表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/20

資料調査④ 録音媒体



こんばんは、無記名です。


今回は、

中古機器販売店の関係者から提供された

録音テープについて記録します。


提供されたのは、

小型カセットテープ一本です。


ラベル無し。


録音日時不明。


録音者も分かっていません。


テープは、

古い携帯型レコーダーの中に入った状態で

発見されたそうです。


──────────────────


最初に再生した際、

内容はほとんど環境音でした。


川の音。


風。


草を踏む音。


時折、

衣擦れのようなノイズ。


録音者の声は、

ほとんど入っていません。


──────────────────


ただ、

聞き続けるうちに、

奇妙な点に気付きました。


録音者が、

何かを探して歩いている。


それだけは分かる。


──────────────────


テープ冒頭。


しばらく、

一定間隔の足音が続きます。


砂利道のような音。


途中、

一度立ち止まる。


少し遅れて、

遠くで水音。


そして、

再び歩き始める。


──────────────────


ここまでは、

特に異常ありません。


問題は、

録音開始から十二分付近です。


──────────────────


足音が止まる。


その数秒後。


遠くで、


『カン』


という音が入る。


──────────────────


金属音のようにも聞こえます。


橋の欄干を叩いた音に近い。


ただ、

断定はできません。


──────────────────


数秒後、

録音者が再び歩き始める。


すると。


『カン』


『カン』


再び音が鳴る。


──────────────────


一定間隔です。


録音者が止まると、

音も止まる。


歩くと、

また鳴る。


──────────────────


テープ内では、

これが数回繰り返されます。


録音者は、

途中から歩く速度を変えています。


早歩き。


立ち止まる。


戻るような足音。


ただ、

それでも音は続く。


──────────────────


二十分付近。


ここで、

初めて録音者の声が入ります。


非常に小さい。


ノイズも強く、

聞き取りづらい。


ただ、

何かを呟いている。


──────────────────


音量を上げて確認したところ、


『……違う』


とも、


『……まだ』


とも聞こえました。


判別は困難です。


──────────────────


さらに、

その直後。


別の音が入っています。


風音とは違う。


布が擦れるような音。


──────────────────


一定方向から続いている。


その後、

録音者の呼吸が浅くなります。


歩幅も乱れる。


──────────────────


ここから先は、

かなり長い無音に近い状態が続きます。


ただ、

完全な無音ではありません。


川の音。


風。


そして、

時折、

小さく鳴る


『カン』


という音。


──────────────────


個人的に気になったのは、

録音後半です。


録音者が、

一度だけ立ち止まり、

長時間動かなくなる部分があります。


その際、

風音の中に、

別の音声が混ざっています。


非常に小さい。


ただ、

人の声のようにも聞こえます。


──────────────────


解析時、

何度か聞き直しました。


その結果、


『……帰る?』


と聞こえました。


気のせいかもしれません。


──────────────────


また、

別件として、

このテープには

もう一つ奇妙な点があります。


録音時間です。


使用されていたテープは、

三十分用の一般的なものです。


ただ、

実際の録音データは、

二時間近く存在していました。


途中で重ね録りされた可能性もあります。


ただ、

音質変化が極端に少ない。


同一環境で、

連続録音されているようにも聞こえます。


──────────────────


さらに、

録音終盤。


最後の数分だけ、

足音が完全に消えます。


代わりに、

水音だけが近くなる。


川幅の広い場所にいるような反響。


そして、

最後に一度だけ、


『カン』


という音。


──────────────────


そこで録音は終わっています。


──────────────────


個人的な話になりますが、

このテープを聞き返して以降、

橋を渡る夢を見ることがあります。


ただ、

夢の中では、

橋そのものが見えません。


音だけがする。


水の音。


布の擦れる音。


遠くで鳴る金属音。


そして、

何かがこちらの歩幅に合わせているような感覚だけが残る。


気のせいかもしれません。


次回、

これまで確認された資料内の地図情報について、

整理を行う予定です。


引き続き、

録音媒体、

古いカセットテープ、

地域音声資料などをお持ちの方は、

情報提供をお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