9-1
私は勘に頼って右へと曲がる。
すると。
「こっちだ」
「シリウス!」
私の手を掴んで走ってくれるシリウスの姿があった。
「ジェイルは!?」
「追っ手を撒くために反対側に曲がった。おそらく半分はあっちに向かった筈だ」
「だ、大丈夫なの?」
「あいつの腕なら問題ない」
それだけ言ってシリウスは私の手を掴んだまま走り続ける。
数人の追手が追いかけてくる足音が聞こえてくる。
次の曲がり角を曲がった時。
「あっ!?」
「…行き止まりか」
突き当りに当たってしまい、私達は立ち止まる。
それと同時に三人の黒ローブの男達が私達の前に立ちふさがってきた。
「追い詰めたぞ。光の巫女は抹殺する」
「っ!?」
(やっぱり私が目的だったんだ…!)
そう思って体を反応させる私の前に剣を構えたシリウスが、私を庇うように立つ。
「シリウス…!」
「お前達が何者かは知らないが、彼女を無事王都まで連れて行くのが俺の役目だ」
「ほう、我々とやるというのか」
男達はそう言ってそれぞれ武器を構える。
3対1じゃ、圧倒的に振りだと私もモーニングスターを握りしめるけれど、シリウスは私を振り返っていった。
「大丈夫だから。下がっていてくれ」
「でも…わかったわ。気を付けてね」
「ああ」
何か言おうとしたけれど、シリウスの目は真剣だったから私は信じる事にして後ろに下がり状況を見守ることにした。
「一人で我々とやる気か」
「御託はいい。来い」
「…っ、いきがりおって、死ね!」
言葉と同時に男達二人がシリウスに向かって飛び掛かっていく。
あぶないっと私が声を上げようとした瞬間、シリウスは少し体を動かすと剣を舞うように振るって男二人を切り倒していた。
その時間は数十秒もかからなかっただろう。
(え…?す、すごい…!)
黒ローブの男達の体はどさりと地面に倒れ、残されたのはたった一人。
「ぐっ…!これほどまでとは…!」
「王国騎士の力、舐めてもらっては困る。誰に命じられたのか話すならば命までは取らないが?」
「っ、ふざけるな!誰が話すか!」
残りの一人はそう言ってシニターのような剣を手にシリウスに襲い掛かってきた。
けれど、シリウスは冷静に男の動きを見切って避け、一振り剣を振るっただけだった。
それで勝敗は決まった。
男は呻き声をあげてその場に倒れ、動かなくなってしまっていた。
それを冷静に見届けて、シリウスは剣をしまうと私の方へと振り返る。
「大丈夫か?」
「え、ええ。おかげさまで…」
「そうか」
「シリウスって凄く強かったのね…」
「…そうでもない」
「え?」
「騎士団長や副団長に比べたら俺などまだまだだ」
シリウスの言葉に、騎士団長や副団長クラスになるとどれほどの実力の持ち主なのかと苦笑してしまう。
それと同時になんだか悔しい気持ちにもなっていた。
(私だって訓練して来たんだけれどな)
幼い頃から村で一番の剣士に武術を習ってきた。
魔物退治だって一人でこなせるし、村では一番の実力の持ち主だったと思ってもいる。
けれど、今見たシリウスの剣技には到底届かないということはみただけで思い知らされた。
やはり、田舎で一番になっても都会では敵わないのかと思うと少し悔しい。
「どうした?」
「え?あ、御免なさい。なんでもないの」
「………」
「って、そう言えば、ちゃんと言ってなかったね」
「ん?」
「助けてくれて有り難う。シリウスのおかげで助かったわ」
お礼を伝える時は相手の目を見てしっかりと、というお父さんの言葉通りシリウスの目を見て告げると、すぐに逸らされてしまう。
「……いや」
(本当に、女性が苦手なのね。嫌われているわけではないから良いけれど)
「あ、そう言えば、ジェイルの方は大丈夫かしら?」
「…ああ、大丈夫だ。ほら」
シリウスが視線で指した先にはジェイルが笑顔で手を振っている姿があった。
「ジェイル。無事だったのね」
「ああ。なんとかね。そっちも問題なかったみたいだな」
「ああ」
「ならとりあえず、荷物をもってリオン達と合流するか。話さなきゃならない事も出来たしな」
「そうだな」
「ええ、分かったわ」
ジェイルの言葉に頷いて、私達は合流場所へと向かったのだった。
10へ
シリウスルートUP。
ジェイルルートと若干似たところはあると思いますが暖かい目で見ていただければと。金太郎飴にならないの難しい。




