資料調査④ 録音媒体
こんばんは、無記名です。
今回は、
中古機器販売店の関係者から提供された
録音テープについて記録します。
提供されたのは、
小型カセットテープ一本です。
ラベル無し。
録音日時不明。
録音者も分かっていません。
テープは、
古い携帯型レコーダーの中に入った状態で
発見されたそうです。
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最初に再生した際、
内容はほとんど環境音でした。
川の音。
風。
草を踏む音。
時折、
衣擦れのようなノイズ。
録音者の声は、
ほとんど入っていません。
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ただ、
聞き続けるうちに、
奇妙な点に気付きました。
録音者が、
何かを探して歩いている。
それだけは分かる。
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テープ冒頭。
しばらく、
一定間隔の足音が続きます。
砂利道のような音。
途中、
一度立ち止まる。
少し遅れて、
遠くで水音。
そして、
再び歩き始める。
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ここまでは、
特に異常ありません。
問題は、
録音開始から十二分付近です。
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足音が止まる。
その数秒後。
遠くで、
『カン』
という音が入る。
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金属音のようにも聞こえます。
橋の欄干を叩いた音に近い。
ただ、
断定はできません。
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数秒後、
録音者が再び歩き始める。
すると。
『カン』
『カン』
再び音が鳴る。
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一定間隔です。
録音者が止まると、
音も止まる。
歩くと、
また鳴る。
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テープ内では、
これが数回繰り返されます。
録音者は、
途中から歩く速度を変えています。
早歩き。
立ち止まる。
戻るような足音。
ただ、
それでも音は続く。
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二十分付近。
ここで、
初めて録音者の声が入ります。
非常に小さい。
ノイズも強く、
聞き取りづらい。
ただ、
何かを呟いている。
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音量を上げて確認したところ、
『……違う』
とも、
『……まだ』
とも聞こえました。
判別は困難です。
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さらに、
その直後。
別の音が入っています。
風音とは違う。
布が擦れるような音。
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一定方向から続いている。
その後、
録音者の呼吸が浅くなります。
歩幅も乱れる。
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ここから先は、
かなり長い無音に近い状態が続きます。
ただ、
完全な無音ではありません。
川の音。
風。
そして、
時折、
小さく鳴る
『カン』
という音。
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個人的に気になったのは、
録音後半です。
録音者が、
一度だけ立ち止まり、
長時間動かなくなる部分があります。
その際、
風音の中に、
別の音声が混ざっています。
非常に小さい。
ただ、
人の声のようにも聞こえます。
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解析時、
何度か聞き直しました。
その結果、
『……帰る?』
と聞こえました。
気のせいかもしれません。
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また、
別件として、
このテープには
もう一つ奇妙な点があります。
録音時間です。
使用されていたテープは、
三十分用の一般的なものです。
ただ、
実際の録音データは、
二時間近く存在していました。
途中で重ね録りされた可能性もあります。
ただ、
音質変化が極端に少ない。
同一環境で、
連続録音されているようにも聞こえます。
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さらに、
録音終盤。
最後の数分だけ、
足音が完全に消えます。
代わりに、
水音だけが近くなる。
川幅の広い場所にいるような反響。
そして、
最後に一度だけ、
『カン』
という音。
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そこで録音は終わっています。
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個人的な話になりますが、
このテープを聞き返して以降、
橋を渡る夢を見ることがあります。
ただ、
夢の中では、
橋そのものが見えません。
音だけがする。
水の音。
布の擦れる音。
遠くで鳴る金属音。
そして、
何かがこちらの歩幅に合わせているような感覚だけが残る。
気のせいかもしれません。
次回、
これまで確認された資料内の地図情報について、
整理を行う予定です。
引き続き、
録音媒体、
古いカセットテープ、
地域音声資料などをお持ちの方は、
情報提供をお願いいたします。




