情報提供⑤ 配送記録
こんばんは、無記名です。
今回掲載するのは、
配送業務に従事していた方からの情報提供です。
提供者は、
九州地方で長年、
宅配業務を行っていた男性です。
現在は退職されています。
内容については、
本人了承のもと、
一部編集しています。
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最初に連絡をいただいた際、
提供者は
こう書いていました。
「最初は山奥の普通の集落だと思っていました」
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以下、
提供内容を書き起こします。
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自分が担当していたのは、
山間部を回る配送ルートでした。
町から外れた地域が多く、
細い山道を走ることも珍しくありません。
だから、
多少変な場所でも、
当時は特に気にしていませんでした。
問題の場所に行き始めたのも、
そんな頃です。
配送先住所は、
毎回少し違いました。
ただ、
最終的に向かう場所は
ほとんど同じだったと思います。
山道をかなり進んだ先に、
古い橋がありました。
最初に行った時は、
正直、
「こんなところに人住んでるのか」
と思いました。
橋を渡った先に、
小さい集落がありました。
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覚えているのは、
静かだったことです。
山の中だから、
静かなのは当然なんですが、
妙に音が遠いんです。
車のエンジン音も、
自分の足音も、
少し遅れて聞こえる感じがしました。
あと、
洗濯物が多かった。
家の前、
軒先、
物干し台。
白いシャツとか、
タオルとか。
生活感は普通にあるんです。
でも、
人をほとんど見なかった。
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何回か通ううちに、
変なことに気付きました。
荷物は毎回、
ちゃんと受け取られてるんです。
配送記録にも残っています。
ただ、
誰に渡したのか思い出せない。
玄関先で受け渡しした記憶はある。
「ありがとうございます」
みたいなことも言われてる。
でも、
顔が浮かばない。
男だったか、
女だったかも曖昧なんです。
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ある日、
会社で配送記録を確認していた時、
上司に言われました。
「この地域、
まだ配達あったんだな」
自分は意味が分からなくて、
普通に
「ありますよ」
と答えました。
すると上司が、
少し変な顔をしました。
「いや、
あそこ、
だいぶ前に人いなくなっただろ」
冗談だと思いました。
でも、
地図を見ながら説明しようとした時、
配送先が見つからなかった。
住所検索しても出ないんです。
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ただ、
配送伝票は存在していました。
会社にも記録が残っていました。
配達完了。
受領確認済。
日付も、
担当者印もある。
でも、
届け先住所だけが、
微妙に読めなかった。
インクが滲んでるというか、
潰れてるというか。
何回見ても、
頭に入ってこない感じでした。
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それから、
橋を渡る時だけ、
ドラレコ映像が飛ぶことに気付きました。
毎回ではありません。
ただ、
確認すると、
橋の途中から映像が乱れて、
気付くと
集落側へ着いている。
帰りも同じでした。
橋を渡った記録だけが、
曖昧なんです。
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一番変だったのは、
最後の配送の日です。
その日、
荷物は一つだけでした。
小さい段ボールで、
送り主欄には
個人名が書かれていました。
ただ、
受取人欄が空白だった。
会社のミスだと思いました。
でも、
自分は普通に
その集落へ向かっていました。
橋を渡って、
集落に入って、
いつもの場所に停めた。
その時、
初めて、
人を見ました。
家の前に、
何人か立っていた。
年齢も性別も、
よく分からない。
ただ、
みんな、
こっちを見ていました。
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怖かったわけじゃないんです。
むしろ、
妙に安心したのを覚えています。
「ああ、
ちゃんと人いたんだ」
って。
それで、
荷物を持って近付いた時、
その中の一人に言われました。
「帰ってきたんですね」
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そのあとが、
思い出せません。
気付いたら、
営業所へ戻っていました。
荷物は無くなっていて、
配送完了処理だけが残っていました。
ただ、
その日の帰宅後、
自分の作業着から、
濡れた土みたいな匂いが
ずっとしていました。
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提供内容は以上です。
なお、
提供者によると、
現在でも、
その集落へ行く夢を見ることがあるそうです。
夢の中では、
毎回、
橋の向こう側から
誰かが手を振っているとのことでした。
ただ、
顔は見えないそうです。
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提供された配送記録についても、
確認を行いました。
一部の伝票には、
判読困難な住所が記載されています。
また、
複数の記録で、
橋付近と思われる時間帯のみ、
GPS履歴が欠落していました。
偶然かもしれません。
ただ、
これまでの情報と、
一致する点は多いように思えます。
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個人的に気になっているのは、
この集落に関する記録には、
“受け取る側”の情報が
ほとんど残っていないことです。
映像、
卒業アルバム、
新聞記事、
配送記録。
いずれにも、
生活の痕跡はある。
しかし、
肝心の“誰がそこにいるのか”だけが、
曖昧です。
引き続き、
似た地域への配送記録、
地図、
古い資料などをお持ちの方は、
情報提供をお願いいたします。




