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ダンジョン編-19

 うんざりしたケイモが一喝しようとしたところで、上に置いてきた囚人が飛び込んで来た。


「ようやっと敵が来たぜ!」


 凶悪な顔で振り返ったケイモは血が沸くのを覚えた。こういう分かりやすい方が自分は好きだ。


「何だと!? 看守どもか? 無駄なことを! 今度こそ逃がさねぇぞ!」

「いや、看守じゃねぇ。何やらすげぇ強そうな奴らだ! どう見てもどっかの騎士の奴らだ」

「む……」


 ケイモは顔をしかめた。

 騎士は戦闘特化の集団であり、訓練や強化を経て、高レベルの者もいる。魔獣を相手に実戦を積み、連携能力も高い。

 看守などとはものが違うのだ。田舎では誰も手が出せない乱暴者も、騎士の姿を見たら裸足で逃げ出すほど、戦闘力に差がある。

 騎士まで呼びやがったか……と難しい顔をしていたら、新入りのオーバンが、


「相手が騎士でもまず問題ないでしょう」

「ん? どういうことだ?」

「残念ながら鑑定はしてもらえませんでしたが、皆さんのレベルは相当高い。そこらの騎士では相手にならないと思いますよ」

「……なぜそれがわかる?」

「私のレベルは22です」


 驚いた。レベル22と言えば、それこそ騎士と同レベルだ。


「……えらい高いな」

「まぁ、色々ありまして。ですがそれだけのレベルの私がぱっと見ただの田舎のじじいに見えるヒネクさんにはまったく敵いません」

「口が悪いのはともかく、どういうこった?」

「おそらく皆さんはこのダンジョン内のガーディアンと戦い続けたことで、著しくレベルが上がっているのだと推測されます」

「なんだ……と!?」

「推測ですが30は越えているでしょう。下手をすると35まで行っている人もいるかも知れません。技術ランクは低いでしょうが、レベルがそこまであればそう簡単には負けません」


 説得力があった。


「そう……か。なるほどな」


 ケイモは看守達相手に無双していた自分の姿を思い出した。

 ヤジット様のおかげかと思っていたが、そういうことなのか。

 いつの間にかレベルがそんなことになっていたとは……正直、実感はない。

 だが、そういうことなら騎士とも対抗できるかも知れない。


「ま、大船に乗った気持ちでいいと思います」

「……わかった。わかったが、なんでお前はそんなにえらそうなんだ?」

「えらそうですか?」

「おう。むかつくぜ」


 オーバンは生まれて初めて文句を言われた、というようなキョトンとした顔をした。なんだこいつ。変な奴だな……そう思いながら、


「ま、いいや。オーバン、お前も来い。騎士どもに目に物見せてやろうぜ」

「え? 私の名前を覚えているんですか?」

「オーバンだろ?」

「それは……そうですが……むかつかれたり名前を覚えられたりしたのは初めてのことだったので……上司でさえ私の名前を覚えてないのに……」

「なんだそりゃ」


 まったく訳がわからん。

 勉強したらこういうのもわかるようになるのだろうか。

 でもわからなくても問題ない気もする。

 そんなことを考えながら、ケイモは歩き出した。

 オーバンも付いてきた。

 歩き出してすぐケイモは瞬間ダンジョンが震動したような感覚を覚えたが、気のせいだろうと思い立ち止まりもしなかった。

 ユーインは背後で酒樽を撫でていた。


次回更新は11日(日)の予定です。鼻水が止まりません……。何度も鼻をかむから鼻の下が痛い。

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