第8話:泥と朱(あか)に染まる太もも
冷たい雨が泥をかき混ぜる、荒れ果てた廃墟の戦闘地帯。
私が身にまとっているのは、どこからどう見ても戦場には不釣り合いな黒のミニスカートだ。伸縮性はあり、可動域が広いため足の動き自体は一切邪魔しない。けれど、膝上を大きく露出したそのデザインは、防護という観点においては致命的なまでに無防備だった。
「はぁ……っ、はぁ……っ!」
迫り来る敵の猛攻に対し、私は泥を跳ね上げながら低く滑り込む。
コンクリートの破片や、荒れた土壌に潜むガラス片が、無防備な太ももの肌を容赦なく擦り千切っていく。
泥水が弾け、華奢な太もも全体が茶色い泥と、自身の肌から滲み出る赤で、ぐちゃぐちゃに汚れていった。
ズサァッ!
低い姿勢からの鋭い一撃で敵の膝裏をナイフで切り裂き、そのまま体制を崩した敵を処理する。
だが、その代償として、私の腿には無数の浅い切り傷と、泥と擦り傷が混ざり合った痛々しい痕がびっしりと刻み込まれていた。
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「ふぅ……っ」
戦闘の合間、私は物陰に身を隠し、激しい息を整えるために壁に背を預けた。
雨水と泥、そして擦り傷に染み込む雑菌が、太もも全体に焼けるようなヒリヒリとした激痛をもたらす。血の止まりにくいO型の肉体ゆえに、細かな傷口の一つひとつから、じわじわと朱色の血が溢れ出て泥と混ざり合っていく。
「っく……痛い……」
前世のヘタレな自分が、一瞬脳内で縮み上がる。
けれど、ふと視線を落とし、泥だらけで傷だらけになった自分の太ももを目にした瞬間――私の中で、全く別のスイッチがカチリと入った。
お気に入りの地雷系ファッション。その中で最も可愛いパーツの一つである、サラサラとした肌の太もも。
それが今、戦場という過酷な環境のせいで、泥と傷で無残なまでに汚れ、踏みにじられている。
「あ……あはっ……」
激痛を上回る、強烈な快感が背筋を駆け抜けた。
(嘘……私、いま……自分のこの脚を見て……)
神様から貰った『酷使耐性』が痛みを悦楽に変えているだけではない。
「自分自身が、理想の最高に可愛い女の子であり、その身体がズタボロに酷使されている」というこの圧倒的な事実が、私自身の性癖をダイレクトに突き動かしていた。
自分の痛々しく汚れた太ももを、泥に濡れた指先でそっと撫で下ろす。
傷口に触れるたびに走る激しい痛みと刺激に、思わず身悶えし、熱い吐息が口元から漏れ出た。
「ダメね……こんな戦いの最中に、自分の身体に興奮しちゃうなんて……」
身震いするほどの背徳感と恍惚。
ミニスカという戦いに不向きな服を選んだのは、動きやすさのためだけじゃない。こうして自分の身体が傷つき、壊されていく様を、自らの目で見て楽しむためだったのだと、改めて自覚させられる。
「はぁ……はぁ……っ、もっと……もっと汚されて、傷つかなきゃ……」
頬を朱に染め、瞳に爛々とした怪しい光を宿しながら、私は泥だらけの太ももを震わせ、次の獲物が待つ雨の中へとゆっくり立ち上がった。




