第3話 人狼ゲームと生徒会
時刻は5時半前。時間は十分ある。
「じゃあまず、人狼ゲームの簡単なルールを説明するね!」碧月が説明を始める。「まず、ある村があって、そこに人狼が住み着いてるっていう噂が流れるの。」
「ん、人狼って何者なんだ?」三織が口を挟む。
「だから、それを今から説明するんだよ!」と、碧月は半ばキレそうになりながら説明を続ける。「人狼は狼なんだけど、人間になり済まして毎晩人間を一人ずつ食べちゃうの。そして、人間と人狼の数が同じになったら、人狼は残りの人間を全員食べてその村を乗っ取ってしまう。
それでは人間は生き残れないから、人間は昼の時間に話し合いをして、日が暮れる位に人狼だと思う人を処刑することで対抗するの。」
「なるほど...じゃあ、人狼が全滅したら人間の勝ちか?」
「そうです匁沢さん。さすが理解が早いです。」
「でもさー、話し合いで人狼を見つけるっていっても、自分から人狼だって言う人まずいないから、かなり難しくない?」
「確かに...鳳月さんの言う通りだ。碧月、そこのところどうなんだ?」
「そう...だから、人間チームは特殊能力を持った人たちがいるの!」
「特殊能力?」一同は顔を見合わせ、ついで碧月の方を向いた。
「そう、例えば、占い師は毎晩怪しい人一人だけ正体を知ることができるの。まあ、正体を知るといっても、人狼かどうかだけなんだけど...
霊媒師は死んだ人が人狼かどうかが分かるわ。これで、残りの人狼の人数とかがわかるのよ。」
4人は石のように固まったまま、じっと碧月の話を聞いている。
「そして騎士は、選んだ人を人狼からの襲撃から守ることができるの!人狼の殺害先と騎士の護衛先が一緒だったら、その人は死なずに生き残ることができるの!」
「うーん、言われてもなかなか分からないな...」と匁沢がもらしたよこで、「百聞は一見にしかず。やってみましょうよ!」と、乗り気になった鳳月。
一方、高村は「ええと、占い師が、人狼かどうかを...で、騎士が、霊媒師を殺しで...えええ分かんない!どーしよ!」と、頭のなかがバンクしそうである。
「そうだね。詩織さんの言う通り、一度やってみましょうか!」
こうして、人狼ゲームは始まるのであった。
「うーんと、このアプリは夜から始まるらしいから、一夜目の殺人なしにしよっか!」突然碧月が言い出すものだから、周りは首をかしげるほかなかった。
「なるほどなぁ!」鳳月はすぐ納得。
「え、詩織どう言うことなの?」高村が尋ねる。
「だって、一夜目で殺された人はそこで死者扱いでゲームに参加できなくなるから、面白くないかなーと思って。」
「なるほど...そういうところもいじれるんだな。」理解したのは匁沢だけで、他の人は意図が全く分からなかったが、碧月の言うことならと、従うのであった。
「では、人狼ゲーム、スタートぉ!」
*スマホの画面に現れる文字は〔 〕で書いています。
〔...恐ろしい夜が明け、朝が来ました。
昨晩の犠牲者は......いませんでした。
今夜は強く疑われている人物はいませんでした。
それでは、話し合いを進めてください。〕
「ちなみに、今回の役職は、村人1人、占い師1人、霊媒師1人、騎士1人、人狼1人だよ!」碧月が仕切る。
「私占い師です。碧月を占ったのですが...」一番最初にカミングアウト(以下CO)したのは鳳月だった。
碧月は、「え、なんで私なんですか!?」と驚くが、「いえ、最初だから何も分からないので適当に...」と言われると納得した。
「んで、占い結果はどうだったんだ?」匁沢が訪ねる。
「人狼ではなかった...(以下○)です。」
「そりゃそうよ...私騎士だもん。」
「え、僕が本当の騎士だよ碧月!」と、早くも碧月、三織の2人が騎士CO。
「はあ?なに言ってんの水槻。私は○判定出してもらってるのよ!私が本物の騎士よ!」
「え、でも碧月と鳳月先輩が組んでるっていう可能性も...」
「今回人狼は1人だけだから、組む相手がいないだろ。」と、匁沢が説明すると、三織は「いや、でも...」といいながらうつむいてしまう。
「ところで人狼は誰なの?」碧月はみんなに問いかける。
匁沢は「それは、ほぼ三織で決まりだろ」と言ったのだが、碧月は浮かない顔である。
(瀬戸が本当の(以下真)騎士だったら、人狼はほぼ三織で決まりだろう。ただ、もし三織が真騎士だったら瀬戸は一体何なんだ?)
匁沢は考え込む。
(おそらくみんな初めてだから、鳳月さんの占い師も、水槻の騎士も確定...じゃあ、人狼はどっちなんだ?
もしかしたら水槻が人狼かもしれないけど、それにしては主張が強い...とにかく早姫ちゃんが喋ってくれないと...)
碧月も考え込んだ。
その思いが届いたのか、高村が、「あの、ちょっと聞きたいことがあるんだけど...」とおもむろに言い出した。
「早姫ちゃんなに?」
「あの...人狼って何をすればいいの?」
え...
みんなは唖然とした。
「さ、早姫ちゃん?人狼ゲームって人狼が全員死んじゃったら人間側が勝っちゃうんだよ?」
「え、ええ...ええええぇぇぇ!私死んじゃったら...人狼チーム...負けちゃうのぉぉぉ!!!」
あまりの天然ぶりにどっと笑いが起こる。
「じゃあ投票しましょうか。もちろん早姫ちゃんに。笑」
鳳月が笑いながら言った。
「え、私...?」
〔投票の結果、高村が処刑されました。人間チームの勝利です!〕
「もぉ早姫ちゃん!人狼が正体ばらしちゃったらそこで終わりじゃん!」
「あ、ご、ごめんなさい!初めてでいきなり人狼引いちゃったからもうパニックで...」と、焦る高村。
「で、誰がどの役職なの?」占い師の鳳月が尋ねる。
「俺は霊媒師だ。」匁沢がCO。
「僕は騎士だぞ!」と、今にも生徒会室を飛び出しそうな勢いで三織は言っている。それに対し、碧月は「私村人でしたー!」と自慢げに言う。
なぜ碧月が騎士になりすます(以下騙る)ことをしたのか。
「騎士って人狼が殺す(以下噛む)確率が高いから、真騎士が噛まれないようにと思って...」
「そういうことだったんだ...」納得した三織。
「なら僕は、役職を明かさずに黙っている(以下潜伏する)方がよかったのかも...」
「そうね。まあ、大体は分かったんじゃないかしら。」
碧月の言葉に、高村を除いた全員がうなずく。
「わ、わたし、何がなんだか...」と、困り果てた様子の高村を、「やっていったらなれるって!」と鳳月がなだめ、2回戦が始まるのだった。




