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拾い、集め  作者: 日々桜香
第2章
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 色とりどりの、ステンドグラスから差し込む光。その光に照らされた彼女は誰よりも妖艶だった。しかし、また誰よりもつまらなそうでもあった。

 ペラリ、と本のページを捲る。捲ってからまた捲る。内容を知っているのか、ページを捲る手は休まることがない。


「愛の姉さん?」

 階の下から高い男の声が聞こえる。


「ここよ」

 本を床に置き女が声をかけると、男は螺旋階段を登り塔の上まで来た。

 二十代前半にしか見えない、若いその容姿。けれど実際に、彼はもう何千年もの時を生きている。その理由は、彼が時の竜守りだからである。

 今日は珍しく、連れと一緒らしい。連れは10代後半くらいで彼よりほんの少し小さい。明らかにこの場所に戸惑っており、ずっと周囲を見渡している。


「俺、アズって言います。今日はよろしくお願いします!」

 戸惑っていたのではない。彼は興味津々だったのだ。この場と、この美しい女に。

「最近、僕が拾った少年だ。今日は姉さんの知恵を借りたくてきた」

 時の竜守り――リュカは簡潔にそう説明する。


「いいわよ。なんでも言って」

「じゃあ……」

 言いにくそうに、リュカは頭を掻いた。


「じゃあ、空の色を知る方法を教えてくれないか?」

「……」

 女は押し黙る。知らないのではなく、リュカがこんな質問をすることが不思議だったからだ。


「そうね、まずは空を星で照らしてみることじゃない?」

 リュカとアズは目を大きく見開く。

「……星ってほんとにあるの?」

 リュカはあまり信じていない様子だ。アズは楽しそうにリュカの言葉に頷く。


「そうね……」

 女は目線を下に動かす。

「あったわよ。私はそれを知っている」

 女の声は力強かった。


「わかった」

 リュカはそれで納得したみたいだ。


「ちょっと待って、どうやって空に星を浮かべるんだ?」

 アズの疑問はもっともである。女でさえ、自分の言葉だけで彼らが納得するとは思っていなかった。


「星を空に浮かべるにはね――」

 女は自分の手を見つめ、ぎゅっと強く握った。

「竜守りが自分の竜を手懐ける必要があるの」


「お兄さん、早くあなたの竜と仲良くなろう!!」

 アズは嬉しそうにリュカの肩を掴む。しかし、この場で動いているのはアズだけで、リュカは白い顔をして固まっていた。

「お兄さん?どうしたの?」


 ――竜を手懐ける

 このことは、竜守りならいかに無理なことかわかるだろう。それはつまり……

「竜を手懐けるってことは、自分の欲望に打ち勝つってことよ」

 女は冷たい声でそう告げる。アズはあまりピンときていないみたいで首を傾げた。


「君にもあるだろう?『こうすればよかった』みたいなことが。それを全て無くすってことだよ」

「俺は記憶がないから、そんなものはない」

「じゃあ、今からいっぱい作っていこうな」

 アズは胸を張り、リュカは意地悪そうにそれをいじる。2人は良い仲かと思うほど、仲良さげだった。


「時の、私からの警告よ」

 リュカはサッとこちらに向き直した。女は遠くを見つめながら息を吐く。

「『時は運命を愛してはいけない。運命は時と一緒になれない』」

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