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消せない  作者: ココ
13/15

悪女は寝不足



「う・・・うう。」


「・・・?」

夜中に聞こえる声に楓は目を覚ました。


「・・・や。嫌・・・。」

聞こえた声は結衣子のものだった。うなされているらしい。


「結衣子ちゃん?」

楓は自分のベットから降りて結衣子の近くに言った。


「・・・たすけ・・・て」

勉強をしている途中寝落ちしたらしい。教科書やノートを広げた上で自分の腕を枕にして結衣子は寝ていた。しかし、その表情はゆがんでいてつらそうにうなされていた。


「結衣子ちゃん。結衣子ちゃん、大丈夫?」

楓は結衣子の肩を揺らし結衣子を起こした。


「・・・ん。」


「また悪い夢みたの?」


「・・・楓。」

目を覚ました結衣子はぼうっと楓を見た。


「大丈夫?」

結衣子の顔をのぞきこむようにして楓は心配そうに聞いた。


「大丈夫よ。起こしちゃったわね。ごめんなさい。」

顔を振って結衣子は眠気をとばし楓に謝った。


「それはいいんだけど・・・、ねえ。毎日うなされてるよ結衣子ちゃん。」


「・・・いつものことよ。気にしないで。」


「気にしないで・・・って。え、結衣子ちゃん起きるの?」

机から立ち上がった結衣子はベットに行かず、洗面所へと向かったため楓は慌てて結衣子に声を掛けた。


「ええ。顔を洗ってくるわ。」


「でもまだ三時だよ。結衣子ちゃん最近まともに寝てないし、睡眠不足だよ。」


「大丈夫よ。楓は寝てて。」


「・・・結衣子ちゃん。」

ばたん、と結衣子は洗面所に入りドアを閉めてしまった。もう今日はこのままおきているつもりなのだろう。楓はそれを察し、ため息をつきつつ自分のベットに戻った。








「で?結衣子がどうしたって?」

橘は楓に聞き返した。


「だから、全然寝てないんです。夜も遅くまで勉強してるし、そのまま机で寝落ちして夢でうなされて起きてまた勉強して・・・って感じで。ここ最近ずっとそうなんです。私が言っても大丈夫、としか言わなくて・・・。」

寝不足な結衣子の体調が心配なものの自分が言っても聞かないため、楓は橘たちに声を掛けた。楓の話が結衣子関係だと知った橘たちは休憩室へと楓を連れてきた。


「結衣子ちゃんってそんな必死で勉強しなきゃいけないわけ?」

楓の話を聞き、小野寺は不思議そうな顔をした。


「ううん。結衣子はすごく頭良いし、留学に行ってはいたけどたぶん余裕だと思う。寝る間も惜しんで勉強なんかする必要ないはずだけど・・・。」

結城も首をかしげそう言った。


「だな。いったいなんで・・・。」

橘も訝しげだ。


「・・・どちらかというと勉強したいっていうよりは、寝たくないって感じだと思います。」

言いにくそうに楓は言った。


「寝たくない?」

三人は声を合わせて聞いた。


「ベットに寝転がりさえしないんです。コーヒーばかり飲んで・・・。眠そうなのに、勉強することで眠気をまぎらわそうとしてるみたいで。」


「うわ。勉強で眠気をまぎらわすって・・・。俺なら逆に眠くなるんだけど。」

小野寺は顔を顰めた。


「お前と結衣子は違うんだよ。」


「しっつれいだなー。和泉ー。」


「それで?結衣子は今どうしてるの?」

軽口をたたく二人をほおって結城は楓に話の続きをうながした。


「今は、なんか先生に呼ばれて・・・。」


「先生?」


「あ、神崎先生です。」


「え?呼び出しって結衣子ちゃんなんかしたわけ?」


「うーん。わかりません。」

楓は首をふった。


「だが、今日結衣子を見かけたがそんなに顔色悪くなかったぞ。」

橘は思い出すように言った。


「お化粧で隠してるんです。隈も消してて。本当は顔色も悪いんです。」


「・・・確かに心配だな。」


「私と同じ部屋になってからずっとそんな感じだから、もしかしたらもっと前からそうだったのかもしれないと思って・・・。」

そう、楓は結衣子の様子を見てもしかしたら眠れなくなったのは最近のことではないかもしれないと思ったのだ。


「もっと前って・・・、そんな生活送ってたんじゃ倒れてもおかしくないよ。」

結城は心配そうに言った。


「でも私じゃ聞いてもらえないんです。皆さんから言われたら聞いてくれるんじゃないかと思って。」


「うーん。聞いてくれるかはわからないけど一応言ってみるよ。」

結城は頷いた。


「無理にでも、言うことをきかせるしかないだろ。倒れてからじゃ遅い。」


「あれ?っていうかさ、洸は?遅くない?いつもならもう来てるのに。」

小野寺は休憩室を見まわしそう言いた。


「あー、確か洸は先生に用があるって言ってたな。」

その疑問に橘が答えた。


「へー。もしかして、神崎先生だったりしてー。」

小野寺は笑いながらそう言った。


「・・・そうだったような気がする。」

結城は思い出したようにそう言った。


「まあ、大丈夫だろ。先生もいるし。」


「で、ですよね。いくら仲が悪くても先生の前で喧嘩なんか・・・。」


「・・・普通にしそうだな。」

全員呆れたようにため息をついたのであった。

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