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拾い、集め  作者: 日々桜香
第2章
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「一番最初に会いにいくなら……そうね、夢の、がいいわ」

「わかったよ。ありがとう姉さん」

「いいの、彼はもうすぐ……だから、悔いのないようにね」


 リュカは真剣な顔になる。彼女の言う「もうすぐ」とは距離のことではなかった。


「もうすぐって何がだ?」

「君は知らなくてもいいよ」


 竜守りが死ぬ時、それは己が命を手放してもいいと思った時だ。彼に何があったかはわからない。けれど、彼が「そう」だと言うことを女は知っていた。


 塔の上から、若い2人の背中を見送る。その背中が切なく感じて、彼女は何日、何年か振りに塔の外に出た。

 2人は談笑しながら、どんどん遠くなっていく。会話の内容が聞こえなくても、楽しそうなことくらいはわかる。


「ホゥ」どこかから、竜の鳴き声が聞こえる。きっと、愛の竜が鳴いているのだ。

 自分はそんなに心を乱していたか、と女は驚いた。彼らから何を感じ取り、何を懐かしんだのだろうか。女の両目からは涙が溢れる。


「……」

 一番口にしたい言葉は出てこない。今では、大切だったあの人も、あの人を表す言葉も、わからなくなってしまったのだ。


「……あい、して、いる」

「あい、してい、た」

 途切れ途切れに女は呟く。


 女は「愛」がわからなかった。愛の竜守りであるのに、なんと皮肉なことであろうか。だから彼女は何億冊もの本を読んだ。1人で過ごす数万年間、ずっとこうして過ごしてきた。


「ホゥ」と鳴く竜も、声も上げずに泣く彼女自身のことも、慰め方がわからなかった。

 ただ、彼女は天海を見つめる。


「彼らの旅に、幸多からんことを……」

 

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