2.5.4
◇ ◇ ◇
日本本土 天宮家屋敷内
同じ頃、天宮家では、使用人達が華恋の行先を探るべく彼女の自室を調べていた。その作業中に、新入りの使用人と、その先輩が会話をしている。
「そういえば、さっき名張執事長の仰っていた事で少し気になった事があるんですけど」
「ん? 何?」
「何かの暴力沙汰に巻き込まれているかもしれないって話の時に、名張執事長が『それはあまり心配していない』って言ってたじゃないですか。あれってどういう……」
「あぁ……。そうか、まぁ新入りなら無理もないな。……と言っても、単純な話なんだけど。君は、お嬢様が護身術で空手を習われているのは知ってるよな?」
「えぇ、それはまぁ……。え、まさかそれだけですか?」
「それだけだ」
「いやいや、いくら護身術で空手をやってるからって、それだけで安全とは言えないんじゃ……」
「君はお嬢様の腕前がどれ程のものか見た事ないだろ」
「え」
「お嬢様は十歳の頃から空手をやっているんだが、ある時期まではそれ程のレベルではなかったんだ。護身用としてやってるだけの惰性の空手だった。それが……三年くらい前かな、何があったのか知らないが、お嬢様は急に熱心に打ち込むようになってな。そして、それだけじゃなかった。空手はただのきっかけに過ぎない。……要は、目覚めたんだ」
「め、目覚めた?」
「あぁ。お嬢様の稽古は名張執事長がつけているんだが……。曰く、十年に一人の天才らしい」




