鉄道模型を広げよう! 上
鉄道模型。それは趣味の王様。そんな趣味の王様専用の部屋が、俺の屋敷にはある。
職人たちに作らせた、鉄道模型のレイアウトだ。車両もレールも全て手作り。動力は電気だが、それだってようやく育ちつつある、電気関係の職人たちに作らせたものだ。
つまり、この鉄道模型はこの世界においては、俺のような超金持ちだけが持てる一点もの!!
なので、屋敷に来客があると、自慢したくてついつい見せてしまうのだ。
ハハハ!どうだ!この優越感!!!
しかし、そうやって人に見せつけられると、必然的に「私も持ちたい」となるのが、人間社会の性だ。そして、俺としては同じ鉄道趣味人が増えるのは、嬉しい限りのことだ。
実際、鉄道を趣味として確立するために、着々と計画を進めている。王道の写真撮影に、切符を含むグッズの収集、乗車を楽しむ等々。
日本みたいに庶民が趣味を楽しむというレベルには達していないものの、魔王国との戦争から月日も経ち、鉄道をはじめとする社会インフラの整備は、着実に人々の生活と懐を豊かにしている。
と言うわけで、より広く鉄道趣味を広げるために、鉄道模型の量産化を思いついた。とは言え、この世界ではまだプラスチックは開発されていないし、それどころか家庭への電気さえ普及していない。
そのため、鉄道模型のターゲットは主として貴族や高級商人と言った金持ち連中となる。
ちなみに、最初に作った鉄道模型の車両の素材は、基本的に木と金属製で、ストラクチャーの類いもほぼ同じだ。あとは、一部にボール紙が使われているくらいか。
プラスチックが登場するまでは、他に選択肢はほぼない。
なので商品化するにしても、そうした素材で車両やレール、ストラクチャーを作るしか無い。こうなると、大量生産は絶望的だ。幾ら加工に機械を投入しても、プラスチックのような射出成形とは、生産性が雲泥の差になるからだ。
と言うわけで、大量生産は諦めて、前回うちのジオラマを製作してくれた職人たちを集めて、鉄道模型製造会社を作ることに・・・とは、単純にはいかなかった。
だって、作ってくれたのは皆腕のいいベテラン職人たちだもん。つまり、皆自分たちの工房を持っていて、一回一回注文を受けての製作、つまりはオーダーメイド。
受注案件を終えたら、すぐに別の案件に取りかかって、その案件は修理する以外は基本終わり。
徒弟として工房に入り、自らの腕を磨き続けて数十年の人たち・・・そんな人たちが、いきなり「鉄道模型作るので雇います」と公爵の肩書きや金を積むだけでは靡かない。加えて、他の案件を注文している貴族や高級商人も敵に回す。
なので、腕のいい職人さんを引き抜くのはほぼ不可能。
そこで、作戦を変更して若手に照準を絞ることにした。
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