃしてますので手加減ができないことはご容赦ください」

 

 男が掌から抜き手へ掌の形を変える。

 シトガルは慌てて盾を構えた。

 凄まじい衝撃が手にした盾を貫いた。

 今回も一撃だった。

 一撃で男の素手の抜き手は金属の盾を貫いた。

 シトガルが盾を放り出さなければ、そのまま胸を貫かれていただろう。意識してやったわけではなく、助かったのは偶然だった。

 勢いで倒れ込んだシトガルを、手首から金属の盾を抜き取って捨てた男が見下ろす。

 男が笑みを浮かべた。むしろ優しげに聞こえる口調で、


「……余計なことをしなければ痛くないですよ?」

「うわああああああああああああああ」


 恐怖に駆られたシトガルが這いずりながら逃げだした。


次回更新は14日(水)の予定です。

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