第7話 校長と瀬戸一
碧月が人狼を知っていたことは、校長の早川に大きな衝撃を与え、さらに過去の記憶を遡らせる出来事になった。
その日、学校が終わったあと、早川はあるところをへ向かった。もちろん、気になることがあったからだが...
ピンポーン。と、インターホンを鳴らすと、出てきたのは博美。
「はい、どちらs...は、早川先生!ご無沙汰してます!」と博美が言ったので、碧月は目を丸くした。
なんで知ってるの...
博美は、「碧月の学校の校長先生なんだから、知ってて当たり前よ」と言ったが、碧月にはすぐにほかの理由があるとわかった。
「噂には聞いていたが、瀬戸碧月くんは...」
「ええ。私と一の娘です。」
「やはりそうか...」早川は納得した後、書物部屋へ入る許可を求めた。
「ええ、いいですよ。...」
博美はそう言って書物部屋を開け、リビングに行った。
一方、納得していない碧月は、博美に詰め寄った。
「なんでホントの事教えてくれないの!?」
だからあなたの...という博美を前に、碧月は今にも怒りで爆発しそうである。
「そんなことわかってるわ!!もちろん、それが嘘ってことも。ホントのことを言いなさいよ!!」
おそらく碧月がこんなことを言ったのは初めてである。余計に博美は驚いた。
ここまで言われては、博美も黙っていることは出来なかった。というか、碧月がそれを許さなかった。「いや、実はね...」と切り出す。
実は早川は、前にこの村が人狼に襲われた時に、一と一緒に戦った中のひとりだった。その時早川は騎士で、占い師である一を何度となく人狼の襲撃から守り、勝利に貢献している。さらに、一が病気で倒れた時もずっと見舞いに来ており、博美とも面識があったのだ。
「...なるほどね。」碧月はそれだけ言ってリビングをあとにした。
そこにへ早川が書物部屋から帰ってきた。
しばし沈黙が続く...
「...やはり今年か。」
早川の一言で沈黙が破られた。
「ええ。どうしましょう...私はただの市民ですから...」
「碧月くんは占い師の血を引いていないのかね?」
「まだわかりません...旗神の泉に行ってみないと...」
旗神の泉とは、旗神島の山奥に位置する。そこで、一や早川は先祖から力を授かり、騎士や占い師としての力を手に入れたのである。ただし、誰もが力を手に入れられる訳では無い。力を持つものの直属の子孫あるいは認められたものだけである。
「...博美くんは行かれたのかね?」
「ええ。でも、予想通り何も起きなかったです...」
そうか...と、早川はため息をついた。
「それでは、そろそろおいとまします。もし時間があるようでしたら碧月くんも泉につれていってあげてください。」早川はそう言い残し、帰っていった。
他方ひとり部屋に帰った碧月。
「何がどうなってるの...わけがわからなくなってきた...」と、いろいろ考え込んでしまうのだが、やはりすぐにベッドに倒れ込んでしまうのであった。




