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第6話・激突

間が空いてしまい申し訳ありません。

 リュートは先ほどの一撃で、ティグリオの実力を察し、身構える。


「へへ……オラァ!!」


 ティグリオはリュートとの距離を一瞬で詰めると、リュートの顔面に右ストレートを繰り出す。リュートはそれを頭を動かして回避、右のアッパーでティグリオの顎を狙う、するとティグリオは上空に跳んでそれを回避した。


「なっ!」


 リュートが驚いていると、ティグリオの周囲に砂が集まり、複数の球体を作る、先程アリカをダウンさせた魔法だ


「くらいやがれ、コメット・サンドォ!!」


 砂の球体はティグリオの言葉と共に一斉にリュートへ向かう。凄まじい音を立てながら次々と命中する砂の球体、やがて全ての球体が命中し、凄まじい砂埃が上がる。


「へへへ…ざまーみやがれ」


「てめーがな」


 ティグリオが勝ち誇っていたその時だった、いつの間にかリュートがティグリオの真上に移動していたのだ。そしてリュートは驚愕の表情を浮かべるティグリオの顔面に蹴りを叩き込む。さらにリュートはティグリオの頭部を掴み、上空から地面に叩きつけようとする。


「くっ……」


 ティグリオは抵抗するが、そのまま大きな音と共に地面に叩きつけられる。大量の土埃で二人の姿が見えなくなった。大衆が固唾を飲んで見守っていると、二人が飛び出してくる。


「オオオオオオオオオオオ!!!!」


「ラアアアアアアアアアア!!!!」


 二人は空中を飛びながら互いに蹴りあい、殴り合い、凄まじい攻防を繰り広げる。しかし、技術の差によりリュートがやや押している様子だった。


「あ…あれ…俺の目がおかしくなったのか…何か空飛んでるように見えるんだけど…」


 闘いを見ていた一人の男性が目をこすりながら言った。空を飛ぶのは箒や絨毯等の専用の魔具が無ければならない、普通の魔具で空を飛ぶなどまず不可能の筈なので、目を疑うのは当然のことだった。


「……」


 そしてアリカとキャロルは開いた口が塞がらない様子で二人の闘いを見つめていた。


「すげえ……兄ちゃんと互角にやりあうなんて……」


 カイトもティグリオの実力に驚いていた。そしてキャスリーは二人の闘いを見つめて、ある事に気付いていた。


(間違いないわ……あいつ……)


「オラ!!」


「ガッ!!」


 そして、リュートの渾身の右ストレートがティグリオの顔面を捉える。ティグリオは吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。


「ハア…ハア…」


 リュートは着地すると片腕を抑える、先ほどの攻防で少なからずダメージを受けていたのだ。地面に叩きつけられていたティグリオはゆっくり起き上がる。


「へへへ……面白れぇじゃねーか、まさかここまでやれる奴がいたとはなあ……だが、終わりだぜ、後悔させてやるよ。」


「?」


 ティグリオが呪文を唱えると、身体に魔法陣のような物が浮かび上がり、大量の砂と石が彼の身体に集まり始める。


「!?」


「何をする気……?」


 砂埃が晴れると、ティグリオの身体には大量の砂と石が集まっており、まるで鎧のようになっていた、それによってティグリオの体は一回り大きくなっている。


(何だあれは……)


 リュートはティグリオが見せた魔法に驚いていた、砂の鎧を纏う魔法など聞いたこともないのだ。


「あれは……まさか、ゴーレム!?」


「そんな、ゴーレムを鎧にするなんて聞いたことも無いわよ?」


 キャロルはティグリオの砂の鎧がゴーレムだと気が付いた、それに対してアリカが答える。


「大丈夫、ただのはったりだよ、だって、あんな鎧着けてたら早く動ける訳が……」


「どうかしら」


 はったりだというカイトに対し、キャスリーが答える。


「私の予想通りなら……アレ、かなり厄介よ。」


「さてと……覚悟しな!」


 ティグリオは一瞬でリュートとの距離を詰め、右のパンチを繰り出す。リュートはティグリオの外見に反したスピードに驚きながらもそれを避ける、ティグリオの拳は地面を砕いた。


「!?」


「速い!?」


 キャロルとアリカもそのスピードに驚いていた。


「肉体の強化だけじゃない、風の魔法で加速してる!?」


「まさか、そんなの魔力の消費も尋常じゃない筈よ?」


 カイトはそのスピードが風の魔法による物だと気が付いた。アリカはカイトに意を唱える。


「けど、そうとしか考えられないよ!」


 リュートはティグリオの頭部に蹴りを入れる、それは適格にティグリオの横面を捉えたが、ティグリオは微動だにせずニヤリと笑う。


「!?」


「効かねー…なあ!!」


「ガハァッ!!」


 ティグリオは鎧を纏った右手でリュートの腹を殴る、加速がかかったその一撃はリュートに大きなダメージを与えた。


「兄ちゃん!!」


 カイトが叫ぶと、ティグリオはさらに連撃を叩き込み、リュートを追い詰める。


「あ……ああ……」


「ちょっと、ヤバいわよ!!」


「キャスリー、何とかできない?」


「無理よ、私は荒っぽい事は苦手なんだから。」


 カイト達四人は一方的に殴られるリュートをを見て慌てている、キャロルは顔を両手で押さえていた。


「が……くっ……舐めん……なあ!!」


 リュートは風の魔法で加速し、ティグリオから距離を取る。


「ハア…グッ…クソッ」


 リュートは先ほどのティグリオの連撃によりボロボロだった。ティグリオはリュートに近付く。


「やべえぞ!」


「逃げろ、兄ちゃん!」


 ギャラリーはリュートに逃げろと叫ぶ。


(正直ヤベえが……ここで逃げたら……こいつはここで暴れかねない。)


