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資料調査③ 地域文集



こんばんは、無記名です。


今回は、

古書店関係者の方から提供された

地域文集について記録します。


提供されたのは、

平成初期頃に発行されたと思われる、

小規模な地域文集です。


冊子タイトルは

『ふるさとのことば』。


発行元の記載はありますが、

肝心の地区名部分だけ、

印刷が潰れています。


──────────────────


内容自体は、

一般的な郷土文集でした。


子供の作文。


昔話。


地域行事。


川遊びの記録。


山菜採り。


どこにでもあるような、

小さな集落の日常が綴られています。


ただ、

読み進めるうちに、

妙な点が増えていきました。


──────────────────


まず、

掲載されている作文の多くに、

共通して“橋”が登場します。


ただ、

観光地や名所としてではありません。


生活の一部として、

自然に書かれている。


──────────────────


『ぼくは橋の音が好きです。


 夜になると、

 水の音が大きく聞こえます。


 橋を渡ると、

 帰ってきた感じがします』


(掲載作文より)


──────────────────


別の作文。


──────────────────


『夏になると、

 みんなで橋の近くへ行きます。


 暗くなる前には帰ります。


 お母さんが、

 遅くなると帰れなくなるからと言います』


──────────────────


この“帰れなくなる”という表現が、

少し気になりました。


もちろん、

単純に山道が危険という意味かもしれません。


ただ、

同じような表現が、

複数の作文で繰り返されています。


──────────────────


『橋の向こうは静かです。


 でも、

 静かな方が好きです』


──────────────────


『帰る橋を渡ると、

 音が遠くなります』


──────────────────


また、

文集後半には、

地域の思い出を語るページもありました。


その中で、

一つだけ、

妙に短い文章があります。


──────────────────


『洗濯物を見れば、

 みんないると分かる』


──────────────────


これだけです。


前後の文脈もありません。


署名も無し。


編集ミスかもしれません。


──────────────────


さらに気になったのは、

掲載写真です。


遠足。


清掃活動。


運動会。


複数の写真があります。


ただ、

人物の写り方に違和感があります。


画面端に寄っている。


あるいは、

妙に遠い。


そして、

背景には頻繁に、

白い洗濯物が映っています。


──────────────────


提供者によると、

最初は特に気にしていなかったそうです。


ただ、

読み返しているうちに、

「人の記憶だけが薄い」

ことに気付いたと話しています。


誰がいたか思い出せない。


でも、

橋や洗濯物だけは記憶に残る。


そんな感覚だったそうです。


──────────────────


また、

冊子最終ページには、

寄稿者一覧が掲載されていました。


ただ、

数名分だけ、

名前欄が空白になっています。


印刷ミスのようにも見えます。


しかし、

空白部分には、

後から消したような跡が残っていました。


──────────────────


文集の裏表紙には、

地域紹介文も掲載されています。


──────────────────


『静かな山あいの集落です。


 帰ってくる人を、

 いつでも待っています』


──────────────────


この“帰ってくる人”という表現も、

少し引っかかりました。


これまでの資料でも、


・帰る


・帰ってきた感じ


・帰れなくなる


・帰る橋


といった言葉が

繰り返し確認されています。


偶然かもしれません。


ただ、

資料を読むほど、

この集落では

“行く”

ではなく、


“帰る”


という感覚が強く残っているように思えます。


──────────────────


個人的な話になりますが、

最近、

橋の夢を見ることがあります。


ただ、

肝心の橋そのものは思い出せません。


水の音と、

揺れている白い布だけが残る。


気のせいかもしれません。


引き続き、

地域文集、

卒業文集、

自治体冊子などをお持ちの方は、

情報提供をお願いいたします。

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