 リュートはティグリオに対して構えを取る。


「ほおー、逃げねえとは良い度胸だな、なら遠慮なく……ボコらせてもらうぜえ!!」


 ティグリオはリュートに向かって殴り掛かる、リュートが間一髪それを避け、地面にクレーターができる。ティグリオがさらに連撃を繰り出し、リュートが避けていく。


「クソッ、チョコマカと……」


(思った通り、大振りで単調な攻撃しか出来ねえようだな、これならなんとか避けられる、問題は……どうやって攻めるかだな。)


 リュートは所々痛む体を抑えながら考える。


(しょうがねえ、まだ未完成だが……やってみるか。)


 突然リュートの両掌に淡い光が収束していく。ティグリオは距離を詰め、パンチや蹴りを繰り出し攻める。


「オラオラオラァ!!」


(クソッ……避けながらだと……上手く貯まらねえ……)


 リュートはダメージで言う事聴かない体を引きずりながらティグリオの攻撃を避ける。


「終わりだ!!」


 突然リュートの身体が動かなくなる。ティグリオの魔力による拘束だ。


(!? しまっ……)


 そして、ティグリオの拳がリュートを捉える、さらにティグリオのパンチと蹴りの連打がリュートを襲う。


「ハッハッハッ、そらそらどうしたあ!!」


 ティグリオは笑いながらリュートを痛めつける。


「もう……ダメ……やめて……」


 キャロルは涙を流している。


「クッ……」


 アリカは加勢に向かおうとするが、ダメージが酷くて動けない。


(兄ちゃん……負けるな、頑張れ……)


 カイトはリュートを見つめていた。


「よーく覚えときな、正義のヒーロー気取ってカッコつけると、こういう事になるってな!!」


 そう言うとティグリオは、リュートに対して止めの一発を叩き込もうとする、しかし、リュートはその一発を間一髪避け、懐に潜り込み、両掌を合わせる。


「やなこったね」


 すると、リュートの手に膨大な魔力が収束、大きな光の球を作り出した。


「なっ!?」


「喰らいな。」


 さらにリュートは光の球をティグリオにぶつけると、その技名を大声で発した。


魔衝砲(ブラスト・キャノン)!!」


 すると、光の球は前方に向かって凄まじい爆発を起こす、その爆発はティグリオの鎧を粉々に吹き飛ばした。


「グアアアアーーーーー!!!!」


 ティグリオ自身も吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。


「ハア……ハア……」


 リュートはボロボロの状態で片膝を着いている、ティグリオは十数秒仰向けになっていたが、やがてフラフラと起き上がる。


「クソが……味な真似……しやがって……」


 先ほどの一撃により、ティグリオもボロボロになっていた。二人はフラフラとした歩みから、自分の身体に鞭を打つように走り出す。


「ウォォオオオオーーーー!!!!」


「オォォォオオオーーーー!!!!」


 そして二人が拳を繰り出そうとしたその瞬間、二人は抑えられた、リュートは騎士と思わしき鎧を着た二人に交差された槍で遮られ、ティグリオは同じ鎧を着た二人に背中からうつ伏せの状態で押さえられている。


「なっ!?」


「……放せ!!」


 ティグリオは拘束から逃れようともがく、やがて大衆の中から一人の人物が出てくる、リュートの父親と同じ程の年代の威厳に満ちた男性だ。


「これ以上の戦闘は君達の命にも関わる、ここはこの王宮直属近衛騎士団団長、フリードリヒ・フォン・ジークロフトの名において収めてもらおう!」


 フリードリヒは二人の間に立って叫ぶ。


「ジークロフト様だ!」


「団長!」


 ギャラリーは喜びの声を上げる。


「グッ!」


 突然騎士二人に抑えられていたリュートが膝から崩れ落ちた。


「!?」


「大丈夫か、しっかりしろ!」


 二人の騎士がリュートを支える、フリードリヒも近づく。


「それだけボロボロでよく意識を保っているな、大したものだ。」


「へへ……どうも。」


フリードリヒの言葉にリュートが答える。


「ティグリオ・ヴァルアルド! 君には町の至る所で問題を起こした報告が上がっている! よって身柄を拘束させてもらおう!」


「クソが……」


 押さえつけていた二人の騎士によってティグリオは拘束される。ティグリオはリュートとフリードリヒを睨みながら連れて行かれた。


「彼を治療院へ。」


「「はっ」」


 フリードリヒの命令により二人の騎士がリュートに肩を貸す。すると、カイトとキャスリーが駆け寄ってきた。


「兄ちゃん、大丈夫!?」


「ああ……体中メッチャ痛えけどな。」


 そしてこの事件を機にリュートとティグリオはこの後何度も相まみえる事になるのだが、それはまた別の話である。


「ねえアリカ……」


「? なに?」


「あの猫……喋ってなかった?」


「……そう言えば……」

最後の技はいわゆる波◯拳とかかめ◯め波みたいな感じの技です。

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